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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
161話 ヒロインはディエゴですね、わかります
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「とんだデートになりました」
「自分で言うのか」
それもそうだろう。通常のデートに人の生き死は関わらない。どんなバイオレンスものなのって話。
挙句、当事者だったが故に事情聴取に長時間拘束とかちょっとそこは想定していなかった。途中トットが出てきてくれたから解放されたようなもの。
外に出たら、陽が出ていた日中から、帳が完全におり、星空輝く綺麗な夜になっていた。折角癒しと尊さを浴び続けた舞台鑑賞そっちのけになっちゃったよ、萌えよどこにいったの。
「美味しいご飯食べられてるから良しとしよう」
「良かったな」
トットが間に入った時に取り調べならカツ丼を出してと申し出たら、解放と同時にご飯屋さんを用意された。個室で横並びの上等なソファにディエゴと一緒に座ってご飯、さすがにカツ丼は出なかったけど。
「本当に迎え入れるのか?」
「ん?」
食事中、行儀が悪いけど個室なのをいいことに、ディエゴに結った髪を解いてもらっている。私はその間に思う存分飲酒タイムを満喫。
走ったりやらなんやらでボロボロになった髪を解こうとしたらこんがらがった。見かねたディエゴが痛みなんて一切なしで静かに解いてくれている。なんだ、そのスキル。美容師でも目指してたの。
「君の命を狙っていたんだぞ? そんな人間を傍に置くのか」
「うん」
迷いなく断言すると、ディエゴは片眉を動かして、その後、大きく溜息を吐いた。もっとも、罪を償うのにどの程度の期間が必要なのかは分からない。私が寿命で死んだ後に刑期終わりましたでは、到底約束は果たせないだろう。
そもそも見た目こそ変えていたけど、年齢は恐らく私達よりだいぶ年上と思われるから、寿命だけで考えれば先に亡くなるのは向こうだ。まあそこは話す必要もないのだろうけど。
「君は本当に甘いな」
「まあまあ」
完璧に髪を解いてもらったら、解放感が半端ない。正装だったから、それに合わせてがっちがちに結ってたからなあ。頭皮マッサージ追加したい。
「どうだ、痛くないか」
「全然。すごいね、ディエゴ」
軽く梳かれて整えてくれてるのが感触で分かる。ううん、結構心地いい。気持ち良さに顔が緩んでいるのが分かったけど、そのままお酒を飲み続けた。別に顔に力いれる必要もないしね。
「飲みすぎるなよ」
「分かってるって」
もういいよね。ご褒美的なものだよ。
正直、私はただ相対しただけで、追いかけて捕まえたのはディエゴなんだけどね。それでも今後、馬車による死亡の恐れはなくなった。呪いはない、それを遂行しようとする者もいない。オリアーナに見てもらえれば確実だろう。それでオリアーナも安心してくれれば大団円だ。推しの心の平穏を齎せて私満足。
「お、これ結構強い」
「その割には飲むペースが」
「はいはーい、わかってまーす」
こら、と窘められた。彼の言葉を遮ったのだから仕方ない。
お酒の種類が豊富なお店だったのはトットが気を遣ってくれたからかな。出てくる料理の様子を見ると、だいぶかしこまった上等なお店のようだけど。入った時も内装が高級だったし。
「あ」
「どうした」
「ディエゴ、もしかしてお店決めてたりしてた?」
だって今日はそもそもデートの日だ。ジョギング大会の御褒美で、あれもこれも決めたいと主張していたディエゴがノープランで舞台鑑賞デートを組んでいるとは思えない。
もしかしたら舞台鑑賞後、街を歩こうとか言ってたのも行く店決めてた可能性だってある。そう、ディエゴだから。
「ディエゴ?」
「……」
案の定、彼は目を逸らして無言だ。肯定しているようなものじゃない。
「今から、そのお店行く?」
「いや」
それは行く店決めてたって認めた応え方。でもそれには気づいてないようだった。
「今からでも行こうよ」
「いやいい」
「でも」
立ち上がった私の手を掴んで止められる。目線をまだ泳がせながら、小さく呟かれた言葉に私は少し驚いた。
「ここが、その店だから」
「え?」
おかしい。だってここはトットが用意してくれた店のはず。
「トットが、ここを」
「王太子殿下が見繕ったと言えば、君は素直に食事してくれるかと思って」
「そこ?」
どうやら断られるのを考慮した上で、トットが選んだ設定だったようだ。
舞台を見終わって時間をあけてるって言ったはずだったんだけど、ディエゴの脳内に記憶されなかったらしい。普段ぐいぐいの割に妙なとこびびりなんだから。
「断らないのに」
「……」
でも思えば、断られると思わせたのは日頃の私の態度の積み重ねもあるか。以前も告白断るの前提で対面してること言われたし、彼にとっては大事なデートなんだから、出来る限り成功率高くこなしたいとこもあるのかもしれない。そうだったら可愛い思考だ。ヒロインはディエゴですね、わかります。
気まずそうにしているディエゴを横目に座り直した。確かに個室を急に用意できるっていうのも周到すぎるし、あらかじめ予約してたんだろうな。
「じゃあ、お礼言う相手ディエゴなんだ」
「え?」
「素敵なお店、ありがとう」
「……ああ」
満更でもなさそうなディエゴを見て安心した。これでお互い心置きなく、美味しいお酒を嗜む事ができる。
「よし、じゃんじゃん飲もう」
「程々にしろ」
お姑さんは健在だった。
「自分で言うのか」
それもそうだろう。通常のデートに人の生き死は関わらない。どんなバイオレンスものなのって話。
挙句、当事者だったが故に事情聴取に長時間拘束とかちょっとそこは想定していなかった。途中トットが出てきてくれたから解放されたようなもの。
外に出たら、陽が出ていた日中から、帳が完全におり、星空輝く綺麗な夜になっていた。折角癒しと尊さを浴び続けた舞台鑑賞そっちのけになっちゃったよ、萌えよどこにいったの。
「美味しいご飯食べられてるから良しとしよう」
「良かったな」
トットが間に入った時に取り調べならカツ丼を出してと申し出たら、解放と同時にご飯屋さんを用意された。個室で横並びの上等なソファにディエゴと一緒に座ってご飯、さすがにカツ丼は出なかったけど。
「本当に迎え入れるのか?」
「ん?」
食事中、行儀が悪いけど個室なのをいいことに、ディエゴに結った髪を解いてもらっている。私はその間に思う存分飲酒タイムを満喫。
走ったりやらなんやらでボロボロになった髪を解こうとしたらこんがらがった。見かねたディエゴが痛みなんて一切なしで静かに解いてくれている。なんだ、そのスキル。美容師でも目指してたの。
「君の命を狙っていたんだぞ? そんな人間を傍に置くのか」
「うん」
迷いなく断言すると、ディエゴは片眉を動かして、その後、大きく溜息を吐いた。もっとも、罪を償うのにどの程度の期間が必要なのかは分からない。私が寿命で死んだ後に刑期終わりましたでは、到底約束は果たせないだろう。
そもそも見た目こそ変えていたけど、年齢は恐らく私達よりだいぶ年上と思われるから、寿命だけで考えれば先に亡くなるのは向こうだ。まあそこは話す必要もないのだろうけど。
「君は本当に甘いな」
「まあまあ」
完璧に髪を解いてもらったら、解放感が半端ない。正装だったから、それに合わせてがっちがちに結ってたからなあ。頭皮マッサージ追加したい。
「どうだ、痛くないか」
「全然。すごいね、ディエゴ」
軽く梳かれて整えてくれてるのが感触で分かる。ううん、結構心地いい。気持ち良さに顔が緩んでいるのが分かったけど、そのままお酒を飲み続けた。別に顔に力いれる必要もないしね。
「飲みすぎるなよ」
「分かってるって」
もういいよね。ご褒美的なものだよ。
正直、私はただ相対しただけで、追いかけて捕まえたのはディエゴなんだけどね。それでも今後、馬車による死亡の恐れはなくなった。呪いはない、それを遂行しようとする者もいない。オリアーナに見てもらえれば確実だろう。それでオリアーナも安心してくれれば大団円だ。推しの心の平穏を齎せて私満足。
「お、これ結構強い」
「その割には飲むペースが」
「はいはーい、わかってまーす」
こら、と窘められた。彼の言葉を遮ったのだから仕方ない。
お酒の種類が豊富なお店だったのはトットが気を遣ってくれたからかな。出てくる料理の様子を見ると、だいぶかしこまった上等なお店のようだけど。入った時も内装が高級だったし。
「あ」
「どうした」
「ディエゴ、もしかしてお店決めてたりしてた?」
だって今日はそもそもデートの日だ。ジョギング大会の御褒美で、あれもこれも決めたいと主張していたディエゴがノープランで舞台鑑賞デートを組んでいるとは思えない。
もしかしたら舞台鑑賞後、街を歩こうとか言ってたのも行く店決めてた可能性だってある。そう、ディエゴだから。
「ディエゴ?」
「……」
案の定、彼は目を逸らして無言だ。肯定しているようなものじゃない。
「今から、そのお店行く?」
「いや」
それは行く店決めてたって認めた応え方。でもそれには気づいてないようだった。
「今からでも行こうよ」
「いやいい」
「でも」
立ち上がった私の手を掴んで止められる。目線をまだ泳がせながら、小さく呟かれた言葉に私は少し驚いた。
「ここが、その店だから」
「え?」
おかしい。だってここはトットが用意してくれた店のはず。
「トットが、ここを」
「王太子殿下が見繕ったと言えば、君は素直に食事してくれるかと思って」
「そこ?」
どうやら断られるのを考慮した上で、トットが選んだ設定だったようだ。
舞台を見終わって時間をあけてるって言ったはずだったんだけど、ディエゴの脳内に記憶されなかったらしい。普段ぐいぐいの割に妙なとこびびりなんだから。
「断らないのに」
「……」
でも思えば、断られると思わせたのは日頃の私の態度の積み重ねもあるか。以前も告白断るの前提で対面してること言われたし、彼にとっては大事なデートなんだから、出来る限り成功率高くこなしたいとこもあるのかもしれない。そうだったら可愛い思考だ。ヒロインはディエゴですね、わかります。
気まずそうにしているディエゴを横目に座り直した。確かに個室を急に用意できるっていうのも周到すぎるし、あらかじめ予約してたんだろうな。
「じゃあ、お礼言う相手ディエゴなんだ」
「え?」
「素敵なお店、ありがとう」
「……ああ」
満更でもなさそうなディエゴを見て安心した。これでお互い心置きなく、美味しいお酒を嗜む事ができる。
「よし、じゃんじゃん飲もう」
「程々にしろ」
お姑さんは健在だった。
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