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魔法学園編
危険な夏合宿~遭遇~
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いよいよ夏がやって来た。
バケーションに入り、学生たちは帰省と旅行の予定に夢中になっている。
しかし、それも帰るところを持たない私には無縁の話だった。
「マヤ、うちに来ない? なんにもないド田舎の貧乏貴族だけど、貴方を泊めてあげられるくらいの余裕はあるわよ」
シャーロットは夏休みに入る前にそっと尋ねてくれた。
「お誘いありがとう、シャーロット。でも合宿もあるし、学園から出ていくわけにはいかないわ」
「そういうことなら仕方ないわね……それじゃあ、これ」
どさどさとシャーロットは私の前に山ほどの本を積み上げた。
「……なあに、これ? シャーロット」
「マナーと歌と音楽、絵画の教養本。それとこれ、美容体操のリストね」
シャーロットは笑顔で羊皮紙を押し付けてきた。
「もし、時間があるなら美術館やコンサートにでも行って来たらどうかしら?王都だったらいくらでも見るべきものがあるわ。じゃあ、良いバケーションを」
シャーロットは笑顔で故郷へと旅立っていった。
夏休みが始まって数日後、合宿希望者たちは馬車に乗りこんだ。
王都を抜けて着いたのは海沿いの避暑地で周囲は豪勢な別荘だらけだった。
(実習っていっても慰安旅行みたいなものなのかな?)
「はい、皆さん。全員揃っていますか?」
引率のイーサン先生が点呼を取った。
「全員います、イーサン先生」
ライアンが折り目正しくイーサン先生に報告した。
「報告ありがとう、ライアン君。それではグループ分けをしますので、よく聞いていてください」
グループ分けのくじ引きの結果、私の班はリーダーにライアン、エヴァン、リアン、デヴィン、私の五人になった。
(なんかすごく恣意的な意図を感じるけど、これってランダムなんだよね、パック?!)
(これも運命の導きだよ、マヤ)
「グループごと地図に示された目的地に向かって下さい。コースには目印にリボンが結んであります。目的地に置いてあるクリスタルローズを持って戻ってくるのがミッションになります。森の中では猛獣の他、魔物の出現も報告されています。必ず戦闘態勢で行動してください」
こんなのどかな場所に魔物なんて出るんだろうかと私は疑問に思ったが、とりあえずメイスをしっかり握りしめた。
不要な荷物(シャーロットの宿題)を置いて、集合場所に集まった。
「よし、五人揃いましたね。俺、リアン先輩、クラキ殿、デヴィン、エヴァンの順で隊列を組みます」
五人は並んで山道に踏みいれた。
メイスが少し重たかったが、ハイキングにはちょうどいい杖代わりになりそうだった。
「私は初めてなんだけど、皆は毎回この合宿に参加しているの?」
「僕も初めてです。去年は家族旅行に行ってて参加できなかったので」
「俺とエヴァンは毎年参加しています。毎回場所は違いますが保養地で訓練と勉学、実習が学べるので。騒がしい王都から離れて涼しく静かな場所で研鑽を行ってきました」
こくりとエヴァンが後ろで頷く気配がした。
「リアン先輩はどうしてですか? 院生の方がいらっしゃるのは珍しいですよね」
「……カードが行くべきだと囁いたから」
「カードが?」
「ええ、私の得物はカードで、これで戦闘や魔法を使っているんだ。そのため占いを少々嗜んでいて、その結果今回は参加した方が良いと出たんだよ」
「なるほど……」
私は納得したような顔をしながら相槌を打ち、横にいるパックに小声で話しかける。
(これも運命の導き?)
(そこまでは、わからないよぉ)
地図とリボンを頼りに歩いていくと大きな沼地に出た。水は濁り、ひどい匂いがした。
「おかしいな。地図には沼なんて書かれていないんだが……」
「方位も合っているぞ」
これまで無言だったエヴァンもライアンに同意する。
「迷ったか……手前の目印まで戻ろう」
苦々しい表情でライアンが提案した。
一行が引き返そうとすると沼の中から異様な唸り声が聞こえた。
「何の声だ?!」
「沼から聞こえます!」
全員が振り返ると沼から泥で作られた魔物が腕を伸ばしていた。
腕ばかり長く、一つ目をぎょろぎょろと動かす。
その姿は失敗した泥人形そのものだった。
「全員、戦闘配置!前衛に俺とエヴァン、真ん中にクラキ殿、後衛にデヴィンとリアン先輩」
ライアンが冷静に指示を出す。
この世界に来て初めての戦闘が始まった。
バケーションに入り、学生たちは帰省と旅行の予定に夢中になっている。
しかし、それも帰るところを持たない私には無縁の話だった。
「マヤ、うちに来ない? なんにもないド田舎の貧乏貴族だけど、貴方を泊めてあげられるくらいの余裕はあるわよ」
シャーロットは夏休みに入る前にそっと尋ねてくれた。
「お誘いありがとう、シャーロット。でも合宿もあるし、学園から出ていくわけにはいかないわ」
「そういうことなら仕方ないわね……それじゃあ、これ」
どさどさとシャーロットは私の前に山ほどの本を積み上げた。
「……なあに、これ? シャーロット」
「マナーと歌と音楽、絵画の教養本。それとこれ、美容体操のリストね」
シャーロットは笑顔で羊皮紙を押し付けてきた。
「もし、時間があるなら美術館やコンサートにでも行って来たらどうかしら?王都だったらいくらでも見るべきものがあるわ。じゃあ、良いバケーションを」
シャーロットは笑顔で故郷へと旅立っていった。
夏休みが始まって数日後、合宿希望者たちは馬車に乗りこんだ。
王都を抜けて着いたのは海沿いの避暑地で周囲は豪勢な別荘だらけだった。
(実習っていっても慰安旅行みたいなものなのかな?)
「はい、皆さん。全員揃っていますか?」
引率のイーサン先生が点呼を取った。
「全員います、イーサン先生」
ライアンが折り目正しくイーサン先生に報告した。
「報告ありがとう、ライアン君。それではグループ分けをしますので、よく聞いていてください」
グループ分けのくじ引きの結果、私の班はリーダーにライアン、エヴァン、リアン、デヴィン、私の五人になった。
(なんかすごく恣意的な意図を感じるけど、これってランダムなんだよね、パック?!)
(これも運命の導きだよ、マヤ)
「グループごと地図に示された目的地に向かって下さい。コースには目印にリボンが結んであります。目的地に置いてあるクリスタルローズを持って戻ってくるのがミッションになります。森の中では猛獣の他、魔物の出現も報告されています。必ず戦闘態勢で行動してください」
こんなのどかな場所に魔物なんて出るんだろうかと私は疑問に思ったが、とりあえずメイスをしっかり握りしめた。
不要な荷物(シャーロットの宿題)を置いて、集合場所に集まった。
「よし、五人揃いましたね。俺、リアン先輩、クラキ殿、デヴィン、エヴァンの順で隊列を組みます」
五人は並んで山道に踏みいれた。
メイスが少し重たかったが、ハイキングにはちょうどいい杖代わりになりそうだった。
「私は初めてなんだけど、皆は毎回この合宿に参加しているの?」
「僕も初めてです。去年は家族旅行に行ってて参加できなかったので」
「俺とエヴァンは毎年参加しています。毎回場所は違いますが保養地で訓練と勉学、実習が学べるので。騒がしい王都から離れて涼しく静かな場所で研鑽を行ってきました」
こくりとエヴァンが後ろで頷く気配がした。
「リアン先輩はどうしてですか? 院生の方がいらっしゃるのは珍しいですよね」
「……カードが行くべきだと囁いたから」
「カードが?」
「ええ、私の得物はカードで、これで戦闘や魔法を使っているんだ。そのため占いを少々嗜んでいて、その結果今回は参加した方が良いと出たんだよ」
「なるほど……」
私は納得したような顔をしながら相槌を打ち、横にいるパックに小声で話しかける。
(これも運命の導き?)
(そこまでは、わからないよぉ)
地図とリボンを頼りに歩いていくと大きな沼地に出た。水は濁り、ひどい匂いがした。
「おかしいな。地図には沼なんて書かれていないんだが……」
「方位も合っているぞ」
これまで無言だったエヴァンもライアンに同意する。
「迷ったか……手前の目印まで戻ろう」
苦々しい表情でライアンが提案した。
一行が引き返そうとすると沼の中から異様な唸り声が聞こえた。
「何の声だ?!」
「沼から聞こえます!」
全員が振り返ると沼から泥で作られた魔物が腕を伸ばしていた。
腕ばかり長く、一つ目をぎょろぎょろと動かす。
その姿は失敗した泥人形そのものだった。
「全員、戦闘配置!前衛に俺とエヴァン、真ん中にクラキ殿、後衛にデヴィンとリアン先輩」
ライアンが冷静に指示を出す。
この世界に来て初めての戦闘が始まった。
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