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48話 徹夜プラン
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「で? 私って、だしにつかわれたの?」
悲しげに瞳が揺らいだから当たりだ。馬車の中は私とエールだけだから話しやすい。
「申し訳ありません」
「エールが考えたことじゃないでしょ」
こういうことは大体イグニスあたりが考える。今までの経験でよく分かった。それにエールは私に過保護でこういうことはしたがらない。
「いいわ。もう終わったことだし」
「ですが、私は納得できていません」
両手で顔を隠して、盛大なため息をついて項垂れる。
「長期的な目で見たら利点があったとかでしょ」
「ええ」
「炙り出したいのは、国家連合に反対する一派?」
「ええ。粗悪な魔石はフィクタの故郷を行き来する商人が流したそうですが、アチェンディーテ公爵令息が魔石の取引に制限をかけたので今後は問題ありません」
仕事早いわ。
「さすがサクたん」
「……二度とこんなことはしません」
「だからいいって」
右手をとられた。珍しく微笑んでいないエールが見える。目元を赤くして瞳を震わせ……ああ、怒っているのね。
「フラルに触れることなく終わらせるものだったのに」
「怪我もなかったからいいじゃない」
男が掴んだところは跡もついていない。私の左ストレートが唸ったので。
「……他の男が触れるなんて、嫌です」
「ちょっとエール!」
男が触れたところに唇を落とした。唇が離れ息がかかると震えてしまう。こういうことを平気でやるのだから困る。
「今日一緒に寝てもいいですか」
「急になに?」
「見送りだけでは心配で」
「だからって一緒に寝るってなによ」
「一番近くにいれば対応が可能です」
「そういう問題じゃない」
引っ付き虫癖が加速してるわね。
「ならベッド側で護衛をします」
「逆に落ち着かなくて寝られなくなるでしょ」
「なんでもいいので側に置いて下さい」
「落ち着きなさい。今の今で襲ってくるわけないわよ」
「第二、第三と控えていてもおかしくはありません」
どうしたものか。解放の気配がない。戻る場所は帝国の城にしたから警備は厳重だ。あの襲撃を容認した自分を許せないってとこかしら。小説のフィクタならもっとえぐいこと考えるのに。
「……分かった。ようは夜通し一緒にいればいいのね」
「ええ、そうですが」
「徹夜すればいいのよ」
「徹夜」
ということで、帝国ポステーロス城に着いたら見張り台の一角を借りた。見張りの騎士を下がらせて、酒を持ち込む。城の構造上、ここから落ちても城の外回廊の一角に落ちるだけだし、見晴らしがいい分いい的になる反面こちらからも攻撃してくれば相手がよく見える。へたに中庭で茂みや木々が多くて隠れられる場所が多いよりマシだ。
「軽く晩酌しながら夜明けまでもたせればいいでしょ」
酔いで眠らないよう眠気覚ましもあれば完璧。見張りの騎士も下がらせたけど何かあったら対応できる範囲内にいるから社交界の不祥事的な意味ではギリギリ避けられるはず。
「私は一緒に寝てもよかったのですが」
「やめなさい」
「フラルの推しかぷは共寝をしたことがあると聞きました」
「なんでそんなこと知ってるのよ」
推しカプたちは小説でも一緒のベッドで寝てたけどね! 年齢制限かかることはなかったし、この時代だいぶゆるくなったから結婚前の共寝も許される時勢になった。けど一部貴族では根強く婚前に共寝厳禁な風潮もある。マーロン侯爵家がどうかは分からないけど、エールのこれからのことを考えるなら無難なところを歩いた方がいい。私以外の令嬢と結婚するってなった時に備えて。
「フラル以外と結婚する気はありませんよ」
「声に出てた?」
「いいえ。フラルの考えそうなことは分かります」
一緒の時間が長いのでと笑う。
「フラルが長く一緒にいることで私に同郷の人間と同じような親しみを持ってくれてるのも知ってます」
「……」
困ったものね。
その足元見てることも分かってる。フィクタは存外情に厚い。屈折したプライド高い人間だったけど、他人の面倒を見るぐらいの情は持っていた。
「あと少しですか」
「少しもなにもないわ」
「ふふ、そういう強気なところがいいですね」
「エール酔ってる?」
どうでしょうかとはぐらかされる。いつものことだから、気にせず新しいお酒をグラスについだ。
「ねえ、エールのとこで雇ってもらうのはだめ?」
「というと?」
「下働きでマーロン侯爵家に仕える、とか」
微笑みに不機嫌が宿った。だめか。
「そういうシチュエーションも悪くはないですが、関係を主人と侍女にしたいのでしょう?」
「うん」
「なら、だめです」
そういうシチュエーションでなにを楽しむ気なのかしら。怖くて逆に聞けない。
「結婚して下さい」
「酔っ払い、冷静になれ」
「私は素面ですよ」
月が綺麗に出てる今夜はエールがよく見えた。
「死亡ふらぐはなしにして」
「ん?」
「ただ純粋にフラルは私のこと、どう思ってますか?」
「……」
いやらしい質問だわ。
考えてはいけない。そもそも私はここを去るつもりなんだから。
「沈黙は肯定、肯定は脈ありとみなしますよ?」
「やめて。なんでそんなにぐいぐいくるわけ?」
「必死なので」
今日だって、とエールが苦しさを滲ませる声で話し始める。
「私には分かりませんが、アチェンディーテ公爵令息とステラモリス公爵令嬢とでしか分かりあえないものがありました」
「?」
「彼の飼い犬の件です」
「ああ、フェンリル?」
エールにはフェンリルに見えないらしい。私も彼が挨拶して見えるようにしてくれたから、私はフェンリルだと認識した。そういうものがなければただの大きなわんこだ。
「フェンリルは伝説で語られてる魔物で現実は存在しないはずです」
「んー……」
という時代設定だけど、実際はいるという。小説でも影の存在で、だからこそ表舞台に立ってフィクタの目の前で怒りを見せた。
「あの時会話してましたね?」
「うん」
「私の知らないところにフラルがいると、二度と届かないところへ行ってしまう気がして怖くなります」
「話してただけなのに」
「それでもです」
エールはもしかして精霊王のいる世界に私が行ってしまうとでも思っているのだろうか。あの世界は聖女でないといけない。死んだら行けるかもしれないけど。
「ぱっと見たところ飼い犬に頭下げて謝罪してるだけでしたが」
「それ言わないで」
第三者から見た図はこの際考えたくない。
「でも今日の話があってフラルに脈ある男性が近寄らなければそれはそれで構いません」
「ここで徹夜でお酒飲んでる時点で寄ってこないわよ」
「ならあとは私を好きになってもらうだけですね」
「前向きね」
「ええ、でないとフラルには敵いません」
社交界で、マジア侯爵令嬢がアチェンディーテ公爵令息の飼い犬を害して土下座させられていた、という不名誉な噂が出回ることをこの時まだ私は知らない。
なんで城で徹夜のネタよりもそっちが採用されるのよ。
悲しげに瞳が揺らいだから当たりだ。馬車の中は私とエールだけだから話しやすい。
「申し訳ありません」
「エールが考えたことじゃないでしょ」
こういうことは大体イグニスあたりが考える。今までの経験でよく分かった。それにエールは私に過保護でこういうことはしたがらない。
「いいわ。もう終わったことだし」
「ですが、私は納得できていません」
両手で顔を隠して、盛大なため息をついて項垂れる。
「長期的な目で見たら利点があったとかでしょ」
「ええ」
「炙り出したいのは、国家連合に反対する一派?」
「ええ。粗悪な魔石はフィクタの故郷を行き来する商人が流したそうですが、アチェンディーテ公爵令息が魔石の取引に制限をかけたので今後は問題ありません」
仕事早いわ。
「さすがサクたん」
「……二度とこんなことはしません」
「だからいいって」
右手をとられた。珍しく微笑んでいないエールが見える。目元を赤くして瞳を震わせ……ああ、怒っているのね。
「フラルに触れることなく終わらせるものだったのに」
「怪我もなかったからいいじゃない」
男が掴んだところは跡もついていない。私の左ストレートが唸ったので。
「……他の男が触れるなんて、嫌です」
「ちょっとエール!」
男が触れたところに唇を落とした。唇が離れ息がかかると震えてしまう。こういうことを平気でやるのだから困る。
「今日一緒に寝てもいいですか」
「急になに?」
「見送りだけでは心配で」
「だからって一緒に寝るってなによ」
「一番近くにいれば対応が可能です」
「そういう問題じゃない」
引っ付き虫癖が加速してるわね。
「ならベッド側で護衛をします」
「逆に落ち着かなくて寝られなくなるでしょ」
「なんでもいいので側に置いて下さい」
「落ち着きなさい。今の今で襲ってくるわけないわよ」
「第二、第三と控えていてもおかしくはありません」
どうしたものか。解放の気配がない。戻る場所は帝国の城にしたから警備は厳重だ。あの襲撃を容認した自分を許せないってとこかしら。小説のフィクタならもっとえぐいこと考えるのに。
「……分かった。ようは夜通し一緒にいればいいのね」
「ええ、そうですが」
「徹夜すればいいのよ」
「徹夜」
ということで、帝国ポステーロス城に着いたら見張り台の一角を借りた。見張りの騎士を下がらせて、酒を持ち込む。城の構造上、ここから落ちても城の外回廊の一角に落ちるだけだし、見晴らしがいい分いい的になる反面こちらからも攻撃してくれば相手がよく見える。へたに中庭で茂みや木々が多くて隠れられる場所が多いよりマシだ。
「軽く晩酌しながら夜明けまでもたせればいいでしょ」
酔いで眠らないよう眠気覚ましもあれば完璧。見張りの騎士も下がらせたけど何かあったら対応できる範囲内にいるから社交界の不祥事的な意味ではギリギリ避けられるはず。
「私は一緒に寝てもよかったのですが」
「やめなさい」
「フラルの推しかぷは共寝をしたことがあると聞きました」
「なんでそんなこと知ってるのよ」
推しカプたちは小説でも一緒のベッドで寝てたけどね! 年齢制限かかることはなかったし、この時代だいぶゆるくなったから結婚前の共寝も許される時勢になった。けど一部貴族では根強く婚前に共寝厳禁な風潮もある。マーロン侯爵家がどうかは分からないけど、エールのこれからのことを考えるなら無難なところを歩いた方がいい。私以外の令嬢と結婚するってなった時に備えて。
「フラル以外と結婚する気はありませんよ」
「声に出てた?」
「いいえ。フラルの考えそうなことは分かります」
一緒の時間が長いのでと笑う。
「フラルが長く一緒にいることで私に同郷の人間と同じような親しみを持ってくれてるのも知ってます」
「……」
困ったものね。
その足元見てることも分かってる。フィクタは存外情に厚い。屈折したプライド高い人間だったけど、他人の面倒を見るぐらいの情は持っていた。
「あと少しですか」
「少しもなにもないわ」
「ふふ、そういう強気なところがいいですね」
「エール酔ってる?」
どうでしょうかとはぐらかされる。いつものことだから、気にせず新しいお酒をグラスについだ。
「ねえ、エールのとこで雇ってもらうのはだめ?」
「というと?」
「下働きでマーロン侯爵家に仕える、とか」
微笑みに不機嫌が宿った。だめか。
「そういうシチュエーションも悪くはないですが、関係を主人と侍女にしたいのでしょう?」
「うん」
「なら、だめです」
そういうシチュエーションでなにを楽しむ気なのかしら。怖くて逆に聞けない。
「結婚して下さい」
「酔っ払い、冷静になれ」
「私は素面ですよ」
月が綺麗に出てる今夜はエールがよく見えた。
「死亡ふらぐはなしにして」
「ん?」
「ただ純粋にフラルは私のこと、どう思ってますか?」
「……」
いやらしい質問だわ。
考えてはいけない。そもそも私はここを去るつもりなんだから。
「沈黙は肯定、肯定は脈ありとみなしますよ?」
「やめて。なんでそんなにぐいぐいくるわけ?」
「必死なので」
今日だって、とエールが苦しさを滲ませる声で話し始める。
「私には分かりませんが、アチェンディーテ公爵令息とステラモリス公爵令嬢とでしか分かりあえないものがありました」
「?」
「彼の飼い犬の件です」
「ああ、フェンリル?」
エールにはフェンリルに見えないらしい。私も彼が挨拶して見えるようにしてくれたから、私はフェンリルだと認識した。そういうものがなければただの大きなわんこだ。
「フェンリルは伝説で語られてる魔物で現実は存在しないはずです」
「んー……」
という時代設定だけど、実際はいるという。小説でも影の存在で、だからこそ表舞台に立ってフィクタの目の前で怒りを見せた。
「あの時会話してましたね?」
「うん」
「私の知らないところにフラルがいると、二度と届かないところへ行ってしまう気がして怖くなります」
「話してただけなのに」
「それでもです」
エールはもしかして精霊王のいる世界に私が行ってしまうとでも思っているのだろうか。あの世界は聖女でないといけない。死んだら行けるかもしれないけど。
「ぱっと見たところ飼い犬に頭下げて謝罪してるだけでしたが」
「それ言わないで」
第三者から見た図はこの際考えたくない。
「でも今日の話があってフラルに脈ある男性が近寄らなければそれはそれで構いません」
「ここで徹夜でお酒飲んでる時点で寄ってこないわよ」
「ならあとは私を好きになってもらうだけですね」
「前向きね」
「ええ、でないとフラルには敵いません」
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