総受けは仕様ですとも――ある村人Mの受難――

羽夢

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村人Mと受難の幕開け

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………コレは…ピンチです。





「へ~これが噂のMかぁ?」
「どんな妖艶なべっぴんさんかと思ったら、ただのヤローじゃねぇか。」
「どれどれ?うん?良く見りゃ可愛いツラしてるんじゃねぇ?」
「そうかぁ?悪くはねぇが…特別良くも無いだろうが。」
「コレの何処に勇者達を虜にする魅力があんだかなぁ?」
「そりゃ決まってんだろ?…アッチに。」
「へへっ…さぞやスゲエんだろうな?試してみっか。」
「おいおい、勇者様々達のお気に入りペットだろ?まずくねぇか?」
「な~にほんの味見程度よ。」





俺は今頗る柄の悪そうな奴らに囲まれている。

昨日はギルに馬上で散々無茶されて宿に着くなりベッドに倒れ込んでしまった俺だが、日暮れ前に寝込んだせいか今朝は明け方近くに目が覚めてしまった。
因みに宿は一人部屋だ。
当初ギルは二人部屋!!と、宿のカウンターで頑張っていたが、昨日は既に一人部屋が幾つかしか開いていなかったらしい。
ぐっじょぶ宿屋!!これでぐっすり眠れる!!

お陰様で今日のお目覚めはすっきり爽快ですv



しかし産まれてこのかた村から出た事の無かった俺にとって、旅行自体初めての経験なんだが…
宿って手持ちぶさたなもんなんだな…時間があっても何もする事が無い。
家にいる時は家事をしたり、本を読んだりと暇な時間も何かと有効活用出来てたもんだけど…
今は何をしたら良いのかすら分からない。
ヒマ。…ヒマ。ぬおぉぉぉ~ヒマでござる~~~!!



…そんなこんなで朝も早くから散策に出たのがマズかった。



俺らが泊まっていた宿はこの村のメインストリートに面している。
先ずはざっと通りの端から端まで見て回る事にした。
どうやら俺の産まれた村よりかなり栄えているようだ。何より店の数が違う。
まだどの店も開いてはいないが、知らない所を見て回るのは思いの外ワクワクした。
暫くあちこち見て回って、メインストリートの外れまで来たら…
メインの通りから更に一本入った裏辺りから、ガヤガヤとした賑やかな話し声が聞こえてくる。
こんな時間から開いてる店があるのか?
ちょこっと覗いてみたら、この先にもまだ店は続いているようだった。
あっ…ひょっとして朝市か?それなら俺の村にもあったぞ!
好奇心を抑えきれず、俺はその路地に入って行った。



その通りもやはり殆どの店が閉まっていた為すぐには分からなかったが…
そこは所謂盛り場と言う所だったみたいだ…
余り治安の良い場所とは言えないようだな。
俺の村にはこんな所はなかったが話に聞いた事ぐらいはある。
ざっと見回して場違いだと気付いた時には…遅かった…



「お兄さん。どこ行くの?」
まだ開いていた店から出てきた男達に声を掛けられる。

…酒臭せぇな。おい…

「…いや、もう帰るとこだから…」
咄嗟に踵を返そうとして後ろにも人がいた事に驚いた。
ありゃ…これって…まずくないか?

「まぁまぁ、一杯くらい俺らと付き合えよ、なっ!」
男の手が俺の肩に掛かるが、条件反射で振り払った。

「こいつはイキのいい兄ちゃんだなぁ!おもしれぇ!いっちょ遊んで貰おうか!!」

ヤバい、ヤバい、ヤバい!!
ここは何とか穏便に…

「あれ~?こいつどっかで…?」
「うん?そういやぁ…」
「あ!ああぁ!!こいつ、あの『男殺しのM』だ!!」



………もしもし?何ですかソレ…?(怒)





あの後、更に奥まった路地裏に引っ張り込まれた俺は今…
左右から両手を引っ張る形で壁に押し付けられた…
《いやん俺って超ピンチィ!!》…な状態です!!
………倫姦イベント突入ですか?



「ふへへへへ…さて、うんとサービスしてもらおうじゃねぇの子ネコちゃん」
正面に立った男の手が俺の服にかかる…が



「…ざけんなっ!!」
ドゴッ!!
「ぐあっ!!」



いつも勇者達にやりたい放題やられている俺ですが、決してネコではありません。
勿論この状況もノーセンキューです。
因みにか弱いモヤシっ子でもありません。
職業村人ですが実質は農夫です。
ほぼ自給自足のド田舎なので、村人の殆どは農夫なんですがね。

つまり何が言いたいかと言うと…
俺も男だ!!黙って掘られる訳が無いだろうが!!…って事なんですよ。
実際俺は一般的な男性並みには力も体力もありますよ?
ただあいつら(勇者達)が規格外なんです!
これでも毎回抵抗してますが…未だ通用した試しがありません………orz

しか~~~し!!
こいつらは俺と体して変わらないモブ。
俺が村人Mなら、こいつらはチンピラA、B、C、ってとこだろう。
相手は3人だが酔っ払いだ…これなら何とか…!!


俺の両手は押さえ付けられてはいたが、足はがら空きだった。
正面に立った男への渾身の蹴りは、見事股間にクリティカルヒットしたぁ!!
左右の奴等が怯んだ隙に力づくで両手を抜き取り、通りに抜ける左方向にいた奴へショルダータックルをかまして駆け出した!!



残念ながらいくら相手が酔っ払いでも、3人同時に畳む腕は俺にはない。
俺に出来るのは意表を付いた攻撃!!…これだけだ。
後はひたすら逃げる!!逃げ足なら任しとけえぇぇぇ!!

「こ、こいつ~!!待ちやがれっ!!」
へへ~ん。待てと言われて待つバカがどこにいますか?おほほほほ~ってんだ!!
シュタタタ~~~っと、華麗に走り去る俺。
後ちょっと、もうちょっとで少し広い通りに出る!~ってまさにその時…





「面白そうだな?俺も交ぜてくれよ。」





…行く手に新たなチンピラDが立ち塞がった…








ダン!!
「つっぅ!!」

「こんのガキが~~~!!」
ドカッ!
「ぐはっ!!」

「ただで済むと思ってねぇだろうなぁ?」
バキッ!!
「ぐぅっ!!」

さっき俺が股間を蹴りあげた男が、ものすんごくキレていらっしゃいます。
くっそぉ…いってぇな…それにしても…もの凄く痛いんですが…

………そうか俺…人に殴られたの初めてだ…



「おいおい、あんまやり過ぎたら楽しめなくなるぜ?」
「そうそう。反応しねぇ奴に突っ込んでも面白くねぇし。」
「どうでもいいから早く犯らせろよ!!」



そうか…今思えば勇者達って…
俺がどんなに暴れても、殴る蹴るの暴力振るわれた事なんて一度も無かったな…
……その代わり性的暴力は当たり前に振るわれてるわけですが…(泣)

壁に頭を打ち付けられて何だかクラクラする…
あ~あ…このままコイツらの好き勝手にヤラれちまうのかな…?
………何か…やだな…うん。すんげ~やだ。



『何言ってんだよ今更だろ?
一体今まで何人の男に掘られて来たと思ってるんだ?』

頭の中でもう1人の俺が呟く。

…確かにな…今更だ。
だけど何か違うんだよ…
そりゃ、いつだって嫌だったけどさ…
実際前にも勇者様御一行に倫姦された事もあったけどさ?
………でも、何か今回のは違うんだよ…



「どうやら脳震盪起こしたみたいだな?」
「大人しくなったならちょうどいいじゃねえか。」
男が俺のベルトに手をかけた…



………いやだ。



「…だ…誰かあぁぁ~~~!!」

「チッ、また暴れだしやがって!!」
「めんどくせぇ!!縛りあげちまえよ!!」

「誰か!!誰…むぐっ!!」
口を塞がれても俺は構わず暴れ続けた。
4人がかりで地面に押さえ付けられ、ズボンと下着を剥ぎ取られても狂ったように暴れ捲った。



「今更気取ってるんじゃねぇよ!!この勇者達の公衆便所が!!」
「………!!」
とうとううつ伏せに地面に押し付けられて、持ち上げられた俺の尻に何かが押し付けられる…
…ナニかなんて分かりきってる…

………良く知ってるモノだ………



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