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真のヒロインは悪役令嬢に夢中
しおりを挟む更に続けますと、前世の記憶を持っていたのはデイヴィッドだけではありませんでした。
あの冬の舞踏会で告発するように言いつけられた女子生徒、平民の出でありながら魔法の素質を見抜かれて入学したエマ・コールマンという名前でした。
うっすら紫がかった黒髪に朱色の入った褐色の瞳をしています。
エマは前世からお嬢様を慕っておりました。
その勢いは留まることを知らず、同じ学校に進学し、クラスに通いつめたり、同じ部活に入ったりと孤高の存在だったお嬢様の熱烈な信徒でした。
お嬢様の美貌と賢さと潔さに強く感銘を受けていたのです。
その上、この世界が乙女ゲームの世界観を反映していることも理解していました。
それというのも、『お嬢様に似ているキャラクターがいる』と思い、このゲームをやりこんでいたからでした。
そうローズ・ウィルソンは悪役令嬢だったのです。
そして、エマ・コールマンこそが悪役令嬢のライバル役となるべき真のヒロインでした。
そのため、悪役令嬢であるローズの末路も知っていました。
エマはなんとかローズをハッピーエンドに導こうと陰で画策します。
断罪イベントも難なくスルーすることができました。
そこで、ローズの兄であるオリバー・ウィルソンを攻略することにしました。
このルートではローズの未来にエマの存在が影響を与えることはありませんし、義姉妹になれるというエマにとっては良いこと尽くめだったのです。
ローズはヒロインであるエマを邪険に扱っていましたが、エマはそんなこと全く気にしません。
ローズが今日も元気でいてくれるだけで幸せでした。
こうして自分勝手で高慢ちきなお嬢様であるローズでしたが、なぜか妙にその身を案じる多くの人間たちの力によって破滅フラグを回避させられていたのです。
しかし、物語を越えて本人が危険なところに身を投じることだけは止められませんでした。
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