最強の聖女は恋を知らない

三ツ矢

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大陸放浪編

英雄の回想〜虚勢〜

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 さて、問題はイスラ共和国まで行くために交易船に乗らねばならないことだった。

これでも一応西大陸を股にかけて活躍しているルーク様である。

通常は一人旅だが、今回は足手纏いもとい同伴者がいる。

イスラ共和国まで行くのには少しばかりおれの方法では遠い。

仕方ないので貨客船に乗ることにしたおれの気分は最悪だった。

とにかく舳先に陣取り、風を感じ、海の音に耳を傾けて、遠くを見続けていた。



そう、おれはこの手の大型船に乗ると極度の船酔いする体質だったのだ。



そのようなみっともない姿を見せるわけにもいかず、おれはじっと耐えるだけだった。

夕食の時間になり、マヤが飯を持って来た。

この状態を保つので精一杯のおれは勿論飯など喉を通るわけがなかった。

強い口調で拒絶すると、マヤは少ししょんぼりした様子で船へと帰っていった。

それからしてすぐ、甲板長だとマヤに名乗っていた体格のいい男がおれのところにスープを持って近づいて来た。



「おめえさん、船酔いしてるんだろう? これは薬だが、少し腹に物を入れておいた方が良いぞ。このスープ飲みな。あのねえさんが厨房でコックと一緒に作ったらしい」



人のよさそうな笑顔をした甲板長に文字通り看破された。

おれは大人しくスープをゆっくりと啜った。

いもとブイヨンの素朴なスープだった。

船に乗って厨房で手伝いをしていたとは少し驚かされた。

残り汁で薬を飲んだ。



「感謝します」

「なぁに、船酔いする奴は山ほど見てきたからな。でもあんちゃんほど強がりは見たことねえな。それじゃお大事に」



甲板長が去り、数十分ほど経つと薬が効いて来た。

おれはやっとやってきた眠気に身を任せた。
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