上 下
9 / 9
新たな出会いたち

旧友

しおりを挟む
「はーい、今日のホームルームだが、重大発表がある」



いつものように聞き流そうとしたホームルームの時間に何やら重大発表があるらしく、久方振りに耳を傾けた。



「んあ?なんだろ…」

「そんな対したことじゃ…」



そんな予想は大きく外れた。



「みんな、卒業おめでとーパチパチー」

「…え?」



と驚いたのは俺だけだった。


え?いやいや、卒業って…まだここ来て一週間!青春エンジョイしてない!



「ちょ、せんせ?いくら何でも早すぎじゃ…」

「?。知らね。卒業つっても、多分ギルドカード発行と住居確保するだけで、この学校への出入りはオッケーだと思うぞ」



あ、そういえばいつも、特別クラスのやつだけ昼から登校してたりしてたな。あれって…。



「ま、と言うわけだ。ほらさっさと行くぞー」

「は、は~い」


まだ驚きっぱなしのまま、ギルド「月楼げつろう」にむかった。



「わあぁ!」

「こら!あんまりはしゃがない!」

「す、すごいわぁ…」



と初めて見るギルドに目を輝かせる四人。まあ、冒険者なら当たり前か。キラびやかな内装。数人の受付嬢が丁寧にクエストの振り分けをしている。

そして辺りには高ランクの冒険者達。

そう、ここは特等の生徒が飛び級で入れるAランカーのブースなのだから。




「どうも~。これから皆様のお手伝いをさせていただく、ギルド嬢のユメ、と言います。どうぞよろしく」

「こちらこそ。よろしくお願いいたします」


と、ギルド嬢がやってきた。

いや、と言うか…。こいつ、もしかして…。

俺は少し疑問…と言うか確認したいことがあり、ギルドカードの発行を終わらせた後ユメに声をかけた。



「なあ、ちょっといいか?」

「はい?どうしましたかルパンさん」



この容姿、喋り方。どれを取っても既視感しかない。もしやこいつ…



「…お前、『ナイト』のユメか?」

「…え?なんで、それを…?」



呆気なく見破った俺は、その後のスケジュールをすべてふっとばしユメと街のカフェに行った。




「…いや~、まさか驚きました。ルパンさんがあのだったなんて~。今も信じられません」

「いや、十分証明したろ」



あれから三十分ほどナイトに関する質問攻めを受け、それをすべて答え、ようやく認めてもらえた。



「いや~にしてもですよ~。…あの日急に死んじゃって…わ、私…本当に後悔したんですよ…?」

「…」



しまった。と俺は思った。

そうだよな…。今まで戦って、元気だったやつが。突然いなくなっちまうんだもんな…。そりゃ、悲しい、か。



「…でも、転生もちだって知って良かったです!じゃないともやもやしたまんまだったんで…」

「…すまんかったな。本当」
 
「そう思うならあんなことしないでくださいよ!一言断るとか…あるでしょうに!」



うう…一言一言がしっかりと胸に刺さる…。



「…さて、そろそろ戻るとしよっかな。もう少し話したいけど、流石に長居しすぎちゃったな」

「私も帰るとしましょうかね」

「じゃあ、ごちそうさま」

「ふふっ…ちゃんと割り勘しますよ。…その図々しさは治ってないですね」

「ま、俺らしくていいだろ?治す気はないぞ」

「ふふ。そういうところも変わってないわね」



少し雑談してから、俺はローナ達の集団に合流した。

因みに、勝手にどっかいったと言うことでこっ酷く怒られてしまった。くそっ!全員自業自得みたいな顔しやがって!
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...