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第一章 AIとの出会い
お宝横取り作戦
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薄暗い、暗闇。
カビ臭くて、ネズミがチューチュー鳴いてる。下水道か何かだと思ってしまうけど、ここは『都市』のれっきとした上層部御用達の地下通路。
何か物を運んだり、人を動かしたりするのを市民たちにバレたくない時に使う。でもアタシのハッキング技術や知識の広さを舐めてもらっちゃあ困る。
今、ウチ『リアラ』とパートナーの『アスカ』の二人で今日ここを通るであろうお宝を狙っている。磁場グローブで天井に虫のように引っ付きながら。
ウチたちの狙うブツはラボラトリーの地下から運ばれるらしい。一体どんな代物なのか。
「……そろそろ来るわよ」
アスカの声だ。心にグッとくる。良い声。いつ聞いても良いものだ。
「おっけい。ウチが合図出すから」
カッカッカッと足音が聞こえる。それと、ゴロゴロと滑車の音。もうそろそろだ。
「これはタ……に運び込んでどう…………りなんだ?」
「なんでもコ……の元……った……訳アリらしくて、……が色々聞き出したりするんだとよ」
「へぇ…………の指示だからこんな糞みた……通路使ってるのな。納得納得……」
お宝を運んでいるであろう運び屋の声が聞こえる。案の定、警戒を解いてるみたいだ。こんな通路知ってるのなんて下流の人間の中には居ないとか思ってるんだろうね。
近づいてくる。もう少し。
もう少し。
もう少し。
「ゴー!」
合図に合わせて天井に張り付いていたアスカとウチは、運び屋に即座に飛びつく。暗くてよく様子が分からなかったけど、台車のようなもので大きな箱を二人で運んでいるようだった。
「な、なんだ!?!?」
運び屋が声を上げるがもう遅い。
「でりゃあ!!!」
首を抑える。ギリギリと音が鳴りそうなくらいに強く。運び屋はあっという間に声を上げる事さえ出来なくなる。
そして自分のポケットから拳銃を取り出し……喉元から脳天に目掛けて撃ちぬく。
パァンと、銃声。ひどく音が反響し不快感を感じる。すぐさま目の前は真っ赤に染まり、運び屋はぐったりと地面に倒れた。
死んだ。この世界では特に珍しくもない光景。
「良し。アスカ!!大丈夫??」
「大丈夫よ。こっちも終わったから」
そういうとアスカはもう一人の運び屋の胸からナイフを抜き、血を払った。
やっぱりウチよりずっと手際が良い。かっこいいなぁ。
「あ、そうだ。早くこの箱運ばないと」
「ご丁寧に台車まであるし、このまま地上に運んで家まで運ぶわよ」
「おっけい!」
アスカと二人で小走り気味に台車を押していった。
でもなんだか凄いお宝が重い気がする。
◇◇◇
「あー疲れた」
台車を家のガレージ内にしまい、箱だけをアスカと一緒に運び込んだ。冗談みたいな重さで二人でひぃひぃ悲鳴を上げながら。
「そもそも、こんな箱どうやって開くのかしらね」
「あ、そうじゃん!どうしよう……」
アスカに言われ気づいたが確かにそうだ。取っ手も無いし、もしかして変な技術とか使われてるのかな。
ワンチャン、ハッキングとか……
「いやいや、そんな。魔法じゃあるまいし」
そんなに万能じゃない。ハッキングは。綿密な計画、準備、それらを行って尚出たとこ勝負のアドリブ力で戦わないといけないんだから。
「んじゃあどうすれば良いんだよぉ」
「何かアクションを取ってみるしかないわね。これを手に入れるのにそれなりのお金使ってるし」
「えーっと、『開けゴマ!!!』……んなわけないか」
「声で開くかも、というのは面白いわね。うーん。『アンロック』……違うわね」
その後も色々試したけど、何も起きなかった。もう夜も遅いし一旦寝てから考えるしかない。
まぁ、手に入れさえすればウチたちの物だし。これでおっけおっけ!
「そういえばリアラ、あなた最近調べものしてなかった?今回の計画とは関係無い感じの」
「そうそう!ウチたちの住む『都市』って未だに低級階層程度には未知の存在だし。創設者の事について調べてたんだけど、規制がかかりまくってて……もー!!!ホントにウザいっての」
「あらあら、あんまりストレス溜めないようにね。そういえば肝心の『都市』の創設者って誰?」
「確か、アイノールっていう女の――――――」
ピピピ。
聞きなれない音が鳴る。何の音?
「リ、リアラ!?箱が!!」
アスカの取り乱す声に驚き箱の方へ振り返ると、
あの箱の蓋が開いていて。
中に人が入っていた。
カビ臭くて、ネズミがチューチュー鳴いてる。下水道か何かだと思ってしまうけど、ここは『都市』のれっきとした上層部御用達の地下通路。
何か物を運んだり、人を動かしたりするのを市民たちにバレたくない時に使う。でもアタシのハッキング技術や知識の広さを舐めてもらっちゃあ困る。
今、ウチ『リアラ』とパートナーの『アスカ』の二人で今日ここを通るであろうお宝を狙っている。磁場グローブで天井に虫のように引っ付きながら。
ウチたちの狙うブツはラボラトリーの地下から運ばれるらしい。一体どんな代物なのか。
「……そろそろ来るわよ」
アスカの声だ。心にグッとくる。良い声。いつ聞いても良いものだ。
「おっけい。ウチが合図出すから」
カッカッカッと足音が聞こえる。それと、ゴロゴロと滑車の音。もうそろそろだ。
「これはタ……に運び込んでどう…………りなんだ?」
「なんでもコ……の元……った……訳アリらしくて、……が色々聞き出したりするんだとよ」
「へぇ…………の指示だからこんな糞みた……通路使ってるのな。納得納得……」
お宝を運んでいるであろう運び屋の声が聞こえる。案の定、警戒を解いてるみたいだ。こんな通路知ってるのなんて下流の人間の中には居ないとか思ってるんだろうね。
近づいてくる。もう少し。
もう少し。
もう少し。
「ゴー!」
合図に合わせて天井に張り付いていたアスカとウチは、運び屋に即座に飛びつく。暗くてよく様子が分からなかったけど、台車のようなもので大きな箱を二人で運んでいるようだった。
「な、なんだ!?!?」
運び屋が声を上げるがもう遅い。
「でりゃあ!!!」
首を抑える。ギリギリと音が鳴りそうなくらいに強く。運び屋はあっという間に声を上げる事さえ出来なくなる。
そして自分のポケットから拳銃を取り出し……喉元から脳天に目掛けて撃ちぬく。
パァンと、銃声。ひどく音が反響し不快感を感じる。すぐさま目の前は真っ赤に染まり、運び屋はぐったりと地面に倒れた。
死んだ。この世界では特に珍しくもない光景。
「良し。アスカ!!大丈夫??」
「大丈夫よ。こっちも終わったから」
そういうとアスカはもう一人の運び屋の胸からナイフを抜き、血を払った。
やっぱりウチよりずっと手際が良い。かっこいいなぁ。
「あ、そうだ。早くこの箱運ばないと」
「ご丁寧に台車まであるし、このまま地上に運んで家まで運ぶわよ」
「おっけい!」
アスカと二人で小走り気味に台車を押していった。
でもなんだか凄いお宝が重い気がする。
◇◇◇
「あー疲れた」
台車を家のガレージ内にしまい、箱だけをアスカと一緒に運び込んだ。冗談みたいな重さで二人でひぃひぃ悲鳴を上げながら。
「そもそも、こんな箱どうやって開くのかしらね」
「あ、そうじゃん!どうしよう……」
アスカに言われ気づいたが確かにそうだ。取っ手も無いし、もしかして変な技術とか使われてるのかな。
ワンチャン、ハッキングとか……
「いやいや、そんな。魔法じゃあるまいし」
そんなに万能じゃない。ハッキングは。綿密な計画、準備、それらを行って尚出たとこ勝負のアドリブ力で戦わないといけないんだから。
「んじゃあどうすれば良いんだよぉ」
「何かアクションを取ってみるしかないわね。これを手に入れるのにそれなりのお金使ってるし」
「えーっと、『開けゴマ!!!』……んなわけないか」
「声で開くかも、というのは面白いわね。うーん。『アンロック』……違うわね」
その後も色々試したけど、何も起きなかった。もう夜も遅いし一旦寝てから考えるしかない。
まぁ、手に入れさえすればウチたちの物だし。これでおっけおっけ!
「そういえばリアラ、あなた最近調べものしてなかった?今回の計画とは関係無い感じの」
「そうそう!ウチたちの住む『都市』って未だに低級階層程度には未知の存在だし。創設者の事について調べてたんだけど、規制がかかりまくってて……もー!!!ホントにウザいっての」
「あらあら、あんまりストレス溜めないようにね。そういえば肝心の『都市』の創設者って誰?」
「確か、アイノールっていう女の――――――」
ピピピ。
聞きなれない音が鳴る。何の音?
「リ、リアラ!?箱が!!」
アスカの取り乱す声に驚き箱の方へ振り返ると、
あの箱の蓋が開いていて。
中に人が入っていた。
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