ペンギン転生 異世界でペンギンになったが美少女に飼われたので別に良い

レオナール D

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第18話 僕を苛めた女が泣いている(ざまあ?)

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 琥珀はゆっくりと廊下に出た。
 城の廊下は真っ暗というわけではなく、壁に掛けられた燭台に明かりが灯されている。
 よくよく見て見ると、それは火が燃えているというわけではなく蛍の明かりのように熱を帯びていない光のようだ。

(魔法の光とか? ファンタジーだなあ……)

 しみじみ思いながら、琥珀はペタペタと廊下を歩いていく。
 長い回廊は石の壁と床に覆われており、下には長く伸びた絨毯が敷かれている。
 試しに扉を一つ開けてみると、そこも寝室のようだ。ベッドのシーツがこんもりと盛り上がっており、人の寝息が聞こえてきた。
 あるベッドからは寝相の悪い男が上半身を床に投げ出しており、それがクラスのお調子者である藤原であるとわかった。

(うげっ、他のクラスメイトの部屋かよ。もしかして、この辺りはクラスメイト達の居住区になっているのかな?)

 まるで修学旅行のようじゃないかと呆れていると、誰かの足音が聞こえてくる。

「キュッ!」

 まさか、見回りの先生でもいるのだろうか。琥珀はとっさに廊下に置かれていたツボの陰に隠れた。
 人間ではとても隠れることのできないサイズだが、ペンギンの琥珀ならばどうにか身を潜めることができた。

「…………」

 無言で廊下を歩いているのは鎧を着た兵士である。
 腰に剣をさした兵士は特に何をするでもなく、廊下を歩いていた。おそらく、見張りの巡回だろう。

(警備体制が疎かってわけでもなさそうだな……さて、どうしようかな)

 城内は広く、ペンギンの足では一晩かけても全体を周り切ることはできそうもない。
 あまり遠くまで行くと、部屋に戻ってこれなくなりそうだ。
 王様の居住区や宝物庫など、立ち入り禁止されている区画もあるだろうし、見張りに見つかっても面倒である。

(起きた時に僕がいなかったら、ヘリヤさんがまた泣いちゃうかもしれないな……まったく、召喚獣も辛いぜ)

 召喚獣というよりも、扱いはほとんどペットである。
 ペンギンの放し飼いは良くない。琥珀は踵を返して、ペタペタとヘリヤの部屋に戻ろうとした。

「キュ?」

「……ひぐっ……ひぐっ」

 そうして歩いていると、ふと鼻をすするような音が聞こえてきた。
 何処から聞こえてくるのかと音の出所を探ってみると、廊下にある部屋の一つから聞こえてきた。

(この部屋も寝室かな? 誰かの寝息とか?)

 そっと扉を開いて中を覗いてみると、そこは他の部屋とは内装が違っていた。
 寝室よりも広めの部屋には廊下と同じように魔法の明かりが灯されており、横並びにいくつものベッドが並べられている。壁際には棚が置かれていて、たくさんのビンが置かれていた。
 ベッドはあるが寝室とは雰囲気が異なっており、部屋の中からはほのかに薬品の匂いもしてくる。

(あ……そっか。医務室だ)

 さっきまで保健室にいたからわかる。
 この雰囲気はは怪我人の手当てをするための部屋……つまり医務室だ。
 部屋の中には明かりが灯されてはいるものの、医師や看護師らしき人間の姿はない。

「ひっぐ……ひっぐ……」

 鼻をすする音、誰かの泣き声は医務室に置かれたベッドの一つからしているようだ。
 そのベッドには白いシーツを被ったお化けのような誰かがいる。

「ヤダ、ヤダ、ヤダ……痛いのやだよう。助けてよう……」

「…………?」

 シーツのお化けから泣きじゃくった声が聞こえてくる。
 いったい誰だろうと、ペタペタと近づいていく。

「ヤダヤダ……やめてよう……」

「ピュッ!」

 ベッドの前側に回り込んだ琥珀は驚き、小さく飛び跳ねる。
 そこにいたのは見知った顔だったのだ。

 頭から足まで全身を白いシーツに身を包み、丸まっていたのは柊木翔子だった。

 琥珀にとっては因縁の相手。
 かつて自分をイジメていて、登校拒否にまで追いやった主犯格の一人である。
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