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4章 黒の王女様
22話
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「えーん、うぇーん、えーん……………ひっぐ、ひっぐ」
鳴き声は周りに裂けそうなくらい高い声が響いていた。
ある日の夕方。このシーズンは、雪が降るので、今も、積もるほど大量の雪がゆっくり降っている。その中でキョロキョロしながら、涙を浮かべている女の子が寮の前で立っていた。
女の子は、どうも寮の小屋根の下で雪が降りかからないようにしているように見えた。
「玲ちゃん、泣かないで?"なー"も寂しくてなきそうになる時あるよ?」
女の子は、こくりと頭を縦に振り、しばらくして泣き止む。
「なーちゃんもさびしいの?」
「ときどきね」
女の子の名前は神宮寺玲。楽園で出来た、彼方の妹みたいな存在の子。女の子との関係性は親戚。女の子は、楽園に入ったばかりの3歳児で、親元から離れたばかりの子だ。彼方は、女の子の家には1度だけ行ったことがある。彼方は小さかったので記憶にすら残ってないだろう。
お母さん達から離れるのが辛いのはなーもわかる。なーも玲ちゃんぐらいの時にそーだったから。それに玲ちゃんは、なーと違って生活に慣れないでいる。
女の子が泣いている理由はこれだ。馴染めないと寂しい気持ちが増幅するだけ。それを止めようとしてるのが彼方だ。
「なーちゃん、れいもいつかなかないでいられるようになれる?」
「なれるよ!なーもなれたから。」
「じゃあ約束しよ?玲ちゃんが泣かないでいられるようになるまでなーがとなりにいる。」
「うん!やくそく。」
そう言って彼方と玲は約束を交わした。
懐かしい……。彼方は、表札に書いてある「神宮寺」という文字を見て昔の記憶を思い出していた。ここが玲ちゃんの家だかは知らないが、何故か玲ちゃんに関係がある気がする。そういえば玲ちゃんの家に行ったことがあるらしいけど記憶にないから行ってないのとおなじ。
「鹿島様はこちらへ、四之宮様は私目について来てくださいませ」
そう言われた琉乃愛は、畳の敷き詰められたふすまのある部屋に通され、彼方は、女の人について行ったのだ。
私は、人の家にいるからかキョロキョロ周りを見渡してしまって落ち着かない。
それにしてもここに来るまでに頭に時々流れた声はなんだったんだろう………。
少しかすれて聞こえずらかったけど、明らかにあれは誰かがステラで私に語りかけていた。
誰だったんだろう─────。
その頃、彼方は、と言うと、女の人に着いて屋敷の廊下を歩いていた。
「あの、私は、今どこに向かわれているのですか?」
私は、この家の人に失礼がないよう丁寧な口調で問いかけた。
「この家の主、姫様の所へ向かっています。」
姫様?どこかで聞いた覚えのある言葉……。
それにしてもここの屋敷守りが万全ね。何よりここの屋敷全体には、結界が張ってある。こんな膨大な結界を張るには、膨大なステラが必要……なのに………誰がこんな巨大な結界を…………。
「着きました。そちらのふすまをゆっくり開けてからおはいりくださいませ。」
「失礼します………。」
私は、一言だけ言って、言われた通りの作法で入る。
「よぉきたの彼方。君がここへ来たのは2度目じゃのぉ。前来た時は君は小さかったから覚えておらんだろう。」
私の名前を呼び捨てにしたのは、絵になるような綺麗さをもちあわせ、豪華な着物を着た若い女だった。
『前来た時は』ってことは玲ちゃんの………?
「まさか、ここの屋敷は、神宮寺玲の……!?」
「そうじゃぞ?表札に書いてあっただろう」
女は、何を言ってるんだ?的な顔をし、着物の裾で口をおおいながら、腹を抱えて笑っていた。
そうよね……。神宮寺と言ったら、この一族しかこの世界に存在するはずないもの…………。
ステラ貴族は全家門そうなのだ。
それも、全家門の当主が強者ばかり…………。
経済にしても、ステラにしても、業績にしても、どれもトップに立っているステラ貴族。
それぞれの家門が財閥として存在するくらいだ。
この屋敷の広さで、神宮寺家と言ったら、玲ちゃんの実家しかあてはまらないだろう。
「ああ、申し遅れたのぉ、我は、この屋敷の主であり、屋敷の膨大な結界を張っておる神宮寺榧である。」
神宮寺榧は、この屋敷の主、神宮寺家の当主。そうであれば、この人が、皆に呼ばれている姫様か。
結界を張れるということは、持っているステラは、空間領域を設定する"結界"のステラ。
当主であれば、屋敷全体に結界を張ることはお手の物だろう。
「姫様、今日、テレパシーで私たちを呼んだのはあなたですか?」
「テレパシー?そんなものは使っておらぬぞ?」
「ですが、私たちがここを訪れるのを承知であったでは無いですか。」
「それは、ここの者がステラでそなたらが来ることを察知したからじゃよ。ついでとして、そなたと話がしたかったからじゃ。」
これは積もる話になりそうだと彼方は、察する。
姫様がきりだした話は、私の今後についての話であった。姫様は、私がこのまま学園を卒業して四ノ宮家の次期当主となることを望んでいる。
なぜなら、私たちの一族、四ノ宮家は今、父上が病に瀕していて、父上が行うべき仕事が行われていない。その上、後継者として私が候補にあがっているのに、色々と問題を起こし、次期当主の座を嫌がっている。そうなれば、親戚として姫様は、見過ごすことが出来ないからだ。
鳴き声は周りに裂けそうなくらい高い声が響いていた。
ある日の夕方。このシーズンは、雪が降るので、今も、積もるほど大量の雪がゆっくり降っている。その中でキョロキョロしながら、涙を浮かべている女の子が寮の前で立っていた。
女の子は、どうも寮の小屋根の下で雪が降りかからないようにしているように見えた。
「玲ちゃん、泣かないで?"なー"も寂しくてなきそうになる時あるよ?」
女の子は、こくりと頭を縦に振り、しばらくして泣き止む。
「なーちゃんもさびしいの?」
「ときどきね」
女の子の名前は神宮寺玲。楽園で出来た、彼方の妹みたいな存在の子。女の子との関係性は親戚。女の子は、楽園に入ったばかりの3歳児で、親元から離れたばかりの子だ。彼方は、女の子の家には1度だけ行ったことがある。彼方は小さかったので記憶にすら残ってないだろう。
お母さん達から離れるのが辛いのはなーもわかる。なーも玲ちゃんぐらいの時にそーだったから。それに玲ちゃんは、なーと違って生活に慣れないでいる。
女の子が泣いている理由はこれだ。馴染めないと寂しい気持ちが増幅するだけ。それを止めようとしてるのが彼方だ。
「なーちゃん、れいもいつかなかないでいられるようになれる?」
「なれるよ!なーもなれたから。」
「じゃあ約束しよ?玲ちゃんが泣かないでいられるようになるまでなーがとなりにいる。」
「うん!やくそく。」
そう言って彼方と玲は約束を交わした。
懐かしい……。彼方は、表札に書いてある「神宮寺」という文字を見て昔の記憶を思い出していた。ここが玲ちゃんの家だかは知らないが、何故か玲ちゃんに関係がある気がする。そういえば玲ちゃんの家に行ったことがあるらしいけど記憶にないから行ってないのとおなじ。
「鹿島様はこちらへ、四之宮様は私目について来てくださいませ」
そう言われた琉乃愛は、畳の敷き詰められたふすまのある部屋に通され、彼方は、女の人について行ったのだ。
私は、人の家にいるからかキョロキョロ周りを見渡してしまって落ち着かない。
それにしてもここに来るまでに頭に時々流れた声はなんだったんだろう………。
少しかすれて聞こえずらかったけど、明らかにあれは誰かがステラで私に語りかけていた。
誰だったんだろう─────。
その頃、彼方は、と言うと、女の人に着いて屋敷の廊下を歩いていた。
「あの、私は、今どこに向かわれているのですか?」
私は、この家の人に失礼がないよう丁寧な口調で問いかけた。
「この家の主、姫様の所へ向かっています。」
姫様?どこかで聞いた覚えのある言葉……。
それにしてもここの屋敷守りが万全ね。何よりここの屋敷全体には、結界が張ってある。こんな膨大な結界を張るには、膨大なステラが必要……なのに………誰がこんな巨大な結界を…………。
「着きました。そちらのふすまをゆっくり開けてからおはいりくださいませ。」
「失礼します………。」
私は、一言だけ言って、言われた通りの作法で入る。
「よぉきたの彼方。君がここへ来たのは2度目じゃのぉ。前来た時は君は小さかったから覚えておらんだろう。」
私の名前を呼び捨てにしたのは、絵になるような綺麗さをもちあわせ、豪華な着物を着た若い女だった。
『前来た時は』ってことは玲ちゃんの………?
「まさか、ここの屋敷は、神宮寺玲の……!?」
「そうじゃぞ?表札に書いてあっただろう」
女は、何を言ってるんだ?的な顔をし、着物の裾で口をおおいながら、腹を抱えて笑っていた。
そうよね……。神宮寺と言ったら、この一族しかこの世界に存在するはずないもの…………。
ステラ貴族は全家門そうなのだ。
それも、全家門の当主が強者ばかり…………。
経済にしても、ステラにしても、業績にしても、どれもトップに立っているステラ貴族。
それぞれの家門が財閥として存在するくらいだ。
この屋敷の広さで、神宮寺家と言ったら、玲ちゃんの実家しかあてはまらないだろう。
「ああ、申し遅れたのぉ、我は、この屋敷の主であり、屋敷の膨大な結界を張っておる神宮寺榧である。」
神宮寺榧は、この屋敷の主、神宮寺家の当主。そうであれば、この人が、皆に呼ばれている姫様か。
結界を張れるということは、持っているステラは、空間領域を設定する"結界"のステラ。
当主であれば、屋敷全体に結界を張ることはお手の物だろう。
「姫様、今日、テレパシーで私たちを呼んだのはあなたですか?」
「テレパシー?そんなものは使っておらぬぞ?」
「ですが、私たちがここを訪れるのを承知であったでは無いですか。」
「それは、ここの者がステラでそなたらが来ることを察知したからじゃよ。ついでとして、そなたと話がしたかったからじゃ。」
これは積もる話になりそうだと彼方は、察する。
姫様がきりだした話は、私の今後についての話であった。姫様は、私がこのまま学園を卒業して四ノ宮家の次期当主となることを望んでいる。
なぜなら、私たちの一族、四ノ宮家は今、父上が病に瀕していて、父上が行うべき仕事が行われていない。その上、後継者として私が候補にあがっているのに、色々と問題を起こし、次期当主の座を嫌がっている。そうなれば、親戚として姫様は、見過ごすことが出来ないからだ。
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