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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
99話 美魔女おばあちゃんは面倒なタイプ
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ぴしっと空気が張り詰めた。
両親とディエゴの佇まいに硬さが入った。緊張するような相手が来たと言う事だ。
「貴方方はいつもそう性急で向う見ずです。いつどのような時でも冷静に判断なさい」
「御祖母様」
ディエゴのおばあちゃんがきた。ダンスを仕込んだり、早い内からディエゴを社交界に連れ回していたという聴いた限り厳格そうなおばあちゃんがやってきたわ。
めっちゃ美魔女やん。
「貴方がガラッシア公爵家の御令嬢ね?」
「お初にお目にかかります、私、」
「挨拶は結構。貴方の事は良く耳にしています」
おっと、これは明らかな断罪系?
それでもなんだか楽しくなってきたあたり、私の脳内はイベント認識しているようだ。そもそもこの場で私を邪険にしているのはおばあちゃんだけで、ディエゴ一家は私に好意的。いくらおばあちゃんに力があっても四面楚歌にはなるまい。
「ディエゴ、ガラッシア家は認めないと言いましたね」
「ですが、御祖母様。俺は、」
「呪われた家の者を迎えるつもりはありません」
「……ん?」
今呪われたと言った?
どこかで聞いたな……えっと……ああ、お隣さんと揉めた時か。あの時は、母とオルネッラの事故やら社交界の醜聞やらあることないこと全て含めた上での言い方だったけど、さてこちらはどうなのか。
「呪われた家とは?」
「チアキ」
小声で黙っていろと言われる。
ディエゴに任せて当たり障りなく終わるのが今1番いい解決法だろう。でも待って、気になる。2度も同じ言葉なんて大事な事に決まってる。
「貴方の母親の事です」
「母が?」
「知らぬ振りなど不要です。貴方の母親は呪われた血筋。その血を継いだ子供をソラーレ侯爵家に迎い入れる事に私は反対しているのです」
母親についてはトットとエステル調べ程度しか情報がない。
人物についてきくにしても、父親のトラウマである以上、彼に簡単に訊ける話ではない。オリアーナにも同様に訊けるものではなかった。オルネッラの事を自ら話してくれるのを様子を見ながら深堀する程度に留めておくぐらいが関の山だったしな。
「私の母がどうして呪われているというのですか?」
「チアキ」
焦るディエゴの言葉は無視だ。気遣ってくれるのはありがたいけど、好奇心の方が勝っている。それがディエゴのおばあちゃんに対して失礼であったとしても。
「あの家の者は早くに死ぬ」
「ん? でも叔父は」
生きている。病気なく健康だぞ。ちょっと被害妄想激しいけど。
「あの血筋は……あの隠れし魔女達の血は絶やすべきです」
「え?」
「御祖母様、少数民族の問題については解決しています。王陛下もそのように発表されていた」
「私は認めておりません」
あ、面倒なタイプ。
事実を伝えても私はそう思わないからダメなのってタイプいるよね。
というか、その調子ではディエゴも知っているのか。果ては、その隠れた魔女の血というのが有名すぎるネタなのか。エステル調べでも魔法使いの祖とか滾る二つ名あったしね。
「御祖母様、オリアーナは」
「お黙りなさい」
「しかし」
「いずれソラーレ侯爵家を背負って立つ人間が冷静に判断出来ないとは何事ですか」
それブーメランで返す言葉。
ひどいものだ、感情で判断しているのはおばあちゃん貴方の方。ディエゴはまだ歴史的見地というか、社会的な見地から物事を話している。
おばあちゃんは生で見てきたのだろうか、オリアーナの母親がものすごい魔法で王都破壊でもする様を。そんなことしてたら、そもそも私はここに立ててないな。
「仕様がないな」
「チアキ?」
「帰ります」
話にならない状態ならここは撤退をするとしよう。もう少し深堀したかったけど、認める認めない問題に戻って延々それだけならもう用はない。
エステルとトットにまた相談して、オリアーナの母親について言及することとしよう。いや、その前に複製本でやりたいことを済ませてからだな。
さて、それはさておき急な私の申し出にも関わらず、おばあちゃんは満足そうに笑っていた。
「ええ、二度と来なくて結構」
「あ、二度目はありますね」
「え!?」
これにはおばあちゃん登場から一切言葉を発しなかったご両親も同じように声を上げた。家族4人同じ驚き方するなんて面白い、血筋というものをここで感じられるなんて。
「母の事を調べ上げた上で結果報告に参ります」
「そんなもの」
「どうぞ楽しみにしてて下さい」
「チアキ」
ディエゴが我に返ってまた私を嗜めてくる。わかってる、失礼な物言いしてるの分かってるよ。
「では失礼致します」
「見送ろう」
所作はそのまま美しさをなるたけ保って退室してやったわ。
廊下を進みながら、ディエゴが溜息を吐いた。
「すまない。祖母が君に失礼を」
「ん? 気にしてないよ」
「だが」
「第三者目線の見解は非常に有益な情報だよ。母親の件は父親にもオリアーナにも訊けてなかったから助かったところもあって」
「そうか。そう言ってもらえると助かる」
というか、私の言動の方がディエゴにとってヒイヒイだったんじゃないだろうか。それを言えば、苦笑いして肯定した。
「暴力沙汰にならなくて良かったなと」
「殴られてないからね」
「言える立場ではないんだが、穏便に済ませたい」
「そうだね」
飛んだ脇道にそれるだったな。有益ではあったけど、今の私には優先順位でしたいことがある。
「ディエゴ、次の祝日いい?」
「ああ、構わない」
覚悟を持ってやりきってみせよう。
両親とディエゴの佇まいに硬さが入った。緊張するような相手が来たと言う事だ。
「貴方方はいつもそう性急で向う見ずです。いつどのような時でも冷静に判断なさい」
「御祖母様」
ディエゴのおばあちゃんがきた。ダンスを仕込んだり、早い内からディエゴを社交界に連れ回していたという聴いた限り厳格そうなおばあちゃんがやってきたわ。
めっちゃ美魔女やん。
「貴方がガラッシア公爵家の御令嬢ね?」
「お初にお目にかかります、私、」
「挨拶は結構。貴方の事は良く耳にしています」
おっと、これは明らかな断罪系?
それでもなんだか楽しくなってきたあたり、私の脳内はイベント認識しているようだ。そもそもこの場で私を邪険にしているのはおばあちゃんだけで、ディエゴ一家は私に好意的。いくらおばあちゃんに力があっても四面楚歌にはなるまい。
「ディエゴ、ガラッシア家は認めないと言いましたね」
「ですが、御祖母様。俺は、」
「呪われた家の者を迎えるつもりはありません」
「……ん?」
今呪われたと言った?
どこかで聞いたな……えっと……ああ、お隣さんと揉めた時か。あの時は、母とオルネッラの事故やら社交界の醜聞やらあることないこと全て含めた上での言い方だったけど、さてこちらはどうなのか。
「呪われた家とは?」
「チアキ」
小声で黙っていろと言われる。
ディエゴに任せて当たり障りなく終わるのが今1番いい解決法だろう。でも待って、気になる。2度も同じ言葉なんて大事な事に決まってる。
「貴方の母親の事です」
「母が?」
「知らぬ振りなど不要です。貴方の母親は呪われた血筋。その血を継いだ子供をソラーレ侯爵家に迎い入れる事に私は反対しているのです」
母親についてはトットとエステル調べ程度しか情報がない。
人物についてきくにしても、父親のトラウマである以上、彼に簡単に訊ける話ではない。オリアーナにも同様に訊けるものではなかった。オルネッラの事を自ら話してくれるのを様子を見ながら深堀する程度に留めておくぐらいが関の山だったしな。
「私の母がどうして呪われているというのですか?」
「チアキ」
焦るディエゴの言葉は無視だ。気遣ってくれるのはありがたいけど、好奇心の方が勝っている。それがディエゴのおばあちゃんに対して失礼であったとしても。
「あの家の者は早くに死ぬ」
「ん? でも叔父は」
生きている。病気なく健康だぞ。ちょっと被害妄想激しいけど。
「あの血筋は……あの隠れし魔女達の血は絶やすべきです」
「え?」
「御祖母様、少数民族の問題については解決しています。王陛下もそのように発表されていた」
「私は認めておりません」
あ、面倒なタイプ。
事実を伝えても私はそう思わないからダメなのってタイプいるよね。
というか、その調子ではディエゴも知っているのか。果ては、その隠れた魔女の血というのが有名すぎるネタなのか。エステル調べでも魔法使いの祖とか滾る二つ名あったしね。
「御祖母様、オリアーナは」
「お黙りなさい」
「しかし」
「いずれソラーレ侯爵家を背負って立つ人間が冷静に判断出来ないとは何事ですか」
それブーメランで返す言葉。
ひどいものだ、感情で判断しているのはおばあちゃん貴方の方。ディエゴはまだ歴史的見地というか、社会的な見地から物事を話している。
おばあちゃんは生で見てきたのだろうか、オリアーナの母親がものすごい魔法で王都破壊でもする様を。そんなことしてたら、そもそも私はここに立ててないな。
「仕様がないな」
「チアキ?」
「帰ります」
話にならない状態ならここは撤退をするとしよう。もう少し深堀したかったけど、認める認めない問題に戻って延々それだけならもう用はない。
エステルとトットにまた相談して、オリアーナの母親について言及することとしよう。いや、その前に複製本でやりたいことを済ませてからだな。
さて、それはさておき急な私の申し出にも関わらず、おばあちゃんは満足そうに笑っていた。
「ええ、二度と来なくて結構」
「あ、二度目はありますね」
「え!?」
これにはおばあちゃん登場から一切言葉を発しなかったご両親も同じように声を上げた。家族4人同じ驚き方するなんて面白い、血筋というものをここで感じられるなんて。
「母の事を調べ上げた上で結果報告に参ります」
「そんなもの」
「どうぞ楽しみにしてて下さい」
「チアキ」
ディエゴが我に返ってまた私を嗜めてくる。わかってる、失礼な物言いしてるの分かってるよ。
「では失礼致します」
「見送ろう」
所作はそのまま美しさをなるたけ保って退室してやったわ。
廊下を進みながら、ディエゴが溜息を吐いた。
「すまない。祖母が君に失礼を」
「ん? 気にしてないよ」
「だが」
「第三者目線の見解は非常に有益な情報だよ。母親の件は父親にもオリアーナにも訊けてなかったから助かったところもあって」
「そうか。そう言ってもらえると助かる」
というか、私の言動の方がディエゴにとってヒイヒイだったんじゃないだろうか。それを言えば、苦笑いして肯定した。
「暴力沙汰にならなくて良かったなと」
「殴られてないからね」
「言える立場ではないんだが、穏便に済ませたい」
「そうだね」
飛んだ脇道にそれるだったな。有益ではあったけど、今の私には優先順位でしたいことがある。
「ディエゴ、次の祝日いい?」
「ああ、構わない」
覚悟を持ってやりきってみせよう。
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