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第7話 最後の挨拶
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しおりを挟む「・・・つまり、どういうことなのでしょうか?」
「要するにこのちっこい奴はニクジャガンの心臓なんだよ。時間が停止しているはずのアイテムボックスの中で、菓子食いたさに化けて出てきたんだよ」
まさに文字通り、化けてきた。
「魔王様・・・ではなくて、先代様。貴方はそんなにお菓子が好きだったのですか?」
もはや目の前の男は魔王ではない。
呼び方を直したキャンティに、クリョウカンの膝の上に乗ったニクジャガンが答えた。
「うむ、実のところそうなのだ! 気付かなかったか? お前とクリョウカンを四覇天に選んだのも、お前達がどことなく甘そうな名前をしてるからだ。もちろん、娘の名前も・・・へぶっ!」
「失礼。足が滑りました」
「ペロペロキャンティ! 魔王様に無礼ですよ!?」
ニクジャガンを蹴り飛ばしたキャンティが腰を折って謝罪する。
物腰こそ丁寧であるが、明らかに背後の怒りのオーラが増している。気のせいか、頭に角まで生えている気がする。
「いや、それは元からか」
「貴方も貴方です! 賢者クロノ! 貴方はどうして先代様をかくまっていたのですか?」
「別にかくまってたわけじゃないさ。ただ、アイテムボックスにも封印できないんじゃあ、どんな方法でも閉じ込めることなんてできないだろ? だったら、欲しい物を与えて懐柔したほうが楽だろ?」
「うむ! 定期的にスイーツをもらうことと引き換えに人間との確執を捨てることにしたのだ!」
ニクジャガンが胸を張って主張する。
「スイーツくらいで捨てられるのですか!? だったらあの戦争は何だったというのですか!?」
かつて人類殲滅。世界征服を掲げたのはニクジャガンだ。
言い出しっぺのこの男がそんな簡単に人間との戦いを放棄できるのなら、何のために自分たちは命がけで戦ったというのだろう。
そんな思いで叫ぶキャンティであったが、返ってきた回答はあまりにもなものであった。
「ふーむ、もともと人間界の甘味が食べたくて始めた戦争だからなー。まあ、甘いものをくれるのならそれでいいではないか」
「は?」
「この世のすべての甘味をこの手にする。それぞ我が覇道、『天下糖一』なのだ!」
「・・・どっかで聞いたことある言葉だな、それ」
カゲヒコが半目になってツッコミをいれる。
一方、キャンティは魔王のとんでもない言葉にしばし固まって、やがて動き出した。
「斬り捨て御免」
短い宣言とともに剣を抜いて、かつての主を叩き切るべく刃を振り下ろしたのであった。
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