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4章 黒の王女様
19話
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ー 6月 ー
「ねぇ、知ってる?大学院1年の黒の王女様について」
「黒のプリンセス……って、あの?」
「そう、あの四之宮二乃様のお姉様よ。」
私は、密かな声で話す女の子達を横目にとおりすぎる。
最近、学園である人のことについて噂されているのを聞く。だが、ある人は、どの噂でも"黒のプリンセス"と呼ばれている。今年入ったばかりの私にとっては、なにがなんだかさっぱりで、詳細を知ることすらなかった。
「最近、増えてきたな…あの人の噂……」
「あの人って……みんなが言う黒のプリンセスとかいう人?」
「あ~琉乃愛、知らないんだっけ…黒のプリンセスについて…」
樺音は、1から10まで丁寧に説明してくれた。
黒のプリンセスというのは、ある1人の女生徒につけられた呼び名らしい。その女生徒とは、現体質サークルの部長を務めている四之宮二乃という人のお姉さん、四之宮彼方さんのことだ。
呼び名は、あることがきっかけでつけられていて、私が転入してくる随分前に存在していたらしい。
「でも、なんで、黒のプリンセスなの?」
「さっき、あることがきっかけって言っただろう?きっかけは、彼女が中等部に進級した時にあったんだ。彼女は、初等部卒業時点で、ステラ操作をマスターしていたんだけれど、進級式で、彼女の第1のステラである、あらゆる呪いを操作できる"呪縛"を人に使ってしまったんだ。その人は、呪いに苦しんだけれど、治癒と彼女のステラで助かった。この事件は、彼女がステラ貴族であることから、もみ消されたが、当時、学園に在籍していた人は、彼女を噂の中で黒のプリンセスとして、事件のことを広めているらしい。他に、彼女が、素行不良といったのもあっただろうけどね。」
「ス、ステラってすごいね……ハ、ハハ…」
私は、顔を引きつっているのが自分でもわかるくらいな顔をしていた。
「多分、今回、また、彼女の噂が、広まり出したのは、姉弟喧嘩で弟を殺しかけたことがきっかけだと思う。」
私は、驚きを隠せず口に手を当て、絶句していた。
「姉弟喧嘩と言っても、きっかけは、些細なことだったんだけれど、2人とも度を越え過ぎていて、弟の方が半殺しされた状態になっていたんだ。しかも、大学院1年となれば、あと1年でこの楽園を抜けれるだろう?だから、楽園側は、彼女を危険視し、このまま引き止めたいと考え、四之宮家は、家門を長女に継がせたく、1年後に楽園を抜けさせたいと考えるから、今、楽園側と四之宮家が対立しているらしいんだ。」
「姉弟喧嘩で半殺し!?、楽園側とお家で対立?信じられない!」
琉乃愛は、肩を震わせ、樺音は、それを見て、落ち着かせていた。
ー 昼休み ー
ドカーン!
「な!何?!なにが起きてるの?」
私は、先生に呼ばれて、2階の職員室に向かったのだが、いきなり、爆発に近い大きな音が聞こえたと思うと、近くの壁が破壊されて、穴が空いていたのだ。
琉乃愛は、その衝撃に驚き、腰を抜かして座り込む。
すると、そこに向かって走ってきている生徒が出てきて、一瞬、私と目が合ったのだ。
「高等部のひ────うわっ!」
私は、その人に腕を掴まれ、一緒に穴を抜けてしまったのだ。2階という高さもあり、怖くて、ステラを発動させると、地面に足をつけた時、怪我をすることなく着地することができたのだ。
「やるじゃん!君」
その人は、私の腕を引き、走りながら話しかけてきた。
「だ、誰なんですか!?なぜ一緒に走ってるですか?!どこに向かってるんですか?!」
「質問ばかり……。私を知らないとは、君、新入り?」
「そうですけど、誰なんですか!?制服を見る限り、高等部か、大学院の人ですよね!?」
私は、開き直り、彼女に怒鳴りつける。
「私は、大学院1年。四之宮彼方。」
私は、驚きを隠せず、掴まれてた腕を無理やり、振りほどく。
そこでようやく彼女も止まり、口を開いたのだ。
「名前を聞いた瞬間、止まったってことは、黒のプリンセス、つまり、私の噂聞いちゃったか~。」
「ほ、本当のことなんですか?」
「ええ。でも、姉弟喧嘩の方は本当だけれど、進級式のことについては、本当ではないわ。」
「この話は………今は、協力して!」
「なんで、どこに向かってるんですか?」
「……出口………楽園の出口」
「は!?ふざけてるんですか?無理に決まってるじゃないですか!?出口には、ステラの警備隊がいるんですよ?勝ってこないですよ!」
「君、馬鹿なの?真正面から行くわけないじゃない。捕まりに行ってるようなもんじゃない…。」
「じゃあ、どうするんで───ウグッ!」
私は、彼女にいきなり口を塞がれ、そこら辺の物陰に隠れたので、身動きが取れなくなってしまったのだ。
「おい、そっちいなかったか?くっそ!どこ行きやがった!?」
どうやら、彼女は、誰かにおわれているようだ。
男は、その場を立ち去り、他の場所を探しに行った。
「ぷはー……おわれてる状況でどうやって楽園を抜けるんですか?」
私の塞がれた口は、男が去ったと同時に解かれたのだ。
「力づくで……開けるのよ。私の第2のステラ、なんでも破壊できる"破壊"を使うのよ。」
琉乃愛は、彼女に手を引かれるまま、彼女と共に行動をするのであった。
やっと、門に離れた塀にたどり着くことができたが、ここからが問題だ。力づくで塀を壊すとしても、音でバレる可能性がある。捕まらずに塀の外へ出られたとしてもゲートをどうくぐりぬけるかだ。ゲートは、あの男の手によって操られ、見つけることすら出来ないのに────。
「ねぇ、知ってる?大学院1年の黒の王女様について」
「黒のプリンセス……って、あの?」
「そう、あの四之宮二乃様のお姉様よ。」
私は、密かな声で話す女の子達を横目にとおりすぎる。
最近、学園である人のことについて噂されているのを聞く。だが、ある人は、どの噂でも"黒のプリンセス"と呼ばれている。今年入ったばかりの私にとっては、なにがなんだかさっぱりで、詳細を知ることすらなかった。
「最近、増えてきたな…あの人の噂……」
「あの人って……みんなが言う黒のプリンセスとかいう人?」
「あ~琉乃愛、知らないんだっけ…黒のプリンセスについて…」
樺音は、1から10まで丁寧に説明してくれた。
黒のプリンセスというのは、ある1人の女生徒につけられた呼び名らしい。その女生徒とは、現体質サークルの部長を務めている四之宮二乃という人のお姉さん、四之宮彼方さんのことだ。
呼び名は、あることがきっかけでつけられていて、私が転入してくる随分前に存在していたらしい。
「でも、なんで、黒のプリンセスなの?」
「さっき、あることがきっかけって言っただろう?きっかけは、彼女が中等部に進級した時にあったんだ。彼女は、初等部卒業時点で、ステラ操作をマスターしていたんだけれど、進級式で、彼女の第1のステラである、あらゆる呪いを操作できる"呪縛"を人に使ってしまったんだ。その人は、呪いに苦しんだけれど、治癒と彼女のステラで助かった。この事件は、彼女がステラ貴族であることから、もみ消されたが、当時、学園に在籍していた人は、彼女を噂の中で黒のプリンセスとして、事件のことを広めているらしい。他に、彼女が、素行不良といったのもあっただろうけどね。」
「ス、ステラってすごいね……ハ、ハハ…」
私は、顔を引きつっているのが自分でもわかるくらいな顔をしていた。
「多分、今回、また、彼女の噂が、広まり出したのは、姉弟喧嘩で弟を殺しかけたことがきっかけだと思う。」
私は、驚きを隠せず口に手を当て、絶句していた。
「姉弟喧嘩と言っても、きっかけは、些細なことだったんだけれど、2人とも度を越え過ぎていて、弟の方が半殺しされた状態になっていたんだ。しかも、大学院1年となれば、あと1年でこの楽園を抜けれるだろう?だから、楽園側は、彼女を危険視し、このまま引き止めたいと考え、四之宮家は、家門を長女に継がせたく、1年後に楽園を抜けさせたいと考えるから、今、楽園側と四之宮家が対立しているらしいんだ。」
「姉弟喧嘩で半殺し!?、楽園側とお家で対立?信じられない!」
琉乃愛は、肩を震わせ、樺音は、それを見て、落ち着かせていた。
ー 昼休み ー
ドカーン!
「な!何?!なにが起きてるの?」
私は、先生に呼ばれて、2階の職員室に向かったのだが、いきなり、爆発に近い大きな音が聞こえたと思うと、近くの壁が破壊されて、穴が空いていたのだ。
琉乃愛は、その衝撃に驚き、腰を抜かして座り込む。
すると、そこに向かって走ってきている生徒が出てきて、一瞬、私と目が合ったのだ。
「高等部のひ────うわっ!」
私は、その人に腕を掴まれ、一緒に穴を抜けてしまったのだ。2階という高さもあり、怖くて、ステラを発動させると、地面に足をつけた時、怪我をすることなく着地することができたのだ。
「やるじゃん!君」
その人は、私の腕を引き、走りながら話しかけてきた。
「だ、誰なんですか!?なぜ一緒に走ってるですか?!どこに向かってるんですか?!」
「質問ばかり……。私を知らないとは、君、新入り?」
「そうですけど、誰なんですか!?制服を見る限り、高等部か、大学院の人ですよね!?」
私は、開き直り、彼女に怒鳴りつける。
「私は、大学院1年。四之宮彼方。」
私は、驚きを隠せず、掴まれてた腕を無理やり、振りほどく。
そこでようやく彼女も止まり、口を開いたのだ。
「名前を聞いた瞬間、止まったってことは、黒のプリンセス、つまり、私の噂聞いちゃったか~。」
「ほ、本当のことなんですか?」
「ええ。でも、姉弟喧嘩の方は本当だけれど、進級式のことについては、本当ではないわ。」
「この話は………今は、協力して!」
「なんで、どこに向かってるんですか?」
「……出口………楽園の出口」
「は!?ふざけてるんですか?無理に決まってるじゃないですか!?出口には、ステラの警備隊がいるんですよ?勝ってこないですよ!」
「君、馬鹿なの?真正面から行くわけないじゃない。捕まりに行ってるようなもんじゃない…。」
「じゃあ、どうするんで───ウグッ!」
私は、彼女にいきなり口を塞がれ、そこら辺の物陰に隠れたので、身動きが取れなくなってしまったのだ。
「おい、そっちいなかったか?くっそ!どこ行きやがった!?」
どうやら、彼女は、誰かにおわれているようだ。
男は、その場を立ち去り、他の場所を探しに行った。
「ぷはー……おわれてる状況でどうやって楽園を抜けるんですか?」
私の塞がれた口は、男が去ったと同時に解かれたのだ。
「力づくで……開けるのよ。私の第2のステラ、なんでも破壊できる"破壊"を使うのよ。」
琉乃愛は、彼女に手を引かれるまま、彼女と共に行動をするのであった。
やっと、門に離れた塀にたどり着くことができたが、ここからが問題だ。力づくで塀を壊すとしても、音でバレる可能性がある。捕まらずに塀の外へ出られたとしてもゲートをどうくぐりぬけるかだ。ゲートは、あの男の手によって操られ、見つけることすら出来ないのに────。
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