7 / 8
第二章 アイに集っていく
戦いのその後。
しおりを挟む
「ボスぅ…………リズったら全然起きないんだけど」
「フン、戦いなんてロクにしてない癖に無茶するからだ」
リアラ達がビルから立ち去った後、タロンの彼らは12人ほどの人数で各階層を回り物資を集めていた。両腕に盾を装備している赤目の少女レイは、自分が背負っている目を覚まさないガスマスク男――リズにうんざりしていた。しかし、彼女は普通ではないのでこの程度はなんてことは無い。それはボスと呼ばれる隻眼の男、『オーエン』も良く分かっていた。
「探索は残り9人の部下たちでやらせるから、お前はリズをずっとおんぶしていれば良い。簡単だろ?」
「はぁ…………」
見るからに気分がダダ下がりのレイだったが、オーエンに一つ疑問があった。
「ねぇ」
「なんだ?俺は野郎をおんぶする趣味は無いが」
「なんでワタシを止めるときに、ソレを撃ったの?アンタが命令するだけでもワタシは止まれるのに…………あのメス豚たちへの威圧も兼ねてたワケ?」
「ああ、その件か」
オーエンは、懐から拳銃を取り出す。ソレこそがリアラ達が聞いた『大砲のような銃声』の正体。リズと二人三脚でちまちま改造をしていたS&W M500と呼ばれる大口径の大型リボルバー――――――壁の外の遺産とも呼べる代物。金属の光沢が煌びやかに輝いているが、その大きな銃口は他の拳銃には無い威圧感を放つ。
引き金を引けば.500S&Wマグナム弾を射出し、いかなる防御を貫き、いかなる障害も排除してきた。しかしその法外な威力に伴う反動は凄まじく、特に彼の用いるソレはシリンダーの回転を滑らかにしている影響で通常より早く連射が可能。だが、そんな事をすれば常人は腕が持っていかれるだろう。
だが、オーエンは服で隠れてはいるが右手右腕右肩回りを機械に置換している。外見や機能性はとても本来の腕には近しくないが、このS&W M500の引き金を引くことなら可能であり、そして通常なら無茶な連続射撃も行えるのだ。
「これを撃ったのは、眼を潰す為だ」
「え、『眼』って…………嘘!?居たの!?」
「ああ、天井を見ろ」
そう言われ素直にレイは天井に視界を向けるが、そこには大きな穴をあけられた偵察無人ドローン――――通称『眼』が天井で動きを止めていた。
『眼』は、タワーが度々『都市』全体にバラまいている兵器の一つ。とくに攻撃性能は有していないが、街の各地を偵察…………もとい盗撮盗聴が可能なのだ。
「『眼』は何故かは知らんがこのビルに忍び込んで、誰かの動向を見張るつもりだったらしい」
「え、じゃあやっぱり…………」
「そうだ。リアラ、アスカ、そしてアイか。あいつらは、黒だ。それも彼女たちはまだ『眼』に監視されているのに気づいていない」
オーエンは、もうとっくにリアラの嘘なんて見抜いたのだ。だが、あの場ではそれ以上の詮索は不要。それよりも自分たちだけビルに残し思案する必要性があった。
「ラボラトリーの最高傑作。タワーに地下通路を使ってでも機密に送り届けたかった『ブツ』とは、何か。いや、タワーに向けたというよりはコレは…………市長の野郎直々の依頼か何かだったのか」
オーエンは口に咥えた煙草を手に取り、深く煙を吐く。
「アイ、ノール」
「え?なんか言いましたぁ?ボスぅ?」
「いや、独り言だ」
脳裏には『パンドラの箱』の文字が浮かぶ。オーエンは、次の一手を思案し始めた――――――
「フン、戦いなんてロクにしてない癖に無茶するからだ」
リアラ達がビルから立ち去った後、タロンの彼らは12人ほどの人数で各階層を回り物資を集めていた。両腕に盾を装備している赤目の少女レイは、自分が背負っている目を覚まさないガスマスク男――リズにうんざりしていた。しかし、彼女は普通ではないのでこの程度はなんてことは無い。それはボスと呼ばれる隻眼の男、『オーエン』も良く分かっていた。
「探索は残り9人の部下たちでやらせるから、お前はリズをずっとおんぶしていれば良い。簡単だろ?」
「はぁ…………」
見るからに気分がダダ下がりのレイだったが、オーエンに一つ疑問があった。
「ねぇ」
「なんだ?俺は野郎をおんぶする趣味は無いが」
「なんでワタシを止めるときに、ソレを撃ったの?アンタが命令するだけでもワタシは止まれるのに…………あのメス豚たちへの威圧も兼ねてたワケ?」
「ああ、その件か」
オーエンは、懐から拳銃を取り出す。ソレこそがリアラ達が聞いた『大砲のような銃声』の正体。リズと二人三脚でちまちま改造をしていたS&W M500と呼ばれる大口径の大型リボルバー――――――壁の外の遺産とも呼べる代物。金属の光沢が煌びやかに輝いているが、その大きな銃口は他の拳銃には無い威圧感を放つ。
引き金を引けば.500S&Wマグナム弾を射出し、いかなる防御を貫き、いかなる障害も排除してきた。しかしその法外な威力に伴う反動は凄まじく、特に彼の用いるソレはシリンダーの回転を滑らかにしている影響で通常より早く連射が可能。だが、そんな事をすれば常人は腕が持っていかれるだろう。
だが、オーエンは服で隠れてはいるが右手右腕右肩回りを機械に置換している。外見や機能性はとても本来の腕には近しくないが、このS&W M500の引き金を引くことなら可能であり、そして通常なら無茶な連続射撃も行えるのだ。
「これを撃ったのは、眼を潰す為だ」
「え、『眼』って…………嘘!?居たの!?」
「ああ、天井を見ろ」
そう言われ素直にレイは天井に視界を向けるが、そこには大きな穴をあけられた偵察無人ドローン――――通称『眼』が天井で動きを止めていた。
『眼』は、タワーが度々『都市』全体にバラまいている兵器の一つ。とくに攻撃性能は有していないが、街の各地を偵察…………もとい盗撮盗聴が可能なのだ。
「『眼』は何故かは知らんがこのビルに忍び込んで、誰かの動向を見張るつもりだったらしい」
「え、じゃあやっぱり…………」
「そうだ。リアラ、アスカ、そしてアイか。あいつらは、黒だ。それも彼女たちはまだ『眼』に監視されているのに気づいていない」
オーエンは、もうとっくにリアラの嘘なんて見抜いたのだ。だが、あの場ではそれ以上の詮索は不要。それよりも自分たちだけビルに残し思案する必要性があった。
「ラボラトリーの最高傑作。タワーに地下通路を使ってでも機密に送り届けたかった『ブツ』とは、何か。いや、タワーに向けたというよりはコレは…………市長の野郎直々の依頼か何かだったのか」
オーエンは口に咥えた煙草を手に取り、深く煙を吐く。
「アイ、ノール」
「え?なんか言いましたぁ?ボスぅ?」
「いや、独り言だ」
脳裏には『パンドラの箱』の文字が浮かぶ。オーエンは、次の一手を思案し始めた――――――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる