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第二章 アイに集っていく
戦いのその後。
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「ボスぅ…………リズったら全然起きないんだけど」
「フン、戦いなんてロクにしてない癖に無茶するからだ」
リアラ達がビルから立ち去った後、タロンの彼らは12人ほどの人数で各階層を回り物資を集めていた。両腕に盾を装備している赤目の少女レイは、自分が背負っている目を覚まさないガスマスク男――リズにうんざりしていた。しかし、彼女は普通ではないのでこの程度はなんてことは無い。それはボスと呼ばれる隻眼の男、『オーエン』も良く分かっていた。
「探索は残り9人の部下たちでやらせるから、お前はリズをずっとおんぶしていれば良い。簡単だろ?」
「はぁ…………」
見るからに気分がダダ下がりのレイだったが、オーエンに一つ疑問があった。
「ねぇ」
「なんだ?俺は野郎をおんぶする趣味は無いが」
「なんでワタシを止めるときに、ソレを撃ったの?アンタが命令するだけでもワタシは止まれるのに…………あのメス豚たちへの威圧も兼ねてたワケ?」
「ああ、その件か」
オーエンは、懐から拳銃を取り出す。ソレこそがリアラ達が聞いた『大砲のような銃声』の正体。リズと二人三脚でちまちま改造をしていたS&W M500と呼ばれる大口径の大型リボルバー――――――壁の外の遺産とも呼べる代物。金属の光沢が煌びやかに輝いているが、その大きな銃口は他の拳銃には無い威圧感を放つ。
引き金を引けば.500S&Wマグナム弾を射出し、いかなる防御を貫き、いかなる障害も排除してきた。しかしその法外な威力に伴う反動は凄まじく、特に彼の用いるソレはシリンダーの回転を滑らかにしている影響で通常より早く連射が可能。だが、そんな事をすれば常人は腕が持っていかれるだろう。
だが、オーエンは服で隠れてはいるが右手右腕右肩回りを機械に置換している。外見や機能性はとても本来の腕には近しくないが、このS&W M500の引き金を引くことなら可能であり、そして通常なら無茶な連続射撃も行えるのだ。
「これを撃ったのは、眼を潰す為だ」
「え、『眼』って…………嘘!?居たの!?」
「ああ、天井を見ろ」
そう言われ素直にレイは天井に視界を向けるが、そこには大きな穴をあけられた偵察無人ドローン――――通称『眼』が天井で動きを止めていた。
『眼』は、タワーが度々『都市』全体にバラまいている兵器の一つ。とくに攻撃性能は有していないが、街の各地を偵察…………もとい盗撮盗聴が可能なのだ。
「『眼』は何故かは知らんがこのビルに忍び込んで、誰かの動向を見張るつもりだったらしい」
「え、じゃあやっぱり…………」
「そうだ。リアラ、アスカ、そしてアイか。あいつらは、黒だ。それも彼女たちはまだ『眼』に監視されているのに気づいていない」
オーエンは、もうとっくにリアラの嘘なんて見抜いたのだ。だが、あの場ではそれ以上の詮索は不要。それよりも自分たちだけビルに残し思案する必要性があった。
「ラボラトリーの最高傑作。タワーに地下通路を使ってでも機密に送り届けたかった『ブツ』とは、何か。いや、タワーに向けたというよりはコレは…………市長の野郎直々の依頼か何かだったのか」
オーエンは口に咥えた煙草を手に取り、深く煙を吐く。
「アイ、ノール」
「え?なんか言いましたぁ?ボスぅ?」
「いや、独り言だ」
脳裏には『パンドラの箱』の文字が浮かぶ。オーエンは、次の一手を思案し始めた――――――
「フン、戦いなんてロクにしてない癖に無茶するからだ」
リアラ達がビルから立ち去った後、タロンの彼らは12人ほどの人数で各階層を回り物資を集めていた。両腕に盾を装備している赤目の少女レイは、自分が背負っている目を覚まさないガスマスク男――リズにうんざりしていた。しかし、彼女は普通ではないのでこの程度はなんてことは無い。それはボスと呼ばれる隻眼の男、『オーエン』も良く分かっていた。
「探索は残り9人の部下たちでやらせるから、お前はリズをずっとおんぶしていれば良い。簡単だろ?」
「はぁ…………」
見るからに気分がダダ下がりのレイだったが、オーエンに一つ疑問があった。
「ねぇ」
「なんだ?俺は野郎をおんぶする趣味は無いが」
「なんでワタシを止めるときに、ソレを撃ったの?アンタが命令するだけでもワタシは止まれるのに…………あのメス豚たちへの威圧も兼ねてたワケ?」
「ああ、その件か」
オーエンは、懐から拳銃を取り出す。ソレこそがリアラ達が聞いた『大砲のような銃声』の正体。リズと二人三脚でちまちま改造をしていたS&W M500と呼ばれる大口径の大型リボルバー――――――壁の外の遺産とも呼べる代物。金属の光沢が煌びやかに輝いているが、その大きな銃口は他の拳銃には無い威圧感を放つ。
引き金を引けば.500S&Wマグナム弾を射出し、いかなる防御を貫き、いかなる障害も排除してきた。しかしその法外な威力に伴う反動は凄まじく、特に彼の用いるソレはシリンダーの回転を滑らかにしている影響で通常より早く連射が可能。だが、そんな事をすれば常人は腕が持っていかれるだろう。
だが、オーエンは服で隠れてはいるが右手右腕右肩回りを機械に置換している。外見や機能性はとても本来の腕には近しくないが、このS&W M500の引き金を引くことなら可能であり、そして通常なら無茶な連続射撃も行えるのだ。
「これを撃ったのは、眼を潰す為だ」
「え、『眼』って…………嘘!?居たの!?」
「ああ、天井を見ろ」
そう言われ素直にレイは天井に視界を向けるが、そこには大きな穴をあけられた偵察無人ドローン――――通称『眼』が天井で動きを止めていた。
『眼』は、タワーが度々『都市』全体にバラまいている兵器の一つ。とくに攻撃性能は有していないが、街の各地を偵察…………もとい盗撮盗聴が可能なのだ。
「『眼』は何故かは知らんがこのビルに忍び込んで、誰かの動向を見張るつもりだったらしい」
「え、じゃあやっぱり…………」
「そうだ。リアラ、アスカ、そしてアイか。あいつらは、黒だ。それも彼女たちはまだ『眼』に監視されているのに気づいていない」
オーエンは、もうとっくにリアラの嘘なんて見抜いたのだ。だが、あの場ではそれ以上の詮索は不要。それよりも自分たちだけビルに残し思案する必要性があった。
「ラボラトリーの最高傑作。タワーに地下通路を使ってでも機密に送り届けたかった『ブツ』とは、何か。いや、タワーに向けたというよりはコレは…………市長の野郎直々の依頼か何かだったのか」
オーエンは口に咥えた煙草を手に取り、深く煙を吐く。
「アイ、ノール」
「え?なんか言いましたぁ?ボスぅ?」
「いや、独り言だ」
脳裏には『パンドラの箱』の文字が浮かぶ。オーエンは、次の一手を思案し始めた――――――
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