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第六話
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父親デュランダルにあっさりと負けたエドワードは訓練場の冷たい床に暫し仰向けになって天井を見つめていた。
先程の手合わせで何が駄目だったのか、こうすれば良かったのか反芻していた。
短い時間の手合わせであったのだが、エドワードの全身に汗でびっしょりであった。
額に浮かぶ汗を拭わず考えていると。
ふわりとタオルが顔に掛けられた。
「若様。そのままでは風邪を召します。せめて、汗を拭って下さい」
優しい声色でそう話し掛けられた。
「……ああ、サンドラか」
エドワードは顔に掛かったタオルを取り身体を起こして声をした方に顔を向けた。
其処にはエドワードよりも年上の女性が居た。
磁器のように滑らかで白い肌。艶やかな黒髪をワンレングスにしていた。
切れ長の目に鳶色の瞳。凛然とした美貌。
西瓜の様に大きな胸。砂時計の様に引き締まった腰。柔らかく桃のように肉付きが良い尻。
そんなグラマラスな肢体を持っている女性はサンドラ=エルヴィーシスという者だ。
屋敷に仕えている者の一人でエドワードの乳母でもあった。
見た目年齢が二十代にしか見えないが、エドワードがこの屋敷に戻ってから世話をしているので、どう考えても三十代はいっている筈であった。
一度、エドワードはサンドラに何歳なのか訊ねたが。
『若様。男性が女性に年齢を尋ねるのは、女性にしてはいけない事の一つですよ』
と窘める様に優しくだが、強い意思を込めた口調でそう教えてくれた。
優しく笑っているのに、何故か怖いと感じたエドワードはそれ以来女性に対して年齢に関する事を聞くのは止めようと決めた。
貰ったタオルで額に浮かぶ汗を拭うエドワード。
「今日も親父に負けた」
「そうですか」
「良い所までいったと思ったんだけどな~」
エドワードは悔しそうに溜め息を吐いた。
「……やっぱり、親父は強いな」
万感の思いを込めて呟くエドワード。
サンドラはエドワードが持っているタオルを取り汗を拭った。
「仕方が有りません。旦那様は若様達が生まれる前から戦って生き残った『英勇』なのですから。経験も技量も力も何も勝るものはありませんよ」
「それは、そうなんだけどよ」
サンドラに優しく諭されながらもエドワードはやるせない気持ちで胸が一杯であった。
サンドラの言う通り、エドワードがデュランダルには敵わない事は分かっている。
分かってはいるが、せめて一撃を入れたいと思うのは贅沢なのだろうか?と思うエドワード。
「いつかは、親父を越える事が出来るだろうか?」
自信なさげに呟くエドワード。
今でも敵わないのに、何時越える事が出来るのか分からい。
だから、そうネガティブに考えてしまうエドワード。
「大丈夫ですよ。若様なら」
そう言ってサンドラは自分の胸元にエドワードを抱き寄せる。
気持を落ち着かせる様に背中をポンポンと叩いた。
サンドラからしたら不安な気持ちを和らげようとしたつもりなのだろうが、エドワードからしたら。
(やっべええええ、サンドラのむね、やわけえええ。というか、良い匂いするな~)
エドワードはサンドラの胸に顔を押し付けられて興奮していた。
まだ十五歳の思春期のエドワードには母性の象徴に触れて色々な意味で興奮しない方がおかしいと言えた。
思わず鼻息が荒くなるのは仕方が無いと言えた。
(こうしていると、気持ち良くて眠たくなるな~……はっ⁉ 殺気‼)
サンドラの心音に耳を傾けながら胸を枕にして眠ろうとしていた所に殺気を感じて身を話すエドワード。
そうして、周りを見ると其処にはクリュネ達が居た。
「ど、どうした? お前等?」
「「べっっっつに~~~」」
クリュネとストラーが不満そうに唇を尖らせる。
「…………」
ヘレネは無言で自分の胸を触っていた。
「ああ~、こほん。何か用があって来たんだろう?」
エドワードがそう訊ねると、三人はまだ何か言いたそうな顔であったが、直ぐに気持ちを切り替えた。
「パパとの手合わせが終わったんでしょう。じゃあ、今度はわたし達と遊んで~」
「遊びね。何をすれば良いんだ」
「ババ抜き」
「いいぞ。その前に」
エドワードは立ち上がり身体を見る。服が汗で張り付いていたので、動きずらなかった。
「先に風呂に入って良いか? それから遊んでやるよ」
「一緒に入る?」
ストラーが悪童のような笑みを浮かべると、クリュネがその頭を叩いた。
「なに、言っているのよ。馬鹿っ」
「ええ~、いいじゃん。兄妹なんだし。それとも、妹の身体にこう」
「そんな訳があるか」
ストラーが言い続けようとしたが、エドワードがストラーの額にデコピンした。
デコピンされたストラーは手で額を抑えるが何が楽しいのか笑っていた。
「じゃあ、後で三人の部屋に行くからな」
エドワードはそう言って訓練場を後にした。
先程の手合わせで何が駄目だったのか、こうすれば良かったのか反芻していた。
短い時間の手合わせであったのだが、エドワードの全身に汗でびっしょりであった。
額に浮かぶ汗を拭わず考えていると。
ふわりとタオルが顔に掛けられた。
「若様。そのままでは風邪を召します。せめて、汗を拭って下さい」
優しい声色でそう話し掛けられた。
「……ああ、サンドラか」
エドワードは顔に掛かったタオルを取り身体を起こして声をした方に顔を向けた。
其処にはエドワードよりも年上の女性が居た。
磁器のように滑らかで白い肌。艶やかな黒髪をワンレングスにしていた。
切れ長の目に鳶色の瞳。凛然とした美貌。
西瓜の様に大きな胸。砂時計の様に引き締まった腰。柔らかく桃のように肉付きが良い尻。
そんなグラマラスな肢体を持っている女性はサンドラ=エルヴィーシスという者だ。
屋敷に仕えている者の一人でエドワードの乳母でもあった。
見た目年齢が二十代にしか見えないが、エドワードがこの屋敷に戻ってから世話をしているので、どう考えても三十代はいっている筈であった。
一度、エドワードはサンドラに何歳なのか訊ねたが。
『若様。男性が女性に年齢を尋ねるのは、女性にしてはいけない事の一つですよ』
と窘める様に優しくだが、強い意思を込めた口調でそう教えてくれた。
優しく笑っているのに、何故か怖いと感じたエドワードはそれ以来女性に対して年齢に関する事を聞くのは止めようと決めた。
貰ったタオルで額に浮かぶ汗を拭うエドワード。
「今日も親父に負けた」
「そうですか」
「良い所までいったと思ったんだけどな~」
エドワードは悔しそうに溜め息を吐いた。
「……やっぱり、親父は強いな」
万感の思いを込めて呟くエドワード。
サンドラはエドワードが持っているタオルを取り汗を拭った。
「仕方が有りません。旦那様は若様達が生まれる前から戦って生き残った『英勇』なのですから。経験も技量も力も何も勝るものはありませんよ」
「それは、そうなんだけどよ」
サンドラに優しく諭されながらもエドワードはやるせない気持ちで胸が一杯であった。
サンドラの言う通り、エドワードがデュランダルには敵わない事は分かっている。
分かってはいるが、せめて一撃を入れたいと思うのは贅沢なのだろうか?と思うエドワード。
「いつかは、親父を越える事が出来るだろうか?」
自信なさげに呟くエドワード。
今でも敵わないのに、何時越える事が出来るのか分からい。
だから、そうネガティブに考えてしまうエドワード。
「大丈夫ですよ。若様なら」
そう言ってサンドラは自分の胸元にエドワードを抱き寄せる。
気持を落ち着かせる様に背中をポンポンと叩いた。
サンドラからしたら不安な気持ちを和らげようとしたつもりなのだろうが、エドワードからしたら。
(やっべええええ、サンドラのむね、やわけえええ。というか、良い匂いするな~)
エドワードはサンドラの胸に顔を押し付けられて興奮していた。
まだ十五歳の思春期のエドワードには母性の象徴に触れて色々な意味で興奮しない方がおかしいと言えた。
思わず鼻息が荒くなるのは仕方が無いと言えた。
(こうしていると、気持ち良くて眠たくなるな~……はっ⁉ 殺気‼)
サンドラの心音に耳を傾けながら胸を枕にして眠ろうとしていた所に殺気を感じて身を話すエドワード。
そうして、周りを見ると其処にはクリュネ達が居た。
「ど、どうした? お前等?」
「「べっっっつに~~~」」
クリュネとストラーが不満そうに唇を尖らせる。
「…………」
ヘレネは無言で自分の胸を触っていた。
「ああ~、こほん。何か用があって来たんだろう?」
エドワードがそう訊ねると、三人はまだ何か言いたそうな顔であったが、直ぐに気持ちを切り替えた。
「パパとの手合わせが終わったんでしょう。じゃあ、今度はわたし達と遊んで~」
「遊びね。何をすれば良いんだ」
「ババ抜き」
「いいぞ。その前に」
エドワードは立ち上がり身体を見る。服が汗で張り付いていたので、動きずらなかった。
「先に風呂に入って良いか? それから遊んでやるよ」
「一緒に入る?」
ストラーが悪童のような笑みを浮かべると、クリュネがその頭を叩いた。
「なに、言っているのよ。馬鹿っ」
「ええ~、いいじゃん。兄妹なんだし。それとも、妹の身体にこう」
「そんな訳があるか」
ストラーが言い続けようとしたが、エドワードがストラーの額にデコピンした。
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エドワードはそう言って訓練場を後にした。
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