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第五章 : 私の居場所は
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夜斗お兄ちゃんは、笑顔でこっちを見てる。
「あれ?玲音、いつから俺の事を名前で呼ぶようになったっけ?まぁ、いいや。」
「この子は紗音だ。俺の妹だ。あんたには渡さない!そして、魔界にはもう行かせない!」
光音お兄ちゃんが夜斗お兄ちゃんに斬りかかろうとした時、私は夜斗お兄ちゃんに手を引っ張られ、胸の中に引き寄せられた。それと同時に、項を触られた。
「やっぱりね。悪印をそのまま付けておけば、俺は確実に死んでた。勿論、玲音もだけど。けど、俺はこの通り平気だ。一瞬だけクラッとしたけど。玲音の悪印を消してくれて、ありがとさん。」
あの時、頭がクラクラしたのって、夜斗お兄ちゃんと離れたからなんだ。強力な光を浴びながら、天力入れられていたなら、それもあるかもだけど。
「けど、玲音に天印を付けるとは。俺が玲音を連れて魔界に戻ったら、二人共死んじゃうよ?まぁ、そんな事はしないけど。大事な妹を殺すような真似はしたくないからね。」
そう言いながら、夜斗お兄ちゃんは、私の天印を消した。一瞬だけ、項が焼けるように熱くなったから分かる。天印なんて、いつの間に付けられたのだろう。悪印消された時かな?
「さ、帰ろ、玲音。我が家へ。」
「うん。早く帰って、夜ご飯だね。お腹空いたなぁ。」
今度はちゃんと、夜斗お兄ちゃんの手を離さない。ぎゅっと力を入れる。
「待て。俺は紗音は渡さないと言った。兄もどきが何吹き込んでんだ?紗音から離れろ。」
光音お兄ちゃんも負けじと、私のもう片方の手を掴む。はたから見たら、一人の女子を巡る争いが始まる状況に見えるかもしれない。ただ、そんな事は無い。夜斗お兄ちゃんの手を離したら、私は天界に閉じ込められ、拷問を受けながら生活だ。そんなの耐えられない。
「光音お兄ちゃん離して!たまには、妹の私の願いも聞いて!」
「嫌だ!この手を離したら、紗音は闇に呑まれる!今以上に。身体に危険が及ぶんだ!」
光音お兄ちゃんが言ってる言葉の意味は、足掻いても無駄だという事。段々と私の手を掴む力が強くなっているのが分かる。絶対、永遠に離さないと誓ったみたいに。
「お願いだから、私から離れっ……!」
私が話し終わる前に、何かが硝子に叩きつけられる音がした。反射的に目を瞑ったけど、すぐに目を開く。目の前に光音お兄ちゃんが倒れている。鈍器で殴られた様にぐったりと横になっていた。
「お兄ーさんもどき?妹の願い、叶えてあげましょう?天界に堕天使が住める訳無いだろ?」
口を塞がれる。見上げると、夜斗お兄ちゃんが笑っていた。爆笑でも無く、苦笑いでも無く、嘲笑う様にニヤリと。背筋が凍った気がした。夜斗お兄ちゃんが別人になったみたいだ。人間じゃ無いけど。
「夜斗、お兄ちゃん…?」
「玲音、大丈夫か?天使相手に一人でよく頑張ったな。遅くなったけど、帰ろ?我が家へ!」
でも、見上げたところにあるのは、いつもの優しい夜斗お兄ちゃんの笑顔だった。
改めて、夜斗お兄ちゃんの手を取る。その手は温かった。
「あれ?玲音、いつから俺の事を名前で呼ぶようになったっけ?まぁ、いいや。」
「この子は紗音だ。俺の妹だ。あんたには渡さない!そして、魔界にはもう行かせない!」
光音お兄ちゃんが夜斗お兄ちゃんに斬りかかろうとした時、私は夜斗お兄ちゃんに手を引っ張られ、胸の中に引き寄せられた。それと同時に、項を触られた。
「やっぱりね。悪印をそのまま付けておけば、俺は確実に死んでた。勿論、玲音もだけど。けど、俺はこの通り平気だ。一瞬だけクラッとしたけど。玲音の悪印を消してくれて、ありがとさん。」
あの時、頭がクラクラしたのって、夜斗お兄ちゃんと離れたからなんだ。強力な光を浴びながら、天力入れられていたなら、それもあるかもだけど。
「けど、玲音に天印を付けるとは。俺が玲音を連れて魔界に戻ったら、二人共死んじゃうよ?まぁ、そんな事はしないけど。大事な妹を殺すような真似はしたくないからね。」
そう言いながら、夜斗お兄ちゃんは、私の天印を消した。一瞬だけ、項が焼けるように熱くなったから分かる。天印なんて、いつの間に付けられたのだろう。悪印消された時かな?
「さ、帰ろ、玲音。我が家へ。」
「うん。早く帰って、夜ご飯だね。お腹空いたなぁ。」
今度はちゃんと、夜斗お兄ちゃんの手を離さない。ぎゅっと力を入れる。
「待て。俺は紗音は渡さないと言った。兄もどきが何吹き込んでんだ?紗音から離れろ。」
光音お兄ちゃんも負けじと、私のもう片方の手を掴む。はたから見たら、一人の女子を巡る争いが始まる状況に見えるかもしれない。ただ、そんな事は無い。夜斗お兄ちゃんの手を離したら、私は天界に閉じ込められ、拷問を受けながら生活だ。そんなの耐えられない。
「光音お兄ちゃん離して!たまには、妹の私の願いも聞いて!」
「嫌だ!この手を離したら、紗音は闇に呑まれる!今以上に。身体に危険が及ぶんだ!」
光音お兄ちゃんが言ってる言葉の意味は、足掻いても無駄だという事。段々と私の手を掴む力が強くなっているのが分かる。絶対、永遠に離さないと誓ったみたいに。
「お願いだから、私から離れっ……!」
私が話し終わる前に、何かが硝子に叩きつけられる音がした。反射的に目を瞑ったけど、すぐに目を開く。目の前に光音お兄ちゃんが倒れている。鈍器で殴られた様にぐったりと横になっていた。
「お兄ーさんもどき?妹の願い、叶えてあげましょう?天界に堕天使が住める訳無いだろ?」
口を塞がれる。見上げると、夜斗お兄ちゃんが笑っていた。爆笑でも無く、苦笑いでも無く、嘲笑う様にニヤリと。背筋が凍った気がした。夜斗お兄ちゃんが別人になったみたいだ。人間じゃ無いけど。
「夜斗、お兄ちゃん…?」
「玲音、大丈夫か?天使相手に一人でよく頑張ったな。遅くなったけど、帰ろ?我が家へ!」
でも、見上げたところにあるのは、いつもの優しい夜斗お兄ちゃんの笑顔だった。
改めて、夜斗お兄ちゃんの手を取る。その手は温かった。
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