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とある貿易商 1
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「はい。はい。では、後日商品のカタログをお送り致します。其処から商品をお選びください」
男が携帯をかけながら、誰かと話をしていた。
男の名は松重次郎という、個人で輸入業を営んでいる男であった。
歳は三十代で、前髪が少々後退していた。
そして、通話が終わったのかは次郎は携帯から離れると息を吐いた。
「ふぅ~、今日の仕事はこれで終わりだな」
次郎は腕に付けている時計を見た。
時計は午後六時半であった。
「……何処かの店で食べるか」
時計の時刻を見ると、先程まで何も言わなかった腹の虫が鳴きだした。
お腹が空いたので次郎は何か食べられる店が無いか探した。
そう周りを見ていると、異形の者達が男の前を話しながら歩いていた。
その者達は身体の大きさはバラバラであったが、顔が人ではなかった。
一人は豚と人と合わせた様な顔をしており、二人めは犬の顔をしていた。
最後の三人目は頭髪がない頭で緑色の肌をしてギョロ目で鷲鼻を持った小人であった。
(オークにコボルトにゴブリンか。別に驚く物でも何でもないな)
次郎はそう思いながら三人の横を通ろうとした。
数年前に太平洋のある小島で門が見つかった。
その門を開けると、黒い穴が出来た。
調査隊がその黒い穴を潜り抜けると、其処は異世界であった。
門は異世界『ファンタジア』へと繋がる門であった。
調査隊が帰還するとその事を報告する。
そして、各国首脳と異世界の王達は会談を設けた。
会談の結果。異世界の王達は地球と修好条約を結ぶ事となった。
それにより、架空の存在であった亜人と魔法という存在が現実のものとなった。
条約が結ばれ数年が経つと、両世界の人々はそれぞれの世界の自由に行き来する様になった。
中にはそれぞれの世界に暮らす者達も現れた。
その為か、異世界の人々が歩いているのを見ても、次郎は特に驚く事も無かった。
次郎としてはそれよりも空腹を満たす方が重要であった。
次郎が三人の男達の横を通り過ぎようとした際、男達の会話が耳に入った。
「こっちの世界でも、あの肉が食べられるとはな」
「本当にな驚いたな」
「美味かったな。また、行く事があったら行くか。『焼肉屋』」
男達の会話を聞いて次郎は首を傾げた。
(焼肉屋? 屋号にしては少し変わっているな)
普通は焼肉○○というのが普通であった。
焼肉屋というだけの店名は次郎は聞いた事が無かった。
(……焼肉屋という事だから、焼き肉を出すのだろう。今日は商談が成功したし、贅沢に言っても良いか)
そう思った次郎は携帯を取り出してその店を探す事にした。
そして、探す事数十分。
グルメレビューサイトに載っている店の住所を見ながら歩いた事でようやく店の前に着いた次郎。
店は二階建て一軒造りの店であった。
店の扉には『open』と書かれた札が掛けられいた。
不思議な事に店名が書かれた物は無く、暖簾も掛かっていなかった。
パッと見では一軒家にしか見えなかった。
次郎はそのグルメレビューサイトに書かれてるレビューを見た。
『美味しかったけど、店主が何を考えているか分からない』
『店主は無口。客商売なのにあまり話さない』
『あまりに反応が無いので、言葉が通じていいないのでは?と思った』
『音楽も掛からない上に静かなので、孤食にはピッタリの店』
『店主の視線が怖すぎる』
と料理の事では無く、店主と店に対するばかり書かれていた。
それを見た次郎は不安な顔を浮かべた。
だが、換気扇から漂う匂いが香ばしく胃袋を刺激する匂いであった。
匂いを嗅いでいるだけでたまらない思いになる次郎。
引き戸に手を掛けて開けた。
ガラガラと音を立てて開かれた扉の先には、カウンター席が二十席ほどあった。
カウンターの向こうには黒いエプロンを着た男が居た。一人しか居ないので恐らく店長だと予想できた。
その店長は人では無かった。
角質化した青みを帯びた黒い鱗が生えた皮を全身にあり、顔も蜥蜴の様な形をしていた。
赤い瞳に黒い縦長の瞳孔を持った目を持っていた。
男は人間ではなく蜥蜴人間であった。
男が携帯をかけながら、誰かと話をしていた。
男の名は松重次郎という、個人で輸入業を営んでいる男であった。
歳は三十代で、前髪が少々後退していた。
そして、通話が終わったのかは次郎は携帯から離れると息を吐いた。
「ふぅ~、今日の仕事はこれで終わりだな」
次郎は腕に付けている時計を見た。
時計は午後六時半であった。
「……何処かの店で食べるか」
時計の時刻を見ると、先程まで何も言わなかった腹の虫が鳴きだした。
お腹が空いたので次郎は何か食べられる店が無いか探した。
そう周りを見ていると、異形の者達が男の前を話しながら歩いていた。
その者達は身体の大きさはバラバラであったが、顔が人ではなかった。
一人は豚と人と合わせた様な顔をしており、二人めは犬の顔をしていた。
最後の三人目は頭髪がない頭で緑色の肌をしてギョロ目で鷲鼻を持った小人であった。
(オークにコボルトにゴブリンか。別に驚く物でも何でもないな)
次郎はそう思いながら三人の横を通ろうとした。
数年前に太平洋のある小島で門が見つかった。
その門を開けると、黒い穴が出来た。
調査隊がその黒い穴を潜り抜けると、其処は異世界であった。
門は異世界『ファンタジア』へと繋がる門であった。
調査隊が帰還するとその事を報告する。
そして、各国首脳と異世界の王達は会談を設けた。
会談の結果。異世界の王達は地球と修好条約を結ぶ事となった。
それにより、架空の存在であった亜人と魔法という存在が現実のものとなった。
条約が結ばれ数年が経つと、両世界の人々はそれぞれの世界の自由に行き来する様になった。
中にはそれぞれの世界に暮らす者達も現れた。
その為か、異世界の人々が歩いているのを見ても、次郎は特に驚く事も無かった。
次郎としてはそれよりも空腹を満たす方が重要であった。
次郎が三人の男達の横を通り過ぎようとした際、男達の会話が耳に入った。
「こっちの世界でも、あの肉が食べられるとはな」
「本当にな驚いたな」
「美味かったな。また、行く事があったら行くか。『焼肉屋』」
男達の会話を聞いて次郎は首を傾げた。
(焼肉屋? 屋号にしては少し変わっているな)
普通は焼肉○○というのが普通であった。
焼肉屋というだけの店名は次郎は聞いた事が無かった。
(……焼肉屋という事だから、焼き肉を出すのだろう。今日は商談が成功したし、贅沢に言っても良いか)
そう思った次郎は携帯を取り出してその店を探す事にした。
そして、探す事数十分。
グルメレビューサイトに載っている店の住所を見ながら歩いた事でようやく店の前に着いた次郎。
店は二階建て一軒造りの店であった。
店の扉には『open』と書かれた札が掛けられいた。
不思議な事に店名が書かれた物は無く、暖簾も掛かっていなかった。
パッと見では一軒家にしか見えなかった。
次郎はそのグルメレビューサイトに書かれてるレビューを見た。
『美味しかったけど、店主が何を考えているか分からない』
『店主は無口。客商売なのにあまり話さない』
『あまりに反応が無いので、言葉が通じていいないのでは?と思った』
『音楽も掛からない上に静かなので、孤食にはピッタリの店』
『店主の視線が怖すぎる』
と料理の事では無く、店主と店に対するばかり書かれていた。
それを見た次郎は不安な顔を浮かべた。
だが、換気扇から漂う匂いが香ばしく胃袋を刺激する匂いであった。
匂いを嗅いでいるだけでたまらない思いになる次郎。
引き戸に手を掛けて開けた。
ガラガラと音を立てて開かれた扉の先には、カウンター席が二十席ほどあった。
カウンターの向こうには黒いエプロンを着た男が居た。一人しか居ないので恐らく店長だと予想できた。
その店長は人では無かった。
角質化した青みを帯びた黒い鱗が生えた皮を全身にあり、顔も蜥蜴の様な形をしていた。
赤い瞳に黒い縦長の瞳孔を持った目を持っていた。
男は人間ではなく蜥蜴人間であった。
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