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大陸放浪編
英雄の回想~確執~
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とうとうエイブリー帝国に入った。
この国とおれには因縁がある。
だから出来たら近づきたくない場所であった。
ライアンのいるというブーケモール城に行くと、アンジェリカと名乗る王太子妃が現れた。
アンジェリカはおれたちを応接間に通すと昔話を始めた。
長ったらしい話だぜ。
おれは途中で欠伸を噛み殺した。
「わかってたんだな、お妃さんよ。おれが誰なのか」
「……帝国の王家だけに伝わっている事実がもう一つあるのです。精霊と召喚士の間に生まれた子供は青髪青目だったと。帝国はずっと貴方を探し続けていました。青嵐の騎士、ルーク様」
そうだ、
その召喚士の母親と風と水の高位の精霊である父親から生まれたのがおれだ。
そのため、この鮮やかな髪と目、それに歳を取りにくい体質、風と水の祝福を受け、他の魔力を受け付けられないのも全部そのため。
「おれに顔も知らない親父の尻拭いをしろっていうのか?」
「ライアン様からマヤ・クラキ様のお手紙の内容をお聞きして、これは千載一遇の機会だと思いました。同一の力を持つ者しかこの呪いは解けません。そして、今、フレデリックの呪いが発動し、貴方がやって来た。呪いを解除してください。」
「ヤダね……と言いたいところだが、仕方あるめぇ。お互い遺恨を解消するには良い頃合いだ。母もそんなこと望んじゃいないと思うからな」
俺たちは雪原へと向かった。
雪原には熊と犬の中間の様な白い毛皮の魔獣が炎の中心で唸り声を上げていた。
人をこんな化物に変えちまうなんて、親父は相当ご立腹だったみたいだな。
マヤが先にルネスタから降りて、ライアンの元へと駈けて行った。
それから熱風で雪を溶かし、露出した大地に魔法陣を転写する。
そしてその魔法陣に炎が宿り、魔獣の動きが固定された。
「ルークさん、今です!」
「あいよ」
俺は軽やかに魔獣の背中に着地した。
それから魔獣の背中に剣を突き立てる。
おれの中に魔法の構成と出力が流れ込んでくる。
ややこしい呪いだが、解けないようにはできていない。
ただし、おれ以外には解けないだろう。
同一の波長をもつ魔法しか受け付けない。
おれは氷の板を作り、刻印を写し取った。
それをひっくり返して、魔獣の刻印と組み合わせる。
「苦しませて悪かったな。母さんも苦しんだんだ。許せ」
効果は劇的だった。
魔獣の身体はどんどん縮み、一人の痩せた男だけが残った。
おれは男を担ぐと残り火がちらちらと燃える野原に足を踏み入れた。
そこに金髪碧眼の美しい男が近づいて来た。
こいつがライアンだとおれは確信した。
「気を失ってるだけだ。お前がライアン王子か?」
「フレデリックを助けてくれて感謝します。そうですが、何ですか?青嵐の騎士殿」
「いや、あいつから聞いてた通りの優男だなと思って」
「マヤ殿のことを軽々しくあいつなどと呼ばないでいただきたい」
「はっ。一年も放っておいた女を自分の物扱いか。流石、王族。傲慢だな」
「不遜なのはそちらの方なのでは?たかだか数か月一緒に旅をしただけの貴方が彼女の何を知ってると?」
「多分、王子様の知らないあいつをおれは知ってると思うぜ」
「お二人で何を言い争っているんですか?どうせルークさんがけしかけたんでしょう。ごめんなさい、ライアン様。ほら、ルークさん謝って下さい」
とてとてと歩いて来たマヤになぜかおれが叱られる。
年上だってわかったんだから敬意を払えよ。
その後のおれたちのやり取りを見てライアンは少し寂しい顔をした。
おれはちょっとした優越感に浸った。
マヤがこんな口を利くのはどうやらおれだけらしい。
おれだけしか知らないマヤがいる。
それはとても特別なことだと思った。
この国とおれには因縁がある。
だから出来たら近づきたくない場所であった。
ライアンのいるというブーケモール城に行くと、アンジェリカと名乗る王太子妃が現れた。
アンジェリカはおれたちを応接間に通すと昔話を始めた。
長ったらしい話だぜ。
おれは途中で欠伸を噛み殺した。
「わかってたんだな、お妃さんよ。おれが誰なのか」
「……帝国の王家だけに伝わっている事実がもう一つあるのです。精霊と召喚士の間に生まれた子供は青髪青目だったと。帝国はずっと貴方を探し続けていました。青嵐の騎士、ルーク様」
そうだ、
その召喚士の母親と風と水の高位の精霊である父親から生まれたのがおれだ。
そのため、この鮮やかな髪と目、それに歳を取りにくい体質、風と水の祝福を受け、他の魔力を受け付けられないのも全部そのため。
「おれに顔も知らない親父の尻拭いをしろっていうのか?」
「ライアン様からマヤ・クラキ様のお手紙の内容をお聞きして、これは千載一遇の機会だと思いました。同一の力を持つ者しかこの呪いは解けません。そして、今、フレデリックの呪いが発動し、貴方がやって来た。呪いを解除してください。」
「ヤダね……と言いたいところだが、仕方あるめぇ。お互い遺恨を解消するには良い頃合いだ。母もそんなこと望んじゃいないと思うからな」
俺たちは雪原へと向かった。
雪原には熊と犬の中間の様な白い毛皮の魔獣が炎の中心で唸り声を上げていた。
人をこんな化物に変えちまうなんて、親父は相当ご立腹だったみたいだな。
マヤが先にルネスタから降りて、ライアンの元へと駈けて行った。
それから熱風で雪を溶かし、露出した大地に魔法陣を転写する。
そしてその魔法陣に炎が宿り、魔獣の動きが固定された。
「ルークさん、今です!」
「あいよ」
俺は軽やかに魔獣の背中に着地した。
それから魔獣の背中に剣を突き立てる。
おれの中に魔法の構成と出力が流れ込んでくる。
ややこしい呪いだが、解けないようにはできていない。
ただし、おれ以外には解けないだろう。
同一の波長をもつ魔法しか受け付けない。
おれは氷の板を作り、刻印を写し取った。
それをひっくり返して、魔獣の刻印と組み合わせる。
「苦しませて悪かったな。母さんも苦しんだんだ。許せ」
効果は劇的だった。
魔獣の身体はどんどん縮み、一人の痩せた男だけが残った。
おれは男を担ぐと残り火がちらちらと燃える野原に足を踏み入れた。
そこに金髪碧眼の美しい男が近づいて来た。
こいつがライアンだとおれは確信した。
「気を失ってるだけだ。お前がライアン王子か?」
「フレデリックを助けてくれて感謝します。そうですが、何ですか?青嵐の騎士殿」
「いや、あいつから聞いてた通りの優男だなと思って」
「マヤ殿のことを軽々しくあいつなどと呼ばないでいただきたい」
「はっ。一年も放っておいた女を自分の物扱いか。流石、王族。傲慢だな」
「不遜なのはそちらの方なのでは?たかだか数か月一緒に旅をしただけの貴方が彼女の何を知ってると?」
「多分、王子様の知らないあいつをおれは知ってると思うぜ」
「お二人で何を言い争っているんですか?どうせルークさんがけしかけたんでしょう。ごめんなさい、ライアン様。ほら、ルークさん謝って下さい」
とてとてと歩いて来たマヤになぜかおれが叱られる。
年上だってわかったんだから敬意を払えよ。
その後のおれたちのやり取りを見てライアンは少し寂しい顔をした。
おれはちょっとした優越感に浸った。
マヤがこんな口を利くのはどうやらおれだけらしい。
おれだけしか知らないマヤがいる。
それはとても特別なことだと思った。
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