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王国陰謀編
幕間 悲嘆と孤独~聖女の過去~
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翌日の私の顔を見たエミリーはひゃっと驚きの声を上げた。
「マヤ様、一体どうしたのですか?そのお顔は?」
「ああ、エミリー。もう朝なのね……王城に向かわなくては」
「いけません、マヤ様。今日はお休みくださいまし!」
「でも……私には時間がないの」
「いけません!どのような理由があろうとも本日はお休みして頂きます!」
エミリーに私は無理矢理ベッドに戻らされた。目の上に冷たいタオルを置かれる。
「そんなに目を腫らされておいたわしい……ホットミルクを用意しました。お飲みください」
「ありがとう・・・・・・ねぇ、エミリー。何故、私の屋敷で働こうと思ったの?」
「ちょうど前のお屋敷にお暇に出されたところで、職を探しておりましたからね。一体どうしたんです?」
「異邦人のこんな小さなお屋敷で働くの、以前の立派なお屋敷で働いていたエミリーにとっては嫌だったんじゃないかって……」
「まぁ、とんでもない!あたくしはこのお屋敷に来てずっと幸せでしたよ。そりゃあ、マヤ様のご身分を考えると小さなお屋敷ではありますが、お花と本に溢れて、素敵なお洋服を着せることもできたし、お食事も他のお屋敷よりもずっと豪華でした。何より、マヤ様はあたくしたちを家族の様にそりゃあ大切にしてくださいました。あたくしは一度だって、このお屋敷に来たことを後悔したことはありませんよ」
私はエミリーの言葉でまた涙腺が緩みそうになって慌てて布団を被った。
「マヤ様?」
「ありがとう、エミリー。そして、ごめんなさい……」
「マヤ様、何を仰っているんですか?」
「その時が来てもあなたたちが困らないようにしておくから……少し眠るわ、おやすみなさい」
私はそのまま眠りに落ちていった。
夢の中で私は元の世界のことを思い出した。
優秀な兄と愛らしい妹の間に生まれた私は疎まれることはなかったが、目立たない存在だった。
そんな私を可愛がってくれたのは母方の祖父母だった。
「真弥は優しくて気立ての良い子なんだから、背筋を伸ばして生きるんだよ」
その存在のお陰で私はいじけることなく、兄妹に強い劣等感を持つことなく生きることができた。
しかし、祖父母は大学に入ってから相次いで亡くなった。
お見舞いに行く度にどんどんと細く弱っていく二人を見ているのは辛かったが、少しでも残された時間を共に過ごしたかった。祖父母が亡くなって、私は検察事務官に就職した。
兄は大手の銀行に入行し、妹は短大を卒業してすぐ弁護士と結婚した。
両親は自慢の息子と結婚後まもなく生まれた初孫に夢中だった。
私がいなくなったからといってあちらの世界で何か困ったことはあったろうか?
仕事では多少迷惑をかけたかもしれないが、私の代わりなどいくらでもいる。
数少ない友人たちも心配してくれただろうが、もうそれぞれ家庭を持っている。
私があちらの世界に戻ったところで誰も待っていない。
「私って独りぼっちだったんだ……」
寂しさがじんわりと心にしみこんでいく。
この世界に来て、国の危機を救うため、元の世界に戻るために必死に努力した。
その結果、私は沢山の物を得た。
気心の知れた友人も強い絆で結ばれた仲間も家族の様に優しい使用人たちもやりがいのある仕事も。どれ一つとして手放したくない。
私は目を覚ますと目尻に残っていた涙をぬぐった。
ここにいたいと痛切に願う。
それでも、ライアンの心はもう……
こんな形で私は全てを失わなければならないの……?
「マヤ様、一体どうしたのですか?そのお顔は?」
「ああ、エミリー。もう朝なのね……王城に向かわなくては」
「いけません、マヤ様。今日はお休みくださいまし!」
「でも……私には時間がないの」
「いけません!どのような理由があろうとも本日はお休みして頂きます!」
エミリーに私は無理矢理ベッドに戻らされた。目の上に冷たいタオルを置かれる。
「そんなに目を腫らされておいたわしい……ホットミルクを用意しました。お飲みください」
「ありがとう・・・・・・ねぇ、エミリー。何故、私の屋敷で働こうと思ったの?」
「ちょうど前のお屋敷にお暇に出されたところで、職を探しておりましたからね。一体どうしたんです?」
「異邦人のこんな小さなお屋敷で働くの、以前の立派なお屋敷で働いていたエミリーにとっては嫌だったんじゃないかって……」
「まぁ、とんでもない!あたくしはこのお屋敷に来てずっと幸せでしたよ。そりゃあ、マヤ様のご身分を考えると小さなお屋敷ではありますが、お花と本に溢れて、素敵なお洋服を着せることもできたし、お食事も他のお屋敷よりもずっと豪華でした。何より、マヤ様はあたくしたちを家族の様にそりゃあ大切にしてくださいました。あたくしは一度だって、このお屋敷に来たことを後悔したことはありませんよ」
私はエミリーの言葉でまた涙腺が緩みそうになって慌てて布団を被った。
「マヤ様?」
「ありがとう、エミリー。そして、ごめんなさい……」
「マヤ様、何を仰っているんですか?」
「その時が来てもあなたたちが困らないようにしておくから……少し眠るわ、おやすみなさい」
私はそのまま眠りに落ちていった。
夢の中で私は元の世界のことを思い出した。
優秀な兄と愛らしい妹の間に生まれた私は疎まれることはなかったが、目立たない存在だった。
そんな私を可愛がってくれたのは母方の祖父母だった。
「真弥は優しくて気立ての良い子なんだから、背筋を伸ばして生きるんだよ」
その存在のお陰で私はいじけることなく、兄妹に強い劣等感を持つことなく生きることができた。
しかし、祖父母は大学に入ってから相次いで亡くなった。
お見舞いに行く度にどんどんと細く弱っていく二人を見ているのは辛かったが、少しでも残された時間を共に過ごしたかった。祖父母が亡くなって、私は検察事務官に就職した。
兄は大手の銀行に入行し、妹は短大を卒業してすぐ弁護士と結婚した。
両親は自慢の息子と結婚後まもなく生まれた初孫に夢中だった。
私がいなくなったからといってあちらの世界で何か困ったことはあったろうか?
仕事では多少迷惑をかけたかもしれないが、私の代わりなどいくらでもいる。
数少ない友人たちも心配してくれただろうが、もうそれぞれ家庭を持っている。
私があちらの世界に戻ったところで誰も待っていない。
「私って独りぼっちだったんだ……」
寂しさがじんわりと心にしみこんでいく。
この世界に来て、国の危機を救うため、元の世界に戻るために必死に努力した。
その結果、私は沢山の物を得た。
気心の知れた友人も強い絆で結ばれた仲間も家族の様に優しい使用人たちもやりがいのある仕事も。どれ一つとして手放したくない。
私は目を覚ますと目尻に残っていた涙をぬぐった。
ここにいたいと痛切に願う。
それでも、ライアンの心はもう……
こんな形で私は全てを失わなければならないの……?
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