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世界線の始まり
新たな九十九神
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ドタドタドタ…
「危ない、危うく遅刻するところだったよ」
そう言いながら僕は教室の扉を開ける。
「おはよ~」
「あ、おはよ~礼人くん!」
「おはよ~礼人」
毎朝、クラスの女の子からの明るい挨拶から始まり
「…ッチ」
と、不良って人たちの舌打ち。ああ…この後またボコボコにされて、女の子なんかに助けられて、情けない姿を見せるんだろうな…。
「は~い、席に着け」
と、担任がやってくる。
「え~っと、男を数えるのは面倒くさいので、女子だけ点呼しま~す」
でた。東祐介先生の十八番、女子ひいき。この時僕は呼ばれない…と思うでしょ。
「まず、九十九礼人ちゃん」
呼ばれちゃうんだよね…これが。というのも、僕は東先生とは全く面識がない。つまりは、僕は先生に女の子だと思われている。僕が男物の制服を着けてるのごおかしくないと思われてるのは、きっと先輩にも男物の制服を着けてる人が多いからだろう。ここで僕はあえて女の子と言う。だって、ひいきされてる方になれるなら…いいでしょ?
さて、ここで不良達はどうするのかとなってくる。彼らは僕と東先生のどっちも嫌っている。だからこそ、こればかりは運だった。しかし、不良達はある程度は優しかったらしい。告げ口はしなかった。だから僕はなるべくいつもの男の娘ボイスで
「はい…」
と答えた。そして女子の点呼が終わり、ホームルームの時間。みんな(女子優先)で自己紹介をすることになった。
「えっと…九十九、礼人です。特技は剣道?です。えっと、みんなと仲良くしたいから。よ、よろしくお願いします…」
「じゃあ、先生が質問しちゃおっかな~」
う…目線と声がとても気持ちが悪い。
「な、何でしょう?」
「凄く可愛いけど、彼氏は?」
…え?
「え、えっと…な、何を言ってるんでしょうか…?」
「だからぁ~、今彼氏はいるのかって…」
「そこまでにしとけ」
低い声が響く。その殺意剥き出しの声に思わず一瞬ひるむ。
「何?先生に対してその口の利き方はなんだ?」
「だから、迷惑がってんだろ。そろそろやめろその気持ち悪ぃ質問を」
教室が、凍る。見慣れない顔だった。きっと新入生だろう。だから東先生に刃向かうことか分かってないらしい。
「えっと、えっと…」
あたふたと考えていたら、
「礼人、ちょっと体貸してもらうよ」
と、刀華さんが言ってきた。
「…え?ちょっとま…」
僕の声が届く前に、刀華さんは僕の体に入っていった。そして一瞬にして意識がなくなっていった。
許せなかった。簡単に言えばそういうこと。ひいきをする先生が、何よりも許せないことだった。だからいつの間にか口から
「そこまでにしとけ」
そう言葉が漏れたのだろう。
「なに?先生に向かってその口の利き方はなんだ?」
そう。俺は不良。だから俺は、刃向かわなければいけない。そしてなにより、あの女を助けたかった。
すると、
「おい。ちょっとまて」
と、あの女の子の声がした。見てみるとあら不思議。
茶色がかかった髪はいつの間にか赤に、制服は袴へと早変わり。
「さっきからうっさいのよ。おまけにジロジロと汚らわしい目で見てきて。気持ち悪いのよ。だいたい、あんた私の彼氏事情聞いてどうするの?あんたが私の彼氏になることは来世でもないから!」
さっきの可愛らしい雰囲気とは打って変わって言動が一気に活発になった。一体、何が起こってんだ?
「ふん、先生に向かってその口とは、面白い。明日、退学届を渡して…」
「あ、それなら安心して。そろそろ訴えようと思ってて、今のすべて録音しておいたから」
一瞬、時が止まる。そして一気に大歓声が起こる。
「おお!ナイス!これで祐作もいなくなる!」
「これだけ証拠があれば、もう下手には動けないでしょうね!」
「へっ、ざまぁみろってんだ!きゃははは!」
と、不良と一般生徒とは思えない程の団結力が生まれていた。す、すげぇな…たった一人の教師のクビ間近でここまで喜ばれているのも、一種の才能ってやつだな…。
う~ん、はっ!
あれ?東先生は?それに、なんでこんなに盛り上がって?
「ど、どうしたの?」
「ん?ああ、栞凪ちゃんが東先生とあんたの会話を録音してたの!だからこれからセクハラされなくてすむんだ!」
え?、って事は…
「担任変わるの?」
「多分そうだと思うよ」
え、い、いやったー!!!
そして、東先生はその後、姿を消したという…。
お昼
モグモグ…以外に和洋折衷なお弁当を食べていると
「よう」
と声がした。
「え?君は確か、朝、僕の事を庇ってくれた…」
「おう、木霊朝洋だ。よろしく」
「よ、よろしく、朝洋くん」
「なあ?てかなんで一人称が僕なんだ?普通私とかだろ?あれか?僕っ子ってやつか?」
やっぱりね~…
「朝洋くん、僕、男だからね」
と、一言告げる。
「…え?」
と、一言。当たり前だ。だって、僕はどう見ても女の子だから。知らなかったら、驚くのも無理はない。むしろ、それが当たり前だった。さあ、もうそろそろ驚きの絶叫が…
「マジかよ、男だったのか…なんか、すまんな」
といい、朝洋くんは手を自分の顔の前に手をおきスリスリとこすり合わせていた。
「え?いや、こんな間違われやすいかっこうしてる僕が悪いんだから気にしなくていいって」
びっくりした。まさか謝られるとは思ってなかったから。びっくりした。本当に。
すると刀華さんが
「ねえ、礼人」
と言ってきた
「なに?刀華さん」
「ちょっと、その朝洋くんって子の大事なものが何か聞いてみてくれる?」
大切な…物?
「う、うん。聞いてみるね」
大切な物の聞き方…ま、単刀直入でもいっかな
「朝洋くん」
「お?何だ?」
「朝洋くんって何か大切なものってある?」
「大切なもの?」
まあ、そんなこと聞いてどうするのって話だけど。
「俺の大切な物は…こいつだな」
といい、一丁の銃を出してきた。
「う、うわぁ!」
本物⁉︎やばいって!
「おい落ち着けって、これは本物じゃない。ビービー弾の玩具の銃だよ」
…え?
「それが、大切な物?」
「ああ、これは兄貴と俺の思い出が詰まったもんなんだ」
「お兄さんとの?」
「ああ、俺の兄貴は5年前に神様の何処に帰ってってな。これは兄貴がまだいたときに一緒に遊んだやつなんだ。二人して防護ゴーグル付けてバカみたいに撃ち合ってたよ。ほんとに…」
「そっ…か。ご、ごめん。そんなつもりじゃ…」
「いいんだよ。もう気にしてねーしな」
そういう朝洋くんの横顔は、在りし日を羨んでるような気がした。
うぅ~…少し悲しい話になったなあ…
「ねえ、朝洋くんに放課後、神社に来るように伝えて」
と、いつの間にかいなくなってた刀華さん(いなくなってた気がした)がそう言ってきた。
「神社に?なんで?」
「あの銃、九十九神が宿ってる」
「え!?」
それって…。
「とにかく、早く言って!」
う、うん。
「あのさ、朝洋くん」
「ん?なんだ?」
「よ、よかったら放課後、神社に来てくれる?」
「ん?なんで?」
「近くの神社が僕の家でさ。だから、来てほしいんだ」
「おう、いいぜ」
放課後
「お~、これが神社の中か~」
見慣れた景色を物珍しそうに見てる朝洋くんを見て、なんだか新鮮な感じがした。ここ最近、友達と遊んでないしな…。
「ほら、礼人。早く九十九神を憑かせる準備を」
ああ、そうだった。
「あのさ、朝洋くん」
「ん?なんだ?」
「ちょっとこっちに来て」
そういい、僕たちは修行のための修行小屋に向かった。
「それで、九十九神を出して欲しいと」
「お願い!父さん。ね?」
必死にねだる僕。こんなにわがままを言ったのはいつぶりだろう。
「…わかった。ただし、何が出ても知らないからな。お前だってあったんだろ」
「うん。覚悟の上だよ」
どうやら、僕の勝ちらしい。父さんは折れて
「じゃあ、やるぞ」
と言ってきた。
「九十九神様。ここに、そなたを育てた主あり。どうかその主のために、その姿を見せたまえ。そして、思う存分主と語り、話をしたまえ…」
ゴクリ…喉を伝う唾は滑らかには入っていかなかった。
「やっとか…待って待って待ちくたびれたぜ。そうか、ようやく俺と話してくれるか…」
きた。刀華さんと同じ。知らない誰かの声。
「よう、俺はカイラ。火に射る、そして修羅の羅ってかいて火射羅。よろしくな!」
ウエスタンコートにカウボーイハット。腰の両サイドには先ほどのビービー銃。凄い…改めて僕は九十九神がいることを実感した。
「こ、こちらこそよろしくお願いします…」
といった。すると、
「お、おい…嘘…だろ…」
と朝洋くんが言った。え?何が…
「兄貴!、兄貴なのか!」
「危ない、危うく遅刻するところだったよ」
そう言いながら僕は教室の扉を開ける。
「おはよ~」
「あ、おはよ~礼人くん!」
「おはよ~礼人」
毎朝、クラスの女の子からの明るい挨拶から始まり
「…ッチ」
と、不良って人たちの舌打ち。ああ…この後またボコボコにされて、女の子なんかに助けられて、情けない姿を見せるんだろうな…。
「は~い、席に着け」
と、担任がやってくる。
「え~っと、男を数えるのは面倒くさいので、女子だけ点呼しま~す」
でた。東祐介先生の十八番、女子ひいき。この時僕は呼ばれない…と思うでしょ。
「まず、九十九礼人ちゃん」
呼ばれちゃうんだよね…これが。というのも、僕は東先生とは全く面識がない。つまりは、僕は先生に女の子だと思われている。僕が男物の制服を着けてるのごおかしくないと思われてるのは、きっと先輩にも男物の制服を着けてる人が多いからだろう。ここで僕はあえて女の子と言う。だって、ひいきされてる方になれるなら…いいでしょ?
さて、ここで不良達はどうするのかとなってくる。彼らは僕と東先生のどっちも嫌っている。だからこそ、こればかりは運だった。しかし、不良達はある程度は優しかったらしい。告げ口はしなかった。だから僕はなるべくいつもの男の娘ボイスで
「はい…」
と答えた。そして女子の点呼が終わり、ホームルームの時間。みんな(女子優先)で自己紹介をすることになった。
「えっと…九十九、礼人です。特技は剣道?です。えっと、みんなと仲良くしたいから。よ、よろしくお願いします…」
「じゃあ、先生が質問しちゃおっかな~」
う…目線と声がとても気持ちが悪い。
「な、何でしょう?」
「凄く可愛いけど、彼氏は?」
…え?
「え、えっと…な、何を言ってるんでしょうか…?」
「だからぁ~、今彼氏はいるのかって…」
「そこまでにしとけ」
低い声が響く。その殺意剥き出しの声に思わず一瞬ひるむ。
「何?先生に対してその口の利き方はなんだ?」
「だから、迷惑がってんだろ。そろそろやめろその気持ち悪ぃ質問を」
教室が、凍る。見慣れない顔だった。きっと新入生だろう。だから東先生に刃向かうことか分かってないらしい。
「えっと、えっと…」
あたふたと考えていたら、
「礼人、ちょっと体貸してもらうよ」
と、刀華さんが言ってきた。
「…え?ちょっとま…」
僕の声が届く前に、刀華さんは僕の体に入っていった。そして一瞬にして意識がなくなっていった。
許せなかった。簡単に言えばそういうこと。ひいきをする先生が、何よりも許せないことだった。だからいつの間にか口から
「そこまでにしとけ」
そう言葉が漏れたのだろう。
「なに?先生に向かってその口の利き方はなんだ?」
そう。俺は不良。だから俺は、刃向かわなければいけない。そしてなにより、あの女を助けたかった。
すると、
「おい。ちょっとまて」
と、あの女の子の声がした。見てみるとあら不思議。
茶色がかかった髪はいつの間にか赤に、制服は袴へと早変わり。
「さっきからうっさいのよ。おまけにジロジロと汚らわしい目で見てきて。気持ち悪いのよ。だいたい、あんた私の彼氏事情聞いてどうするの?あんたが私の彼氏になることは来世でもないから!」
さっきの可愛らしい雰囲気とは打って変わって言動が一気に活発になった。一体、何が起こってんだ?
「ふん、先生に向かってその口とは、面白い。明日、退学届を渡して…」
「あ、それなら安心して。そろそろ訴えようと思ってて、今のすべて録音しておいたから」
一瞬、時が止まる。そして一気に大歓声が起こる。
「おお!ナイス!これで祐作もいなくなる!」
「これだけ証拠があれば、もう下手には動けないでしょうね!」
「へっ、ざまぁみろってんだ!きゃははは!」
と、不良と一般生徒とは思えない程の団結力が生まれていた。す、すげぇな…たった一人の教師のクビ間近でここまで喜ばれているのも、一種の才能ってやつだな…。
う~ん、はっ!
あれ?東先生は?それに、なんでこんなに盛り上がって?
「ど、どうしたの?」
「ん?ああ、栞凪ちゃんが東先生とあんたの会話を録音してたの!だからこれからセクハラされなくてすむんだ!」
え?、って事は…
「担任変わるの?」
「多分そうだと思うよ」
え、い、いやったー!!!
そして、東先生はその後、姿を消したという…。
お昼
モグモグ…以外に和洋折衷なお弁当を食べていると
「よう」
と声がした。
「え?君は確か、朝、僕の事を庇ってくれた…」
「おう、木霊朝洋だ。よろしく」
「よ、よろしく、朝洋くん」
「なあ?てかなんで一人称が僕なんだ?普通私とかだろ?あれか?僕っ子ってやつか?」
やっぱりね~…
「朝洋くん、僕、男だからね」
と、一言告げる。
「…え?」
と、一言。当たり前だ。だって、僕はどう見ても女の子だから。知らなかったら、驚くのも無理はない。むしろ、それが当たり前だった。さあ、もうそろそろ驚きの絶叫が…
「マジかよ、男だったのか…なんか、すまんな」
といい、朝洋くんは手を自分の顔の前に手をおきスリスリとこすり合わせていた。
「え?いや、こんな間違われやすいかっこうしてる僕が悪いんだから気にしなくていいって」
びっくりした。まさか謝られるとは思ってなかったから。びっくりした。本当に。
すると刀華さんが
「ねえ、礼人」
と言ってきた
「なに?刀華さん」
「ちょっと、その朝洋くんって子の大事なものが何か聞いてみてくれる?」
大切な…物?
「う、うん。聞いてみるね」
大切な物の聞き方…ま、単刀直入でもいっかな
「朝洋くん」
「お?何だ?」
「朝洋くんって何か大切なものってある?」
「大切なもの?」
まあ、そんなこと聞いてどうするのって話だけど。
「俺の大切な物は…こいつだな」
といい、一丁の銃を出してきた。
「う、うわぁ!」
本物⁉︎やばいって!
「おい落ち着けって、これは本物じゃない。ビービー弾の玩具の銃だよ」
…え?
「それが、大切な物?」
「ああ、これは兄貴と俺の思い出が詰まったもんなんだ」
「お兄さんとの?」
「ああ、俺の兄貴は5年前に神様の何処に帰ってってな。これは兄貴がまだいたときに一緒に遊んだやつなんだ。二人して防護ゴーグル付けてバカみたいに撃ち合ってたよ。ほんとに…」
「そっ…か。ご、ごめん。そんなつもりじゃ…」
「いいんだよ。もう気にしてねーしな」
そういう朝洋くんの横顔は、在りし日を羨んでるような気がした。
うぅ~…少し悲しい話になったなあ…
「ねえ、朝洋くんに放課後、神社に来るように伝えて」
と、いつの間にかいなくなってた刀華さん(いなくなってた気がした)がそう言ってきた。
「神社に?なんで?」
「あの銃、九十九神が宿ってる」
「え!?」
それって…。
「とにかく、早く言って!」
う、うん。
「あのさ、朝洋くん」
「ん?なんだ?」
「よ、よかったら放課後、神社に来てくれる?」
「ん?なんで?」
「近くの神社が僕の家でさ。だから、来てほしいんだ」
「おう、いいぜ」
放課後
「お~、これが神社の中か~」
見慣れた景色を物珍しそうに見てる朝洋くんを見て、なんだか新鮮な感じがした。ここ最近、友達と遊んでないしな…。
「ほら、礼人。早く九十九神を憑かせる準備を」
ああ、そうだった。
「あのさ、朝洋くん」
「ん?なんだ?」
「ちょっとこっちに来て」
そういい、僕たちは修行のための修行小屋に向かった。
「それで、九十九神を出して欲しいと」
「お願い!父さん。ね?」
必死にねだる僕。こんなにわがままを言ったのはいつぶりだろう。
「…わかった。ただし、何が出ても知らないからな。お前だってあったんだろ」
「うん。覚悟の上だよ」
どうやら、僕の勝ちらしい。父さんは折れて
「じゃあ、やるぞ」
と言ってきた。
「九十九神様。ここに、そなたを育てた主あり。どうかその主のために、その姿を見せたまえ。そして、思う存分主と語り、話をしたまえ…」
ゴクリ…喉を伝う唾は滑らかには入っていかなかった。
「やっとか…待って待って待ちくたびれたぜ。そうか、ようやく俺と話してくれるか…」
きた。刀華さんと同じ。知らない誰かの声。
「よう、俺はカイラ。火に射る、そして修羅の羅ってかいて火射羅。よろしくな!」
ウエスタンコートにカウボーイハット。腰の両サイドには先ほどのビービー銃。凄い…改めて僕は九十九神がいることを実感した。
「こ、こちらこそよろしくお願いします…」
といった。すると、
「お、おい…嘘…だろ…」
と朝洋くんが言った。え?何が…
「兄貴!、兄貴なのか!」
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