100回転生を繰り返した大大大賢者は新スキル全知全能(ゼウス)で大当たりの人生を送る!

時雨悟はち

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新たな出会いたち

最強の守れなかった世界

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「メフィスト…」

「…つっても、だいぶ昔だし、今よりめちゃくちゃ弱いけど」



俺の過去にいい思い出がたくさんあるように。嫌な思い出はたくさんあり、メフィストの頃にそれは集中していた。



「少し、昔話をしよう」



話とともに浮かぶのは、あの魔王との決戦の日だった。











「くっ…このままじゃ…ジリ貧だな…」



何千、何万のランカー達が死闘をあちこちで繰り広げている。世界存亡の危機、なんて言葉じゃ足りないぐらいの死闘だ。



その中で1つ。何万の魔物を率いて来た大将である魔王に、俺は今立ち向かっていた。



「…っ!」



突然の下からの魔力接近に伴って、俺は宙に飛び出す。飛び出してからそれが囮ということに気付いた。



「ちっ…『純弾!』」



背中から飛んでくる魔力に土の純魔法を撃ち込んだ。

結果は相殺。なんとかギリギリで打ち消すことに成功した。



「…タタカウ、イヤ、コロス」

「ちっ、流行りの片言ってか?ふざけんじゃねえ!」



怒りで頭が沸騰する。こいつは倒さなければいけない。早く、迅速に。



「ぎゃぁ!」

「やめろ…やめてくれ…」

「あぁァァァァァァ!!!!!!」



「…っく…そ…」



聞くだけで胸が締め付けられるような断末魔があちこちで響く。クチャクチャと何かを食べるような気持ちの悪い音も聞こえる。

それが仲間を食べる音じゃなければどれほど良かったことが。



「…もう、容赦しねぇ…」



ついに頭が考えることを放棄した。何故かヒンヤリする頭と裏腹に手には焼けるような痛みを伴うほどの魔力が渦巻いていた。



「…獄炎魔法」



魔力が竜と虎を型どる。地上はグラグラと揺れる。



「…ナンダ?コレハ…」



魔王は抜け出そうとする。

だがそれは叶わないことだった。



「!」



足元には聖魔法で作られた釘を打ち込まれており、最早抜け出せない程になっていた。



「クッ…ナメルナ、ケンジャ」



すぐに暗黒魔法で解除しようとする。だが



「ナ…ニ?ムコウカサレナイ…?」

「アホが。お前が闇属性しか使えないのは知ってんだよ。予め闇属性も使用属性にすれば解除を防ぐことも容易いんだよ」



俺の目に何が写っていたか。きっと復讐と何かを失う目が写っていたことだろう。



「…終いだ。『閻魔の審判』」



極限まで溜めた魔力が一気に飛び出す。真っ黒いそれは稲妻のように、一筋の黒い光を空まで伸ばした。

その光は瞬く間に黒く覆われた空に、一筋の光を筆頭に闇を吸い込んだ。







「終わった…のね」

「かったんや、ワイらはこの世界のガンに」

「ああ、だから、みんな、胸張ってさ…」



そういう仲間は、顔を上げてようやく気付いた。俺も例外ではなく、確かにその目には悲しみの色が溢れていた。



「あいつを…救えたって思おうよ…」

「「「…」」」



救えた。果たしてそうなのか。

たしかに、世界を救うことはできた。何人もの世界を。

でも、そんな世界より救いたい世界があった。



「…こいつの世界は…救えたのか…」

「…」

「こいつだけじゃない。他の奴らだって。守りたかった世界があったんだ。こんな何千、何万の世界を救えなかった…」



俺は…。俺は英雄失格だ。



「…違うぜ、メフィさん」

「何が…。違うってんだ」

「守れたんだよ。この何万の世界は」

「何が言いたい」



今すぐにでも手が出そうになる。むしゃくしゃが抑えられる自身がない。



「…こいつらが守りたかった世界っちゅうのは、ワイらがいまおる世界や」

「?」



そんなわけが…



「せやないと、こんな命投げ出すような戦いにでぇせんで」

「王政から無理矢理派遣された奴等だっていたらしい。そいつらも同じだって…」

「おんなじや。やないと、こんなところ逃げ出しとる。それでもついてきたんは、この生きとる世界を守るためやったんや」

「…それでも…」

「ええかげんにせんか!メフィさんが悪いんやない!むしろ、メフィさんのおかけで、世界が、人々が守られたんや!そんなん、戦った身になったら願ったり叶ったりや!せやからもっと胸張り!せやないと、こっちとしても、戦死したやつらからしてもみっともなくて死んでまうわ!」



目が覚める、とはこのことを言うんだろう。

光がなくなった目は光が確かに戻り、顔には笑顔が綻んでいた。



「…アホか、今死んだら全部パァじゃねえか」

「っ!た、例えばの話や!」

「…でもそうだな。お前ら、最後の最後くらい、胸張って帰ろうぜ」



空には虹がかかっていた。これからの未来を照らしてくれるのか。

照らす未来が、楽しいものでありますように。と願うのだった。







「…って言うのが、あの話の事実なんだ」

「…グズッ」



ひとしきり語り終えたところでローナは何故か号泣していた。



「え、えっ!?そ、そんなに惨い話だった?」

「いや、ちょっと、恥ずかしくなって」



と言いながら鼻をすするローナ。



「私、もっと頑張る!ルパンに負けないぐらい!それで、胸張れるようになってみせる!」



どうやら、俺が言いたかったことは、すでに伝わってたらしい。



「…なら、特訓だ!」

「うん!」



ふと空を見上げた。そこにあの日見た虹はかかっていなかった。でも、心の中には、きれいな虹が一本。鮮やかにかかっていた。
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