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34話 いちゃつく、だと(旦那様視点)
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「マヌエル、騙したな」
「まー、待てって」
本土に戻って即マヌエルの胸ぐらを掴んだ。
それなのに相変わらずヘラヘラ笑っている、なんて奴だ。
「全話把握してるのなら、どうして島に行けなどと!」
「てことは、お前、愛してるって言えたのか」
「うっ……」
「おおー、がんばったなー」
顔赤いぞーとついでとばかりに言われる。
くそ、知られる所になるのが痛い。
「一先ず全部話せよ」
「何故だ」
「ここ超えると、お前との戦いが最終局面に入る」
真面目な顔をして言う話ではない。
しかし先は気になる。マヌエルの話を聞くために、島であったことを話すことにした。
おかげで島での毎日は修業か戦うかしかなかった。寝所を共に出来ない故に、この数日寝不足になってしまい、一体何の為に島に行ったのか、もはやよく分からない。
クラシオンは私の目元の隈を見て心配してくれたが、どうやら洗脳に打ち勝てるまで後少しである証と勘違いしている。
「ブッハ! お前うけるな」
ついでに言うなら、寝不足で遠泳なんてするものではない。よく学んだ。というか、みずぎとやらは広めてはいけない絶対に。なんだあれは、ほぼ裸ではないのか。上に着こんでもらえたから良かったものの、あれはさすがに許可できない。
「……それで? 私はこれでクラシオンの誤解を解けるのか?」
「まー、二十六話の攻撃くらうっての回収してあるし、いけんだろ」
「なんでここだけ順当にやりたがる」
「俺に聞かれてもねー」
二十六話とやらは別のところで起きているのに、二十一話はきちんとやりたがる。
まだクラシオンと戦えというのか。
「まだお前と戦いたいってことだろ?」
「どういうことだ」
心底呆れた視線を寄越してきた。
「あーあ、お前がそんなんだから」
「話せ」
「簡単に言えば、お前といちゃつきたいんだろ」
「!」
いちゃつく、だと。
クラシオンが? 私と?
「私の言葉は信じてくれないのに……」
「不安なんだろ」
「不安?」
いつかこの状態が終わって、以前のようになってしまうか。そこがクラシオンにとって不安な要因のようだ。
私が掌を返して避け始めるのではと。
「だから何度も愛してるって言っとけっつったし」
「足りないということか?」
「そーだよ」
駄目でもともと。愛してると何度も伝えろと。
贈り物も、食事も続けている。今では王城へ二人で行くようにもなったのに。
「デートだ。デート」
「は?」
デートとは、恋人同士だったり夫婦であったり、ようは好き合ってる者達が出掛ける事らしい。最終局面に入ると言っておいて、何故デートが必要になってくるのか。終わりを迎えた後に、デートとやらをすればいいのでは。
「リンちゃん、エスコートして甘やかしてやれ」
「次の社交界で必要なものは買い揃えてあるが」
「違う。そういうのなしで、ただ二人で出掛けるんだよ」
島に行くのと同じだろうか。
ようは二人きりの時間を過ごせと。
「準備もしろ」
「え?」
「食事もリンちゃんが好きそうなとこ選べ。スイーツも用意しろ。ラストは夜景の綺麗な場所で抱きしめてキスだ」
「キス?!」
「お前……この期に及んで、キス出来ないとか言うなよ」
「ぐぐ」
クラシオンを守るといった理由がないと、抱きしめるなんて出来なさそうなのに、愛を囁く為だけに抱きしめろと?
最近要求のハードルが高くないか。
「俺らだって、この三年何も思ってなかったわけじゃない」
「……」
私がどうにも出来なくなってから、マヌエル達は呆れたり多少の揶揄はあっても、無理矢理行動の改善を求めた事はなかった。
彼らなりに見守っていたのだろうか。
「お前がやっと俺に相談したってことは、変わりたいってことだろ」
「う……」
「いいか、完璧にリンちゃんに、お前の洗脳解けたって思ってもらう為には、リンちゃんに愛されてるって実感してもらわないとかなわないんだよ」
「実感してないと、どうなる」
「同じ事繰り返すだけだろ。洗脳が解けるまで戦います的な」
「それは……」
「嫌だろ? お前がここでやれるかにかかってんだからな」
以前の関係で良いなら、マヌエル達に相談する必要はないだろう。でもそれが出来ない。クラシオンが大切だからだ。安心させてやりたいとも思っている。当然、敵対して戦わなければならない関係も脱したい。
マヌエルはアンヘリカを通じて最近クラシオンが気になる事も知っているらしい。出掛けるとなったら、そういった情報を提供するとまで言ってきた。クラシオンが喜ぶ事が出来るなら、やぶさかではないが。
「て、わけで、行け」
「え?」
「リンちゃんデートに誘ってこい」
あっさり放り出された。
心の準備なんて与えてくれないとは、ひどい奴だ。
どうする。用もないのに、どう誘えばいい。
「旦那様?」
「っ!」
「まー、待てって」
本土に戻って即マヌエルの胸ぐらを掴んだ。
それなのに相変わらずヘラヘラ笑っている、なんて奴だ。
「全話把握してるのなら、どうして島に行けなどと!」
「てことは、お前、愛してるって言えたのか」
「うっ……」
「おおー、がんばったなー」
顔赤いぞーとついでとばかりに言われる。
くそ、知られる所になるのが痛い。
「一先ず全部話せよ」
「何故だ」
「ここ超えると、お前との戦いが最終局面に入る」
真面目な顔をして言う話ではない。
しかし先は気になる。マヌエルの話を聞くために、島であったことを話すことにした。
おかげで島での毎日は修業か戦うかしかなかった。寝所を共に出来ない故に、この数日寝不足になってしまい、一体何の為に島に行ったのか、もはやよく分からない。
クラシオンは私の目元の隈を見て心配してくれたが、どうやら洗脳に打ち勝てるまで後少しである証と勘違いしている。
「ブッハ! お前うけるな」
ついでに言うなら、寝不足で遠泳なんてするものではない。よく学んだ。というか、みずぎとやらは広めてはいけない絶対に。なんだあれは、ほぼ裸ではないのか。上に着こんでもらえたから良かったものの、あれはさすがに許可できない。
「……それで? 私はこれでクラシオンの誤解を解けるのか?」
「まー、二十六話の攻撃くらうっての回収してあるし、いけんだろ」
「なんでここだけ順当にやりたがる」
「俺に聞かれてもねー」
二十六話とやらは別のところで起きているのに、二十一話はきちんとやりたがる。
まだクラシオンと戦えというのか。
「まだお前と戦いたいってことだろ?」
「どういうことだ」
心底呆れた視線を寄越してきた。
「あーあ、お前がそんなんだから」
「話せ」
「簡単に言えば、お前といちゃつきたいんだろ」
「!」
いちゃつく、だと。
クラシオンが? 私と?
「私の言葉は信じてくれないのに……」
「不安なんだろ」
「不安?」
いつかこの状態が終わって、以前のようになってしまうか。そこがクラシオンにとって不安な要因のようだ。
私が掌を返して避け始めるのではと。
「だから何度も愛してるって言っとけっつったし」
「足りないということか?」
「そーだよ」
駄目でもともと。愛してると何度も伝えろと。
贈り物も、食事も続けている。今では王城へ二人で行くようにもなったのに。
「デートだ。デート」
「は?」
デートとは、恋人同士だったり夫婦であったり、ようは好き合ってる者達が出掛ける事らしい。最終局面に入ると言っておいて、何故デートが必要になってくるのか。終わりを迎えた後に、デートとやらをすればいいのでは。
「リンちゃん、エスコートして甘やかしてやれ」
「次の社交界で必要なものは買い揃えてあるが」
「違う。そういうのなしで、ただ二人で出掛けるんだよ」
島に行くのと同じだろうか。
ようは二人きりの時間を過ごせと。
「準備もしろ」
「え?」
「食事もリンちゃんが好きそうなとこ選べ。スイーツも用意しろ。ラストは夜景の綺麗な場所で抱きしめてキスだ」
「キス?!」
「お前……この期に及んで、キス出来ないとか言うなよ」
「ぐぐ」
クラシオンを守るといった理由がないと、抱きしめるなんて出来なさそうなのに、愛を囁く為だけに抱きしめろと?
最近要求のハードルが高くないか。
「俺らだって、この三年何も思ってなかったわけじゃない」
「……」
私がどうにも出来なくなってから、マヌエル達は呆れたり多少の揶揄はあっても、無理矢理行動の改善を求めた事はなかった。
彼らなりに見守っていたのだろうか。
「お前がやっと俺に相談したってことは、変わりたいってことだろ」
「う……」
「いいか、完璧にリンちゃんに、お前の洗脳解けたって思ってもらう為には、リンちゃんに愛されてるって実感してもらわないとかなわないんだよ」
「実感してないと、どうなる」
「同じ事繰り返すだけだろ。洗脳が解けるまで戦います的な」
「それは……」
「嫌だろ? お前がここでやれるかにかかってんだからな」
以前の関係で良いなら、マヌエル達に相談する必要はないだろう。でもそれが出来ない。クラシオンが大切だからだ。安心させてやりたいとも思っている。当然、敵対して戦わなければならない関係も脱したい。
マヌエルはアンヘリカを通じて最近クラシオンが気になる事も知っているらしい。出掛けるとなったら、そういった情報を提供するとまで言ってきた。クラシオンが喜ぶ事が出来るなら、やぶさかではないが。
「て、わけで、行け」
「え?」
「リンちゃんデートに誘ってこい」
あっさり放り出された。
心の準備なんて与えてくれないとは、ひどい奴だ。
どうする。用もないのに、どう誘えばいい。
「旦那様?」
「っ!」
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