13 / 21
13話
しおりを挟む
「……ルーカスは凄いな」
「急にどうしたんです?」
彼が良く知る品の良い店で食事をとりながら、つい零してしまった。
テラスにあたるこの席からは星空が良く見えた。久しぶりに空なんてものを見上げている気がする。
「羨ましいんだよ」
「私がですか?」
その通りだ。
私は彼に感じたことをまま伝えた。少尉は考えるように沈黙して、真っ直ぐに私を見やった。
「これから取り戻せば」
「?」
「アリーナは知ってるのでしょう? なら、思い出せばいい」
簡単に言ってくれる。
今日この日ただただ焼き付けられた生活の断片。
心地がよかった。
拒否したいものではない、受け入れたい。
しかし、これを思い出して自分の身になって私は耐えられるのだろうか。1度心地良いものを知れば、私は今度喪失に耐えられるのか。
「……」
そうか、私は失うのが怖いのか。
それは私が今まで積み重ねて見ないようにしてきた弱さか。
「私は弱いな」
「そんなこと」
「ルーカスは不思議な青年だね。親交深い者が出来ても、こんな思いを抱いた事なんてなかった」
「そ、れは、」
彼が言葉に詰まる。
酒もだいぶ飲んでいるから少し酔ってきたのか。瞳も少し揺れている。あまり飲めないようならこのあたりで終いにした方がよいだろうか。
「この限られた時間でも楽しんでもらえたらと思っただけで」
「あぁ、そうだね」
「はい」
「きっとこれが楽しいって事なんだろう」
眉は八の字にしながらも、彼は笑って私に感謝した。感謝したいのは私の方なのに。
「……良いと言ったのだが」
「いいえ、譲れません」
良いと言うのに、彼は結局私の家まで送ると言い張り、連れ立って歩いている。
彼は私の為に購入した雑貨類食品諸々を手にしている。そのぐらいの荷物ならもう持てるというのに、彼は少々心配性なのではないか。それとも手のかかる兄弟が多くいるとこうなるのだろうか。
街から自宅まではすぐだ。
特段多くを話さず進む道は完全に夜の帳が下りて静かだった。街の喧騒は聞こえない。
握られた手は彼の体温で温かかった。
いくら季節が過ごしやすくなったとはいえ、夜はまだ冷える。心地の良い体温の温かさと、慣れなかったこの手を繋ぐ態勢に安心感を覚えてしまっているのは何故なのだろうか。
これが思い出すことなのだろうか。
「……着きましたね」
「そうだな」
ここまで有難うと伝え、するりと手を放す。
少し名残惜しいと言えば目の前の青年は笑うだろうか。
「こちら」
「あぁ、有難う」
持ってもらった荷物を貰い、後はもう別れの挨拶だけだ。けれど、それが出ない。不思議だ。
しばし沈黙し、お互い目を合わせるだけで。
あれだけ雄弁に自分のことを話す彼には珍しく、言葉を選んでるようだった。
「……あの」
「あぁ」
「また、伺います」
「そうか」
「また街に一緒に出てもらえますか?」
「……あぁ」
喜んで。
言えば嬉しそうに帰って行った。
彼が丘を降りるのを見送って、1つ溜息をつく。
「……で、お前は何しにここに来た?」
「おっとばれていたか」
庭の大木から降りてきたのは馴染みの同期だ。
「ミラン」
「よう!」
いやいやデート中だったとこをすまなかったな、と宣いながら飄々と現れる。相変わらずのようだ。
「にしても、君達いい感じじゃあないか! 喜ばしいことだな! 結婚式はいつだ?」
「付き合ってもいないのに、いきなり結婚の話か」
「なんだ、つまらん」
「人で遊ぶな」
こと彼と私の関係については野次馬精神が旺盛なようだ。根掘り葉掘りきいてこようとする。
もちろん応える義理はない。
「で、こんな時間に来て何があった?」
「ふん。まあアリーナには話しておこうと思ってな」
「……遠征の件か」
「そうだ」
出発の日取りが早まった。3日以内には出るだろう。
現地での戦闘に及ぶ可能性もある。
「聞いてはいたが……そうか」
「遠征についてはまあ目途が着いたってとこだが、ちょっとばかり心配でな」
「何が」
「お前の安否だ」
なるほど、奴らめ、この機会に私に仕掛けてこようとしているのか。なかなか小賢しいことをしようとする。
「まぁ、奴らなら多勢でここに来ても可笑しくないな」
「大丈夫だと思うが気をつけろよ」
「私を誰だと思っている?」
「お前の身体の安否が心配なんじゃない、こっちの方だよ」
と、自身の手を自分の胸に当てる。心臓にしては身体の中心だな。
「心だよ」
分かってない私に答えを出すミランは、困った奴だと苦笑する。
「復讐を果たそうなんて思うなよ」
「……あぁ」
驚いた。
私は今の今まで復讐を頭の端に置くどころか忘れていたのだ。
何故か。
思い当たる所はもう彼しか見当たらなかった。
少尉。
今日過ごした時間の中で、復讐の事を考えていたか?
正直、ミランからこの話が出るまで、とんと考えていなかった。彼が関わってきて、彼の存在が奴らに知れて、守ろうと日々の情報に付随して彼のことばかり気にかけていた。
「どうした?」
沈黙を続ける私を不思議がって小首を傾げる。
「いや、そうだな。正直なところ、ここ最近は少尉の安否の方が気にかかっていた」
「お?」
「復讐を成したい気持ちに偽りはないが、奴らにマークされてから特に心配で」
「おお?」
「…なんださっきから変な声しか出してないじゃないか」
理路整然と誇大に嘯ける奴が同じ奇声しか出ないとはどういうことか。
変な薬でも盛られたのかと冗談でも言わない方がいいことを言ってやろうかと思えてくる。
「いや、すまない。ちょっと意外だったもんでな」
「そうか」
一体何がと問うてもミランは答えなかった。
「たぶん近い内に分かるさ」
本来の調子を取り戻したのか意気揚々として笑う。
「じゃ、俺は戻るわ。ノアは残るから安心しろ」
「もう医者の診療は必要ないと思うんだが」
「そこはノアに直接言え。俺もお前も医者じゃないからな」
「それもそうだ」
コートを翻して去っていく。
忙しい最中、こうして会いに来る当たり、ミランも相当なお人好しだ。
こういう点では私は本当人に恵まれている。
『これから取り戻せば』
「…そうだね」
どこかで一線引いていたのは私だけで、今もこうして会ってくれる者たちは与えてくれていたのだろう。
私が見て見ぬ振りしていた本当に欲しいものを。
「急にどうしたんです?」
彼が良く知る品の良い店で食事をとりながら、つい零してしまった。
テラスにあたるこの席からは星空が良く見えた。久しぶりに空なんてものを見上げている気がする。
「羨ましいんだよ」
「私がですか?」
その通りだ。
私は彼に感じたことをまま伝えた。少尉は考えるように沈黙して、真っ直ぐに私を見やった。
「これから取り戻せば」
「?」
「アリーナは知ってるのでしょう? なら、思い出せばいい」
簡単に言ってくれる。
今日この日ただただ焼き付けられた生活の断片。
心地がよかった。
拒否したいものではない、受け入れたい。
しかし、これを思い出して自分の身になって私は耐えられるのだろうか。1度心地良いものを知れば、私は今度喪失に耐えられるのか。
「……」
そうか、私は失うのが怖いのか。
それは私が今まで積み重ねて見ないようにしてきた弱さか。
「私は弱いな」
「そんなこと」
「ルーカスは不思議な青年だね。親交深い者が出来ても、こんな思いを抱いた事なんてなかった」
「そ、れは、」
彼が言葉に詰まる。
酒もだいぶ飲んでいるから少し酔ってきたのか。瞳も少し揺れている。あまり飲めないようならこのあたりで終いにした方がよいだろうか。
「この限られた時間でも楽しんでもらえたらと思っただけで」
「あぁ、そうだね」
「はい」
「きっとこれが楽しいって事なんだろう」
眉は八の字にしながらも、彼は笑って私に感謝した。感謝したいのは私の方なのに。
「……良いと言ったのだが」
「いいえ、譲れません」
良いと言うのに、彼は結局私の家まで送ると言い張り、連れ立って歩いている。
彼は私の為に購入した雑貨類食品諸々を手にしている。そのぐらいの荷物ならもう持てるというのに、彼は少々心配性なのではないか。それとも手のかかる兄弟が多くいるとこうなるのだろうか。
街から自宅まではすぐだ。
特段多くを話さず進む道は完全に夜の帳が下りて静かだった。街の喧騒は聞こえない。
握られた手は彼の体温で温かかった。
いくら季節が過ごしやすくなったとはいえ、夜はまだ冷える。心地の良い体温の温かさと、慣れなかったこの手を繋ぐ態勢に安心感を覚えてしまっているのは何故なのだろうか。
これが思い出すことなのだろうか。
「……着きましたね」
「そうだな」
ここまで有難うと伝え、するりと手を放す。
少し名残惜しいと言えば目の前の青年は笑うだろうか。
「こちら」
「あぁ、有難う」
持ってもらった荷物を貰い、後はもう別れの挨拶だけだ。けれど、それが出ない。不思議だ。
しばし沈黙し、お互い目を合わせるだけで。
あれだけ雄弁に自分のことを話す彼には珍しく、言葉を選んでるようだった。
「……あの」
「あぁ」
「また、伺います」
「そうか」
「また街に一緒に出てもらえますか?」
「……あぁ」
喜んで。
言えば嬉しそうに帰って行った。
彼が丘を降りるのを見送って、1つ溜息をつく。
「……で、お前は何しにここに来た?」
「おっとばれていたか」
庭の大木から降りてきたのは馴染みの同期だ。
「ミラン」
「よう!」
いやいやデート中だったとこをすまなかったな、と宣いながら飄々と現れる。相変わらずのようだ。
「にしても、君達いい感じじゃあないか! 喜ばしいことだな! 結婚式はいつだ?」
「付き合ってもいないのに、いきなり結婚の話か」
「なんだ、つまらん」
「人で遊ぶな」
こと彼と私の関係については野次馬精神が旺盛なようだ。根掘り葉掘りきいてこようとする。
もちろん応える義理はない。
「で、こんな時間に来て何があった?」
「ふん。まあアリーナには話しておこうと思ってな」
「……遠征の件か」
「そうだ」
出発の日取りが早まった。3日以内には出るだろう。
現地での戦闘に及ぶ可能性もある。
「聞いてはいたが……そうか」
「遠征についてはまあ目途が着いたってとこだが、ちょっとばかり心配でな」
「何が」
「お前の安否だ」
なるほど、奴らめ、この機会に私に仕掛けてこようとしているのか。なかなか小賢しいことをしようとする。
「まぁ、奴らなら多勢でここに来ても可笑しくないな」
「大丈夫だと思うが気をつけろよ」
「私を誰だと思っている?」
「お前の身体の安否が心配なんじゃない、こっちの方だよ」
と、自身の手を自分の胸に当てる。心臓にしては身体の中心だな。
「心だよ」
分かってない私に答えを出すミランは、困った奴だと苦笑する。
「復讐を果たそうなんて思うなよ」
「……あぁ」
驚いた。
私は今の今まで復讐を頭の端に置くどころか忘れていたのだ。
何故か。
思い当たる所はもう彼しか見当たらなかった。
少尉。
今日過ごした時間の中で、復讐の事を考えていたか?
正直、ミランからこの話が出るまで、とんと考えていなかった。彼が関わってきて、彼の存在が奴らに知れて、守ろうと日々の情報に付随して彼のことばかり気にかけていた。
「どうした?」
沈黙を続ける私を不思議がって小首を傾げる。
「いや、そうだな。正直なところ、ここ最近は少尉の安否の方が気にかかっていた」
「お?」
「復讐を成したい気持ちに偽りはないが、奴らにマークされてから特に心配で」
「おお?」
「…なんださっきから変な声しか出してないじゃないか」
理路整然と誇大に嘯ける奴が同じ奇声しか出ないとはどういうことか。
変な薬でも盛られたのかと冗談でも言わない方がいいことを言ってやろうかと思えてくる。
「いや、すまない。ちょっと意外だったもんでな」
「そうか」
一体何がと問うてもミランは答えなかった。
「たぶん近い内に分かるさ」
本来の調子を取り戻したのか意気揚々として笑う。
「じゃ、俺は戻るわ。ノアは残るから安心しろ」
「もう医者の診療は必要ないと思うんだが」
「そこはノアに直接言え。俺もお前も医者じゃないからな」
「それもそうだ」
コートを翻して去っていく。
忙しい最中、こうして会いに来る当たり、ミランも相当なお人好しだ。
こういう点では私は本当人に恵まれている。
『これから取り戻せば』
「…そうだね」
どこかで一線引いていたのは私だけで、今もこうして会ってくれる者たちは与えてくれていたのだろう。
私が見て見ぬ振りしていた本当に欲しいものを。
0
あなたにおすすめの小説
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
【完結】夕凪のピボット
那月 結音
恋愛
季節は三度目の梅雨。
大学入学を機に日本で暮らし始めた佐伯瑛茉(さえきえま)は、住んでいたマンションの改築工事のため、三ヶ月間の仮住まいを余儀なくされる。
退去先が決まらず、苦慮していた折。
バイト先の店長から、彼の親友である九条光学副社長、九条崇弥(くじょうたかや)の自宅を退去先として提案される。
戸惑いつつも、瑛茉は提案を受け入れることに。
期間限定同居から始まる、女子大生と御曹司の、とある夏のおはなし。
✴︎ ゚・*:.。..。.:*・゜✴︎ ゚・*:.。..。.:*・゜✴︎ ゚・*:.。..。.:*・゜✴︎
【登場人物】
・佐伯 瑛茉(さえき えま)
文学部3年生。日本史専攻。日米ハーフ。
22歳。160cm。
・九条 崇弥(くじょう たかや)
株式会社九条光学副社長。
32歳。182cm。
・月尾 悠(つきお はるか)
和モダンカフェ『月見茶房』店主。崇弥の親友。
32歳。180cm。
✴︎ ゚・*:.。..。.:*・゜✴︎ ゚・*:.。..。.:*・゜✴︎ ゚・*:.。..。.:*・゜✴︎
※2024年初出
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる