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第4話
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里の敷地は大半を住宅街が占めるが、家の密集率は高くない。ぽつぽつと並ぶ家々を、コンクリートで舗装された道路が繋ぐ形だ。入り組んだ道はなく、道が交わる際は必ず直線同士。広大な敷地に少数が住む前提に整備されたから、人口の増加で度々道路を組みなおす世間では滅多にお目にかかれない単純な造りを保っている。
車があまり通らないのは、平日の昼まで仕事をしているからだけではない。そもそも人口が少なく、車を必要とする距離の移動を強いられることもないからだ。
里のあらゆる施設は出入口を担うゲートのある商業区に密集している。役所も含め、生活に必要な物資、手続きは全て商業区で事足りる。久川のように徒歩圏内に住んでいれば、里で暮らす分には車での長距離移動とは無縁だ。
「〝全影〟ともなると本物と判別がつかないと事前に聞いていましたが、決して誇張ではないようですね」
わずかに前をゆく久川に続き、披露された能力の感想をこぼす。
里の中心から遠ざかるほどに、建物と通行人の数が減っていた。車が通り過ぎる騒音に邪魔されなければ、そばを歩く久川の声なら囁きでも鮮明に聞き取れそうだ。
落葉と久川は、里に関わるうえでは最も重要となる影武者について話していた。
影武者には二種類ある。半影と全影のふたつだ。部分的に身体を変形できる能力をもっている影武者を半影、あらゆる部位を自在に変形できると者を全影と呼ぶ。
全影は影武者の意志を継ぐ者のなかでも、始祖の一族にしか宿らない能力だ。時代が流れるなかで全影は歴史の重要な局面で偉人の身代わりとなり散る運命を繰り返してきた。ただ、いくら有効であれど人材は無限ではない。大きな戦争が続いた近年で全影は激減して、いまでは全影の能力を持つ人はひとりだけ。
「影武者のこと聞かれても、あーしもよくわかんないからね。自分で選んだわけじゃないし、選んだとしても細胞の頃の記憶なんてないわけじゃん?」
「細胞の頃の記憶を覚えてる人々だっているかもしれませんよ? 他人の容姿を完全にコピーできる人種がいるわけですから」
「あーしらみたいなのがたくさんいたら、大変な役目をあーしらだけが負わなくても済んだのにね」
歩調を乱さず、諦めたように毒づく。
「逃げようと思ったことはないんですか?」
「そんなのフツーに考えてわかんない? あるに決まってんじゃん」
ためらいのない返答。淡白な言い方に、落葉は繋ぐ言葉を失う。
「キフユさ、自分で質問しといてだんまりはダメだって。ほら、早くコメントしてくれないと傷ついちゃうよ? あーしを支えるために来てくれたんでしょ?」
「参りましたね……そこまで割り切っているとは想像していませんでした」
「自分は生まれた瞬間から誰かの身代わりにならなくちゃいけない。その通りにできたらサイコーだぜとか、あーしらがそんなふうに考えてるって思ってた?」
「そこまでではありませんが、でも、大して違いませんね。逃げ出そうって考えすら浮かばないのかもとは想像していました」
「だけどさ、キフユは訊いたわけじゃん。客観的に見てるキフユがそう思うんなら、逃げたいと思うのが普通なんだよ。だから、そう思えてるあーしは壊れてない」
残酷だと落葉は感じた。他に表現のしようがない。理不尽を強いられる状況を受け入れられるほど狂っていれば、あるいは壊れていれば、そのほうがずっと楽だったに違いない。
久川は拳を握った左手を落葉の前に差し出した。里の入口で会った時から気づいていた彼女が影武者と示す証が刻まれている。左手の甲に焼印された〝02〟という数字。彼女に与えられた影武者の管理番号だ。
「壊れてないけど、逃げられない。あーしらは他人に化けることはできても、傷を治せる不死身じゃない。ゲートでチェックされるんだよ。キフユたち管理者みたいに手袋で隠していようとね」
「聞いています。これは罠だそうですね。管理者だけが手袋をはめて、影武者がその能力で管理者に化ければ脱走できるんじゃないかと誤解させる。そうして脱走の意志を持つ者を炙りだし、さっさと影武者としての役目を果たしてもらう」
里へ来る前に天音から支給された白色の手袋。それをはめた手に目を落とす。
「キフユってマトモ~。別に珍しくはないんだけどさ」
「管理者側も楽しんで影武者を送り出しているわけではないと思います。ただ、影武者はあまりに強力な能力です。脱走されて他国に利用されれば堪りませんから、非常にならざるを得ないのでしょう」
「はぁ……ほんとにマトモ」
正論を言うばかりの落葉に、久川から太いため息がもれる。けれども、吐き出した息に失意の色はない。
「キフユ以外の管理者連中も大概マトモだから困るわけ。影武者全員で結託して脱走する計画を立てようにも、自分たちが間違ってるって明らかだから実行に移せない。それでも実行したい奴が数人いたって、足並みが揃わなきゃ意味がない。あーしらも壊れきれないからわかっちゃう。一人で生き延びたって意味がなくて、閉じ込められてきただけの世間知らずなあーしらには、管理者の目から隠れて外の世界で生き続けるだけの知識も知恵も、気力だってない。それがわかっちゃってるんだよね」
予想していたよりも、少女は遥かに達観していた。落葉は己が恥ずかしくなった。彼女の心を支えなければと意気込んでいたのに、これではどちらが支える立場かわからない。
「今度さ、あーしのダチが役目を果たしにいくんだ。これ聞いて、キフユはどう思う?」
試すような問いに、落葉は逡巡して唇を舐める。
「……久川さんが友達を一人失い、代わりに世の中に必要な権力者が救われる。久川さんにはつらい事実ですが、大勢は歓喜するでしょうね」
「率直な感想だけどさ、キフユ、そんなんで大丈夫なん? 影武者を管理する側として里に来たんじゃないの? もっとハキハキしてなきゃマズいんじゃない?」
「なかなか慣れそうにありませんね。まだまだボクも壊れていないようです」
重苦しい会話の末に、久川は緩んだ口元を手の甲で隠した。遊んでいそうな外見とは釣り合わない上品さを醸す微笑を見せる。
「――よかった。キフユが来てくれて」
風に消えそうな呟き。落葉から隠された唇が動いたことさえ彼には知覚できなかったが、何事かを話しかけられた気配に落葉は振り向く。
「いまの話聞いてさ、あーしのダチが死ぬんだって思ってない?」
「影武者になるのであれば、生き残っていてはマズいでしょう。でも、その口ぶりだと違うわけですか」
「影武者にも種類があるんだって。種類ってかレベル? ランク? 正式名称なんて知らないからどーでもいいけどさ。あーしみたいなのは〝全影〟って言って特別なわけ。で、その他大勢は〝半影〟なんだけど、身体の一部を似せられる能力を持った人をまとめて〝半影〟と定義してるけど、一部って曖昧じゃん? 各々が得意な部位があるのに」
「身体の一部だけであっても影武者としての需要はあったりするでしょう。他を誤魔化せばいいだけの話ですし」
たとえば顔が似せられなくても、死後に潰してしまえば問題ない。死体に対象者に縁のある遺品でも身につけておけば充分に騙せる。仮にバレるとしても、検証に時間を要する。
落葉の見解を聞いて、久川は乾いた笑みを浮かべた。
「あーしのダチの場合、左手の先から肩までしか変身できないんだよね。ごまかせない数字の刻まれた左手だけしか、ね」
「その人が影武者としてどこかへ派遣されるという話でしたよね? 左腕しか似せられないのに、需要があったんですね」
「同じ人から何度も依頼されてるんだってさ。得意先ってやつ? 能力によって請求する金額も段違いらしいから、お買い得なんじゃない? 顔には怪しげな仮面をつけて、全身ローブをまとって左手だけ露にする仕事とかなんとか言ってたっけ。掌を掲げるだけで群集がわっと沸き立つんだって」
久川は『わっ』の感じを両手を広げて表現する。
「左手の刻印は隠して、ですか」
「そうみたい。指紋を完全一致させて本人だと証明したらしいよ。違うんだけどさ。だから信者たちはローブの下に亡くなった教祖サマの顔があると思い込んでる。欠片も疑わずにさ」
彼女の説明する光景を脳裏に再現するのは難しくなかった。詳しく訊かずとも、彼女の友達がどんな人物の身代わりをさせられているのかは自明だ。
「スケールの大きい話ですね……」
「いつまで騙し通せるかわからないし真実を知って暴徒化されても厄介だから、そろそろ教祖サマが亡くなったと公表する話も出てるみたいだけどね」
「公表すれば、そのご友人の役割もいらなくなりますね」
影武者を演じていた相手は既に亡くなっていて、誰かに命を狙われているわけでもない。決められた場所に赴き、偽装した手を晒すだけ。影武者とは誰かの身代わりを指す言葉と解釈していたが、肩代わりをする相手が既にいない場合もあるのだろう。
「そうだとしても、命の危険がまったくないわけではないと思います」
車があまり通らないのは、平日の昼まで仕事をしているからだけではない。そもそも人口が少なく、車を必要とする距離の移動を強いられることもないからだ。
里のあらゆる施設は出入口を担うゲートのある商業区に密集している。役所も含め、生活に必要な物資、手続きは全て商業区で事足りる。久川のように徒歩圏内に住んでいれば、里で暮らす分には車での長距離移動とは無縁だ。
「〝全影〟ともなると本物と判別がつかないと事前に聞いていましたが、決して誇張ではないようですね」
わずかに前をゆく久川に続き、披露された能力の感想をこぼす。
里の中心から遠ざかるほどに、建物と通行人の数が減っていた。車が通り過ぎる騒音に邪魔されなければ、そばを歩く久川の声なら囁きでも鮮明に聞き取れそうだ。
落葉と久川は、里に関わるうえでは最も重要となる影武者について話していた。
影武者には二種類ある。半影と全影のふたつだ。部分的に身体を変形できる能力をもっている影武者を半影、あらゆる部位を自在に変形できると者を全影と呼ぶ。
全影は影武者の意志を継ぐ者のなかでも、始祖の一族にしか宿らない能力だ。時代が流れるなかで全影は歴史の重要な局面で偉人の身代わりとなり散る運命を繰り返してきた。ただ、いくら有効であれど人材は無限ではない。大きな戦争が続いた近年で全影は激減して、いまでは全影の能力を持つ人はひとりだけ。
「影武者のこと聞かれても、あーしもよくわかんないからね。自分で選んだわけじゃないし、選んだとしても細胞の頃の記憶なんてないわけじゃん?」
「細胞の頃の記憶を覚えてる人々だっているかもしれませんよ? 他人の容姿を完全にコピーできる人種がいるわけですから」
「あーしらみたいなのがたくさんいたら、大変な役目をあーしらだけが負わなくても済んだのにね」
歩調を乱さず、諦めたように毒づく。
「逃げようと思ったことはないんですか?」
「そんなのフツーに考えてわかんない? あるに決まってんじゃん」
ためらいのない返答。淡白な言い方に、落葉は繋ぐ言葉を失う。
「キフユさ、自分で質問しといてだんまりはダメだって。ほら、早くコメントしてくれないと傷ついちゃうよ? あーしを支えるために来てくれたんでしょ?」
「参りましたね……そこまで割り切っているとは想像していませんでした」
「自分は生まれた瞬間から誰かの身代わりにならなくちゃいけない。その通りにできたらサイコーだぜとか、あーしらがそんなふうに考えてるって思ってた?」
「そこまでではありませんが、でも、大して違いませんね。逃げ出そうって考えすら浮かばないのかもとは想像していました」
「だけどさ、キフユは訊いたわけじゃん。客観的に見てるキフユがそう思うんなら、逃げたいと思うのが普通なんだよ。だから、そう思えてるあーしは壊れてない」
残酷だと落葉は感じた。他に表現のしようがない。理不尽を強いられる状況を受け入れられるほど狂っていれば、あるいは壊れていれば、そのほうがずっと楽だったに違いない。
久川は拳を握った左手を落葉の前に差し出した。里の入口で会った時から気づいていた彼女が影武者と示す証が刻まれている。左手の甲に焼印された〝02〟という数字。彼女に与えられた影武者の管理番号だ。
「壊れてないけど、逃げられない。あーしらは他人に化けることはできても、傷を治せる不死身じゃない。ゲートでチェックされるんだよ。キフユたち管理者みたいに手袋で隠していようとね」
「聞いています。これは罠だそうですね。管理者だけが手袋をはめて、影武者がその能力で管理者に化ければ脱走できるんじゃないかと誤解させる。そうして脱走の意志を持つ者を炙りだし、さっさと影武者としての役目を果たしてもらう」
里へ来る前に天音から支給された白色の手袋。それをはめた手に目を落とす。
「キフユってマトモ~。別に珍しくはないんだけどさ」
「管理者側も楽しんで影武者を送り出しているわけではないと思います。ただ、影武者はあまりに強力な能力です。脱走されて他国に利用されれば堪りませんから、非常にならざるを得ないのでしょう」
「はぁ……ほんとにマトモ」
正論を言うばかりの落葉に、久川から太いため息がもれる。けれども、吐き出した息に失意の色はない。
「キフユ以外の管理者連中も大概マトモだから困るわけ。影武者全員で結託して脱走する計画を立てようにも、自分たちが間違ってるって明らかだから実行に移せない。それでも実行したい奴が数人いたって、足並みが揃わなきゃ意味がない。あーしらも壊れきれないからわかっちゃう。一人で生き延びたって意味がなくて、閉じ込められてきただけの世間知らずなあーしらには、管理者の目から隠れて外の世界で生き続けるだけの知識も知恵も、気力だってない。それがわかっちゃってるんだよね」
予想していたよりも、少女は遥かに達観していた。落葉は己が恥ずかしくなった。彼女の心を支えなければと意気込んでいたのに、これではどちらが支える立場かわからない。
「今度さ、あーしのダチが役目を果たしにいくんだ。これ聞いて、キフユはどう思う?」
試すような問いに、落葉は逡巡して唇を舐める。
「……久川さんが友達を一人失い、代わりに世の中に必要な権力者が救われる。久川さんにはつらい事実ですが、大勢は歓喜するでしょうね」
「率直な感想だけどさ、キフユ、そんなんで大丈夫なん? 影武者を管理する側として里に来たんじゃないの? もっとハキハキしてなきゃマズいんじゃない?」
「なかなか慣れそうにありませんね。まだまだボクも壊れていないようです」
重苦しい会話の末に、久川は緩んだ口元を手の甲で隠した。遊んでいそうな外見とは釣り合わない上品さを醸す微笑を見せる。
「――よかった。キフユが来てくれて」
風に消えそうな呟き。落葉から隠された唇が動いたことさえ彼には知覚できなかったが、何事かを話しかけられた気配に落葉は振り向く。
「いまの話聞いてさ、あーしのダチが死ぬんだって思ってない?」
「影武者になるのであれば、生き残っていてはマズいでしょう。でも、その口ぶりだと違うわけですか」
「影武者にも種類があるんだって。種類ってかレベル? ランク? 正式名称なんて知らないからどーでもいいけどさ。あーしみたいなのは〝全影〟って言って特別なわけ。で、その他大勢は〝半影〟なんだけど、身体の一部を似せられる能力を持った人をまとめて〝半影〟と定義してるけど、一部って曖昧じゃん? 各々が得意な部位があるのに」
「身体の一部だけであっても影武者としての需要はあったりするでしょう。他を誤魔化せばいいだけの話ですし」
たとえば顔が似せられなくても、死後に潰してしまえば問題ない。死体に対象者に縁のある遺品でも身につけておけば充分に騙せる。仮にバレるとしても、検証に時間を要する。
落葉の見解を聞いて、久川は乾いた笑みを浮かべた。
「あーしのダチの場合、左手の先から肩までしか変身できないんだよね。ごまかせない数字の刻まれた左手だけしか、ね」
「その人が影武者としてどこかへ派遣されるという話でしたよね? 左腕しか似せられないのに、需要があったんですね」
「同じ人から何度も依頼されてるんだってさ。得意先ってやつ? 能力によって請求する金額も段違いらしいから、お買い得なんじゃない? 顔には怪しげな仮面をつけて、全身ローブをまとって左手だけ露にする仕事とかなんとか言ってたっけ。掌を掲げるだけで群集がわっと沸き立つんだって」
久川は『わっ』の感じを両手を広げて表現する。
「左手の刻印は隠して、ですか」
「そうみたい。指紋を完全一致させて本人だと証明したらしいよ。違うんだけどさ。だから信者たちはローブの下に亡くなった教祖サマの顔があると思い込んでる。欠片も疑わずにさ」
彼女の説明する光景を脳裏に再現するのは難しくなかった。詳しく訊かずとも、彼女の友達がどんな人物の身代わりをさせられているのかは自明だ。
「スケールの大きい話ですね……」
「いつまで騙し通せるかわからないし真実を知って暴徒化されても厄介だから、そろそろ教祖サマが亡くなったと公表する話も出てるみたいだけどね」
「公表すれば、そのご友人の役割もいらなくなりますね」
影武者を演じていた相手は既に亡くなっていて、誰かに命を狙われているわけでもない。決められた場所に赴き、偽装した手を晒すだけ。影武者とは誰かの身代わりを指す言葉と解釈していたが、肩代わりをする相手が既にいない場合もあるのだろう。
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