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3話 ありふれたダンジョン
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さて、俺が『混沌迷宮都市』に滞在して1週間が過ぎた。
つまり今日は任命式って奴だ。
広場には数多くの人々が集まっている。
人間・獣人・ドワーフ・エルフ、これらすべてを『人類』と呼ぶ。
広いステージに神官たちが集まって人々を誘導していた。
「迷宮主内定者は近くに集まって下さい! 青い線に沿ってお並び下さい! 観衆の皆様は白線から中に入らないように!」
ステージから離れて円形に描かれた白線。街の人は騒ぎながらも行儀良く、その中に入ろうとはしない。
神官が言っているのだから当然である。
俺は地面にひかれた青い線に沿って並ぶ。
俺の前にはすでに何人ものダンジョンマスター内定者がいるようだ。
心なしかお貴族様か?と思われる人が多い。
金装飾に格式ばった服を着た複数の男性やドレスを着た女性、和風っぽい着物を着た女性など。
一般人っぽい人でも綺麗な服を着ている人が多い…。
まずったな…服装とか気にしてなかった。
村に居る時には服装など何でもよかった。安全管理さえ出来ていれば良かったのだ。
おかげで俺の格好はダボッとした茶色のズボンに緑のタンクトップだ。田舎くささが全開である。
そうしてダンジョンマスター内定者を眺めていると立派な法衣を着た老人がステージの中央に来た。
長い髪と長い髭の老神官だ。
「静粛に! これよりダンジョンマスター任命式を執り行う!」
老人とは思えない声量で声を発し、任命式か始まった。
最前列の一人が呼ばれ、老神官の前に立つ。
「新しきダンジョンマスターへ、神からの祝福を」
老神官かそう言うと天から光が降り注ぎ、最前列の男を照らし出す。周囲からは「おおっ!」という歓声。
俺も初めて目にする”神の奇跡”って奴だ。
光は収束し、形をなして行く。大柄のナイフのような形状をしているため、おそらくは宝具だろう。
「彼の者はこれより【暗刃の迷宮】の主となる」
老神官がそのように宣言し、観衆が歓声を上げ、案内のための神官はダンジョンマスターとなった男を連れてステージを降りていく。
向かう先はステージのそばに建てられている教会のような巨大な施設。
『Fランクダンジョンの入り口』という名の巨大施設だ。
そこは名前の通り、Fランクのダンジョンの入り口が密集する施設なのである。
ここ混沌迷宮都市には巨大な建造物がいくつも存在する。
その中で最も重要なのが、ダンジョンへの入り口を管理している巨大施設だ。教会も併設されており、外観はさながら大聖堂なのである。
中でも数が多いため最も大きいのがこのFランクダンジョンの入り口である。
そこから次々に老神官に呼ばれ、ダンジョンマスター達がギフトを授かっていく。
武器も多いが防具や本なんかもある。宝具の形は本当に様々だ。
中には使い魔を授かる者も居る。
使い魔は最低でもCランクの魔物が従魔となると言われているため、Fランクのダンジョンマスターからすれば即戦力のゲットである。
「次に『ハヤミリア・フェイバンド』、前へ」
その名前が呼ばれると観衆に居る貴族っぽい人や兵士っぽい人が反応したように見えた。
今呼ばれたのは着物姿の女性だ。黒髪ロングの大和撫子って感じの美人だ。
まぁ目の色が碧だし、肌がめっちゃ白いからあんまり日本人って感じはしない。絵に描いたような美人である。
彼女にも光が差し、収束し、その手に握られていたのは…
「楽器か?」という声が観衆から聞こえた気がした。貴族っぽい人や兵士っぽい人達は含み笑いって感じだ。
彼女の手にあるのはどう見ても『三味線』だった。
個人的には琴とかのほうが似合いそうな女性なのだが…と思って居ると。
「彼の者はこれより【六区の迷宮】の主となる」
聞きなれない迷宮の名前が出た事で、観衆がまた騒がしくなったが、彼女は気にすることも無くステージを後にしていた。
しばらくすると俺の番が来た。
俺に向かって光が差し、収束し、その手にあるのは…
「植木鉢…? いや、プランターか?」
折り畳み式なのか、組み立て可能そうな見た目のどう見てもプランターであった。
(俺の名前にちなんで神様がくれたんかねぇ? まぁ効果しだいか、世界樹でも生えてくれたら嬉しいんだが…)
そんなことを心の中で思っていると。
「彼の者はこれより【針葉樹の迷宮】の主となる」
何のひねりも無く、めっちゃ普通っぽいダンジョン来たなぁ。
俺は失笑ととりあえず拍手しとくか的な観衆に見送られ、ステージを後にした。
こうして俺は、よく解らん宝具とありふれたダンジョンを授かったのだった。
つまり今日は任命式って奴だ。
広場には数多くの人々が集まっている。
人間・獣人・ドワーフ・エルフ、これらすべてを『人類』と呼ぶ。
広いステージに神官たちが集まって人々を誘導していた。
「迷宮主内定者は近くに集まって下さい! 青い線に沿ってお並び下さい! 観衆の皆様は白線から中に入らないように!」
ステージから離れて円形に描かれた白線。街の人は騒ぎながらも行儀良く、その中に入ろうとはしない。
神官が言っているのだから当然である。
俺は地面にひかれた青い線に沿って並ぶ。
俺の前にはすでに何人ものダンジョンマスター内定者がいるようだ。
心なしかお貴族様か?と思われる人が多い。
金装飾に格式ばった服を着た複数の男性やドレスを着た女性、和風っぽい着物を着た女性など。
一般人っぽい人でも綺麗な服を着ている人が多い…。
まずったな…服装とか気にしてなかった。
村に居る時には服装など何でもよかった。安全管理さえ出来ていれば良かったのだ。
おかげで俺の格好はダボッとした茶色のズボンに緑のタンクトップだ。田舎くささが全開である。
そうしてダンジョンマスター内定者を眺めていると立派な法衣を着た老人がステージの中央に来た。
長い髪と長い髭の老神官だ。
「静粛に! これよりダンジョンマスター任命式を執り行う!」
老人とは思えない声量で声を発し、任命式か始まった。
最前列の一人が呼ばれ、老神官の前に立つ。
「新しきダンジョンマスターへ、神からの祝福を」
老神官かそう言うと天から光が降り注ぎ、最前列の男を照らし出す。周囲からは「おおっ!」という歓声。
俺も初めて目にする”神の奇跡”って奴だ。
光は収束し、形をなして行く。大柄のナイフのような形状をしているため、おそらくは宝具だろう。
「彼の者はこれより【暗刃の迷宮】の主となる」
老神官がそのように宣言し、観衆が歓声を上げ、案内のための神官はダンジョンマスターとなった男を連れてステージを降りていく。
向かう先はステージのそばに建てられている教会のような巨大な施設。
『Fランクダンジョンの入り口』という名の巨大施設だ。
そこは名前の通り、Fランクのダンジョンの入り口が密集する施設なのである。
ここ混沌迷宮都市には巨大な建造物がいくつも存在する。
その中で最も重要なのが、ダンジョンへの入り口を管理している巨大施設だ。教会も併設されており、外観はさながら大聖堂なのである。
中でも数が多いため最も大きいのがこのFランクダンジョンの入り口である。
そこから次々に老神官に呼ばれ、ダンジョンマスター達がギフトを授かっていく。
武器も多いが防具や本なんかもある。宝具の形は本当に様々だ。
中には使い魔を授かる者も居る。
使い魔は最低でもCランクの魔物が従魔となると言われているため、Fランクのダンジョンマスターからすれば即戦力のゲットである。
「次に『ハヤミリア・フェイバンド』、前へ」
その名前が呼ばれると観衆に居る貴族っぽい人や兵士っぽい人が反応したように見えた。
今呼ばれたのは着物姿の女性だ。黒髪ロングの大和撫子って感じの美人だ。
まぁ目の色が碧だし、肌がめっちゃ白いからあんまり日本人って感じはしない。絵に描いたような美人である。
彼女にも光が差し、収束し、その手に握られていたのは…
「楽器か?」という声が観衆から聞こえた気がした。貴族っぽい人や兵士っぽい人達は含み笑いって感じだ。
彼女の手にあるのはどう見ても『三味線』だった。
個人的には琴とかのほうが似合いそうな女性なのだが…と思って居ると。
「彼の者はこれより【六区の迷宮】の主となる」
聞きなれない迷宮の名前が出た事で、観衆がまた騒がしくなったが、彼女は気にすることも無くステージを後にしていた。
しばらくすると俺の番が来た。
俺に向かって光が差し、収束し、その手にあるのは…
「植木鉢…? いや、プランターか?」
折り畳み式なのか、組み立て可能そうな見た目のどう見てもプランターであった。
(俺の名前にちなんで神様がくれたんかねぇ? まぁ効果しだいか、世界樹でも生えてくれたら嬉しいんだが…)
そんなことを心の中で思っていると。
「彼の者はこれより【針葉樹の迷宮】の主となる」
何のひねりも無く、めっちゃ普通っぽいダンジョン来たなぁ。
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