最強の聖女は恋を知らない

三ツ矢

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大陸放浪編

水面の都~復活~

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「ん? おれ、一体なにしてたんだっけ?」



ルークが起き上がるとその場にいた全員に安堵と喜びが満ちる。



「アスターファの息子よ。あまりやんちゃをしないでね。それでは呼んでくれてありがとう。さようなら、可愛い召喚者さん」



するりと魔法陣に吸い込まれるようにしてセラフィーナは消えていった。私は聖杯を自治長に手渡した。



「ありがとうございました。貴重なものをお貸しいただき感謝の念が絶えません」

「それはこちらが言うこと。嵐から我が国を守ってくれてありがとう」



自治長が微笑んで聖杯を受け取ると、シスターに厳重に保管するように伝えた。



「最初は渋ってみせたけど、最終的に貸そうと思っていたの。使ってこその聖具だもの。だけれど、貴女が見事な覚悟を見せたからどうなるか見たくなってしまってね。ワタシ、貴女のような強い人が好きなのよ、救国の聖女さん」



自治長がウィンクして見せた。



「そんなあれは勢いに任せたと言いますか……お恥ずかしい限りです」

「貴女のお陰で精霊をこの目に見ることができて、我が国は更なる水源も確保できたわ。本当にありがとう。これはお返しするわね、名残惜しいけれど」



そういうと私の手に懐中時計を握らせた。



「ところで何か外が騒がしくないかい?」



リアンがそう尋ねると、自治長が何でもないことのように告げた。



「サン・クリスチーヌ教会で一週間前嵐から我が国を救いし、青嵐の騎士ルーク殿が復活する。そう掲示板に書き込んでおきましたから、それでしょう」

「な? おれ、一週間も寝込んでたのか?!」



ルークは驚きで頭をぷるぷると振った。



「そうですよ。起きてくれて良かったぁ、ルークさん」



私はルークの手を握った。ごつごつとした骨と筋と剣だこのある男の手だった。



「何、弱気になってるんだよ。旅が終わるまで死ぬわけないだろ」



ルークはもう片方の手で私の頭に軽くチョップした。



「さぁて、主役の登場だ。堂々と皆にこの勇姿をお見せしてやろうぜ」



ルークは一週間眠り込んでいたとは思えない挙動の軽さで飛び起きた。



「わ、私は何もしていないのでルークさんだけで良いですよ」

「馬鹿だな、あんたが言い出したことだぜ?」



それ以上の反論する隙を与えず、ルークは私の手を取りサン・クリスチーヌ教会の扉を開いた。教会の前にはルークを一目見ようと市民たちでごった返していた。



「青嵐の騎士様だ! 登場なさったぞ!」



わぁっと歓声が上がった。ルークは鷹揚に手を振り、一緒に引っ張り出された私は茫然と立っていた。



「ペネロペ都市国家の皆さん、私がルークです。皆さんとこの美しい都がご無事で何よりです!幸いなことに未曾有の大災害を回避することができました。しかし、この奇跡も私如きの力だけではかないませんでした。紹介しましょう、卓越した召喚能力によって私を支え、助けてくれたフローレンス王国の救国の聖女、マヤ・クラキです」



ルークが私を紹介すると歓声で沸き上がった。



「フローレンス王国ってあの西端の国だよな?」

「オレ聞いたことがある。異邦人の強力な魔術師が国を救ったっていう話だぞ」

「ありがとう、ルーク様、マヤ様。ペネロペはあなたたちによって守られました」



私が戸惑っていると、ルークが笑顔で手を振りながら話しかけてきた。



「何、ぼけっとしてんだよ。こういう時はとりあえず、笑って手振っておけばみんな満足して幸せになれるんだ。皆あんたを待ってるんだ。応えてやれよ」



そう言われて私もおずおずと手を振った。すると騒がしかった歓声が爆発した。十分ほどそうしていると、自治長が現れた。



「さぁ、お祭りはお終いです。お二人は旅の最中にペネロペに立ち寄られ、再び旅立たれます。お二人の前途を祈って拍手を送りましょう」



自治長が声を張り上げると、大きな拍手が沸き起こった。



「ルーク様、マヤ様、この度はペネロペ都市国家をお守り頂き誠にありがとうございました。再びこの街を訪れることがあれば、いつでも歓迎させて頂きます」



鳴り響く拍手の中、自治長が私たちをハグして、感謝の言葉を述べた。

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