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第二章 クラスメイトは吸血鬼
32.そんな僕の修行回③
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男の中の男である僕が小学生女子に手を出すわけがない。
修行中に眠ってしまい、美月ちゃんと裸で抱き合って眠る夢を見たような気がするが……うん、もちろん夢である。夢に決まっている。夢でなければならない。
「さあ、修行の再開だ! 今日も頑張るぞー!」
僕は必要以上に声を張り上げて宣言する。
たっぷり半日以上も眠ったおかげで、すっかり心身の疲れが吹っ飛んでいた。
「いやー、ガムシャラに頑張ったからって成果が出るわけじゃないんだな! ちょっと一昔前の体育会系みたいなことをやってたよ!」
少しでも強くなるために自分を痛めつけていたわけだが……スポーツにせよ格闘技にせよ、成長するために重要なのは効率よく練習をすることだ。
ひたすら自分に苦行を課せば強くなれるというわけではない。
適度な休憩を取りながら、ほど良い修行をするのが大切なのだ。
「美月ちゃんのおかげで勉強になったよ、うん! さあ、頑張ろう!」
心機一転。
しっかりと休息と準備体操、柔軟を行ってから改めて修行に取り組む。
「今日は魔法の練習だな。さて……どこまでできるものやら」
僕は魔法が使えない。
全く使えないわけではないのだが……極端に魔力が少なく、魔力を操作するセンスが少しもなかった。
しかし、僕はすでに体術をある程度極めており、成長が頭打ちになっている。
もちろん、タップリと時間をかければさらなる成長が望めるかもしれないが……この修行場にいられる期間は一ヵ月。
そこまで悠長なことは言っていられない。
そこで……僕はこれまで苦手として避けていた分野にあえて手を伸ばすことにした。
才能がないからとあきらめていた魔法について、もう1度修行をしてみることにしたのである。
「魔法だったら飛鳥姉に教わった方が良かったかもしれないけど……無理かな。あれは天才型みたいなもんだし」
飛鳥姉は精霊と契約して魔法少女に変身することができる。
彼女の魔法は異世界でも滅多に見ることができないハイレベルなものなのだが……飛鳥姉は感覚的に魔法を使っているため、教わっても参考にはならないだろう。
「精神統一。自分の中にある魔力の流れを感じ取って、操作して……ああ、ダメだな。ちっとも上手くいかない!」
体内の魔力を操作して練り上げようとするものの、集まった魔力はすぐに霧散してしまう。
ただでさえ少ない魔力が無駄になってしまった。魔法は発動することはない。
豆鉄砲のような威力の小さな魔法であれば使えなくもないのだが、それ以上に出力を上げようとすると魔力が散ってしまう。呆れるほどに才能がなかった。
「うーん……やっぱり凡人だなあ。師匠がサジを投げたのも無理はない……」
異世界で戦い方を教えてくれた師も「お前はダメだ。魔法のことは忘れろ」と断言していた。
師匠の言葉は正しい。やはり僕には魔法の才能は欠片もないようである。
「せめて身体強化くらいできれば良かったんだけど……やっぱり、生まれ持った才能はどうにもならないな」
「お兄様は魔力が使えないのですね。でしたら、邪気を使用してはいかがでしょうか?」
「邪気?」
美月ちゃんの言葉に僕は首を傾げた。
「邪気というのは我々悪魔が使う力のことです。人間の負の感情から生じるエネルギーなので、魂と感情がある人であれば誰にだって使うことができるはずです」
「負の感情から……そうか、悪魔が使う魔法の源というわけか」
「はい。私がかつて住んでいた魔界は人間世界の邪気が流れ込む場所であり、悪魔はその邪気から生まれた存在であるとされています」
美月ちゃんがつらつらとした口調で説明する。
「邪気を生じさせる感情は様々です。特に強いもので傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、大食、嫌気、強欲、色欲、虚栄、悲嘆、恐怖などがあります。自然と悪魔はこれらの属性に寄ったものになり、例えばかつてお兄様が倒した『あの男』は傲慢の属性を有した悪魔でした」
「ふうん?」
「そして、私は色欲の属性の悪魔です。こう見えても、悪魔の中ではかなり力が強い方なんですよ?」
美月ちゃんが得意げに胸を張って断言する。
うん、何となく想像はついていた。普段の行動とか身体つきとかエロ過ぎるもの。
「邪術ね……女神の加護とは対極にありそうな力だけど、僕にも使えるのかな?」
「邪気を利用する手段を人間は持っていません。ですが、悪魔と契約を交わせば邪術を使うことができるようになります。お望みとあらば、私がお兄様と契約いたしますが?」
「…………」
僕は少しだけ考えこんだ。
美月ちゃんのことを疑う気持ちは少しもないが……これはわりと重要な決断のような気がする。
「悪魔と人間の契約は騙し合い。悪魔は言葉巧みに人間を欺いて、自分が優位になるように契約を結ぼうとします。得た力以上のものを失うことも珍しくはありません。ですが……お兄様の場合は私がいますので、対価もなしのノーリスクです。そこまで迷うことではないと思いますよ?」
「うん、それはいい。良いんだけど……契約って、エッチなことじゃないよね?」
そう……相手がボンテージファッションの色欲の悪魔だけに身構えてしまう。
マンガやライトノベルなどの創作では、悪魔と契約する際にエロいことをしたりする展開はおなじみである。
可愛い妹(小学生)である美月ちゃんとそんなことができるわけがなかった。
「ご安心ください。少しもいやらしいことではありませんわ」
「本当に? おっぱい触ったり、裸になったりしないね?」
「しませんわ。ご安心ください。マルマルをチョメチョメしたりもいたしません。ドカンもなしですわ」
「そっかチョメチョメもズキューンもギシギシアンアンないのか……だったら、安心なのかな?」
こんな簡単に決断して良いことでもなさそうだが……僕が早急に力を求めているのは揺るがざる事実である。
断ったりしても、美月ちゃんが信用されていないのではないかと落ち込んでしまうかもしれない。
どちらかというと、そっちの方が困ってしまう。
「オッケー。わかったよ。だったら、その契約とやらをお願いしようかな?」
「はい。お兄様がお望みとあれば喜んで」
「ただし、エッチなことはなしだ。これはフリじゃない。絶対にダメだぞ!」
「心得ておりますわ。それでは、さっそく契約の儀式をはじめましょうか」
「うん……って、どうしてこっちに近づいてくるのかな?」
美月ちゃんがジリジリと接近してくる。
まるでコーナーに獲物を追い詰めるような動きである。
「近づかなくては契約ができませんもの。当然じゃないですか」
「なるほど……それで、どうして抱き着いておっぱいを押しつけてくるのかな?」
「密着した方が失敗しませんもの。当然じゃないですか」
「なるほど……それで、どうして唇を近づけてくるのかな?」
「キスをするために決まっていますわ。当然じゃないですか」
「なるほど……それで、どうしてキスが必要になるのかな?」
話が違う。
エロいことはしないという約束ではなかったのか。
「キスはエロいことではないでしょう? 〇〇〇を〇〇〇に挿したりしてませんから、エッチなことには含まれませんわ」
美月ちゃんが悪びれることもなく言ってのける。
そうか……さすがは色欲を司る悪魔である。彼女にとってキスというのはエロいことに含まれない行為であるらしい。
「なるほど、なるほど……騙された!」
「逃がしませんわ。観念してください……お兄様!」
「いやああああああああああああああああああっ!?」
すでに抱き着かれておっぱいにホールドされている僕は、抵抗することもできずに美月ちゃんの接吻を受け入れることになった。
さすがはエロ悪魔だ。
彼女がいやらしい行為ではないと断言したキスは、舌と舌とを絡めあう、これでもかと濃密なキッスだったのである。
修行中に眠ってしまい、美月ちゃんと裸で抱き合って眠る夢を見たような気がするが……うん、もちろん夢である。夢に決まっている。夢でなければならない。
「さあ、修行の再開だ! 今日も頑張るぞー!」
僕は必要以上に声を張り上げて宣言する。
たっぷり半日以上も眠ったおかげで、すっかり心身の疲れが吹っ飛んでいた。
「いやー、ガムシャラに頑張ったからって成果が出るわけじゃないんだな! ちょっと一昔前の体育会系みたいなことをやってたよ!」
少しでも強くなるために自分を痛めつけていたわけだが……スポーツにせよ格闘技にせよ、成長するために重要なのは効率よく練習をすることだ。
ひたすら自分に苦行を課せば強くなれるというわけではない。
適度な休憩を取りながら、ほど良い修行をするのが大切なのだ。
「美月ちゃんのおかげで勉強になったよ、うん! さあ、頑張ろう!」
心機一転。
しっかりと休息と準備体操、柔軟を行ってから改めて修行に取り組む。
「今日は魔法の練習だな。さて……どこまでできるものやら」
僕は魔法が使えない。
全く使えないわけではないのだが……極端に魔力が少なく、魔力を操作するセンスが少しもなかった。
しかし、僕はすでに体術をある程度極めており、成長が頭打ちになっている。
もちろん、タップリと時間をかければさらなる成長が望めるかもしれないが……この修行場にいられる期間は一ヵ月。
そこまで悠長なことは言っていられない。
そこで……僕はこれまで苦手として避けていた分野にあえて手を伸ばすことにした。
才能がないからとあきらめていた魔法について、もう1度修行をしてみることにしたのである。
「魔法だったら飛鳥姉に教わった方が良かったかもしれないけど……無理かな。あれは天才型みたいなもんだし」
飛鳥姉は精霊と契約して魔法少女に変身することができる。
彼女の魔法は異世界でも滅多に見ることができないハイレベルなものなのだが……飛鳥姉は感覚的に魔法を使っているため、教わっても参考にはならないだろう。
「精神統一。自分の中にある魔力の流れを感じ取って、操作して……ああ、ダメだな。ちっとも上手くいかない!」
体内の魔力を操作して練り上げようとするものの、集まった魔力はすぐに霧散してしまう。
ただでさえ少ない魔力が無駄になってしまった。魔法は発動することはない。
豆鉄砲のような威力の小さな魔法であれば使えなくもないのだが、それ以上に出力を上げようとすると魔力が散ってしまう。呆れるほどに才能がなかった。
「うーん……やっぱり凡人だなあ。師匠がサジを投げたのも無理はない……」
異世界で戦い方を教えてくれた師も「お前はダメだ。魔法のことは忘れろ」と断言していた。
師匠の言葉は正しい。やはり僕には魔法の才能は欠片もないようである。
「せめて身体強化くらいできれば良かったんだけど……やっぱり、生まれ持った才能はどうにもならないな」
「お兄様は魔力が使えないのですね。でしたら、邪気を使用してはいかがでしょうか?」
「邪気?」
美月ちゃんの言葉に僕は首を傾げた。
「邪気というのは我々悪魔が使う力のことです。人間の負の感情から生じるエネルギーなので、魂と感情がある人であれば誰にだって使うことができるはずです」
「負の感情から……そうか、悪魔が使う魔法の源というわけか」
「はい。私がかつて住んでいた魔界は人間世界の邪気が流れ込む場所であり、悪魔はその邪気から生まれた存在であるとされています」
美月ちゃんがつらつらとした口調で説明する。
「邪気を生じさせる感情は様々です。特に強いもので傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、大食、嫌気、強欲、色欲、虚栄、悲嘆、恐怖などがあります。自然と悪魔はこれらの属性に寄ったものになり、例えばかつてお兄様が倒した『あの男』は傲慢の属性を有した悪魔でした」
「ふうん?」
「そして、私は色欲の属性の悪魔です。こう見えても、悪魔の中ではかなり力が強い方なんですよ?」
美月ちゃんが得意げに胸を張って断言する。
うん、何となく想像はついていた。普段の行動とか身体つきとかエロ過ぎるもの。
「邪術ね……女神の加護とは対極にありそうな力だけど、僕にも使えるのかな?」
「邪気を利用する手段を人間は持っていません。ですが、悪魔と契約を交わせば邪術を使うことができるようになります。お望みとあらば、私がお兄様と契約いたしますが?」
「…………」
僕は少しだけ考えこんだ。
美月ちゃんのことを疑う気持ちは少しもないが……これはわりと重要な決断のような気がする。
「悪魔と人間の契約は騙し合い。悪魔は言葉巧みに人間を欺いて、自分が優位になるように契約を結ぼうとします。得た力以上のものを失うことも珍しくはありません。ですが……お兄様の場合は私がいますので、対価もなしのノーリスクです。そこまで迷うことではないと思いますよ?」
「うん、それはいい。良いんだけど……契約って、エッチなことじゃないよね?」
そう……相手がボンテージファッションの色欲の悪魔だけに身構えてしまう。
マンガやライトノベルなどの創作では、悪魔と契約する際にエロいことをしたりする展開はおなじみである。
可愛い妹(小学生)である美月ちゃんとそんなことができるわけがなかった。
「ご安心ください。少しもいやらしいことではありませんわ」
「本当に? おっぱい触ったり、裸になったりしないね?」
「しませんわ。ご安心ください。マルマルをチョメチョメしたりもいたしません。ドカンもなしですわ」
「そっかチョメチョメもズキューンもギシギシアンアンないのか……だったら、安心なのかな?」
こんな簡単に決断して良いことでもなさそうだが……僕が早急に力を求めているのは揺るがざる事実である。
断ったりしても、美月ちゃんが信用されていないのではないかと落ち込んでしまうかもしれない。
どちらかというと、そっちの方が困ってしまう。
「オッケー。わかったよ。だったら、その契約とやらをお願いしようかな?」
「はい。お兄様がお望みとあれば喜んで」
「ただし、エッチなことはなしだ。これはフリじゃない。絶対にダメだぞ!」
「心得ておりますわ。それでは、さっそく契約の儀式をはじめましょうか」
「うん……って、どうしてこっちに近づいてくるのかな?」
美月ちゃんがジリジリと接近してくる。
まるでコーナーに獲物を追い詰めるような動きである。
「近づかなくては契約ができませんもの。当然じゃないですか」
「なるほど……それで、どうして抱き着いておっぱいを押しつけてくるのかな?」
「密着した方が失敗しませんもの。当然じゃないですか」
「なるほど……それで、どうして唇を近づけてくるのかな?」
「キスをするために決まっていますわ。当然じゃないですか」
「なるほど……それで、どうしてキスが必要になるのかな?」
話が違う。
エロいことはしないという約束ではなかったのか。
「キスはエロいことではないでしょう? 〇〇〇を〇〇〇に挿したりしてませんから、エッチなことには含まれませんわ」
美月ちゃんが悪びれることもなく言ってのける。
そうか……さすがは色欲を司る悪魔である。彼女にとってキスというのはエロいことに含まれない行為であるらしい。
「なるほど、なるほど……騙された!」
「逃がしませんわ。観念してください……お兄様!」
「いやああああああああああああああああああっ!?」
すでに抱き着かれておっぱいにホールドされている僕は、抵抗することもできずに美月ちゃんの接吻を受け入れることになった。
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