最強の聖女は恋を知らない

三ツ矢

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大陸放浪編

世界樹〜英雄と王子〜

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 それから一週間おれは世界樹の傍らでぼんやりと過ごした。

不思議なことに、この森に入ってから喉も乾かないし、空腹も感じなかった。



おれはこれからどうしようか。



以前のように、国から国を渡り、自分の能力を誇示して回るか、それともこのまま隠遁生活を送るか。

そもそもエイブリー帝国との因縁も解消されたんだから、どこかに定住したっていい。

受け入れてくれる国ならそれなりにあるだろう。

美人の嫁さんでも貰ってそれで普通の生活を送る。



しかし、どんな道を選んでもマヤはいない。



ラベンダーを受け取ったあの時の笑顔が甦る。



マヤには二度と会えないのだ。



何故、俺が生き残って、マヤがいないのだろう。



そんなのおかしいじゃないか。



おれはもう十分生きた。



おれはただ、世界樹に背をもたれながら奇跡を願っていた。



 それから何度夜を越えたかわからない。

そこにライアンがやってきた。

その手にはあのデヴィンからもらったコンパスがあった。



「ルーク殿、眠り病が消えました。マヤ殿はどこに行ったのですか?」



おれは世界樹の軸の役割を明かした。



二人のいずれかが世界樹の軸にならなければならないこと。

妖精や精霊と縁が深く、魔力が強く、世界を愛する心をもつ人間だけが選ばれること。

世界樹の軸となった人間は世界樹と同化して西大陸に魔力を供給すること。

自分が軸になるつもりで来たが、最後の瞬間までマヤと居たいという気持ちが抑えきれず、ここまで連れてきてしまったこと。

マヤがおれの父である精霊アスターファを召喚し、その刻印によって世界樹の軸に選ばれたこと。

その魔法を解くことはできず、みすみすマヤを世界樹に行かせてしまったこと。



おれはその全てを吐露した。

それを聞いたライアンはおれの顔を思いっきり殴った。



「青嵐の騎士たるルーク殿だから、マヤ殿を任せたのに。この体たらくはなんですか?簡単に『運命』だという便利な言葉で言い訳して。俺は必ず、マヤ殿を救い出します」



 それからライアンはひたすら世界樹に話しかけ続けた。

世界樹がマヤそのものであるかのように振舞った。



滑稽で惨めだとおれは思った。



ライアンはマヤを失ったことを受け入れられないのだと。



懸命にマヤと呼び続けるライアンをおれは哀みの目で見つめた。

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