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しおりを挟む「確認したら、綺悧、礼華、朱雨は休憩、待機。夕は屋上に移動だ」
宵闇が見るモニターを、皆も集まって横から覗く。
4テイク目の危ない気配を更に色濃くした5テイク目。ラストを意識した分、持ち味が研ぎ澄まされて、個性が際立ってる。礼華なんか微笑んでるのに、近寄っちゃいけないオーラを感じる。
このバンド、ヤバいくらいにカッコいい。
「ありがとうございます。このシーンは完了でOKです」
「イエーイ!」
宵闇が監督に言うと、朱雨が周囲にハイタッチを要求する。俺も手を上げて応える。全員揃ってのシーンはこれで一応終了だ。一緒に作り上げたって満足感があって、こういうの、何かいいな。
「朱雨、イエーイとか古いなお前」
俺がつっこむと、朱雨は「うるせぇ、夕」とか何とか言いながらにこにこしてる。
さあ、俺はすぐに今日最後の撮影だ。
「さーて、行きますか!」
俺は伸びをして、気合いを入れ直す。
「お前ら、見に来る?」
「気が向いたらな。とりあえず、俺、ぼーっとしたいわ」
朱雨がそう言うのももっともだ。さっきのギリギリの緊張感から、いったん解放されたいよな。
礼華と綺悧も頷く。だよな。
俺は体の中にまだ残っている緊張感を、このまま次の撮影に持って行こう。宵闇が俺のイメージシーンに求めてる激情と爆発に、このテンションは役に立ちそうだ
3人はやって来た下階行きのエレベーターに乗り込んだ。
「夕、ラスト頑張って」
礼華はそう言って微笑んでくれる。
「楽しみにしてるね!」
綺悧が手を振ると、ドアが閉まった。
さてと。振り返ると、宵闇はまだモニターを見ていた。
「OKじゃねーの?」
「ああ、OKだ。問題ない」
「ふうん?」
俺も画面を覗き込む。ほんとこれ、夜中に見たら悪夢見そうなくらいの迫力だな。子どもが泣くんじゃねぇか。
「使うとこ考えてんのか?」
「いや、それはまた別で考える」
「じゃあ何考えてんだ?」
宵闇は横目で俺を見て、静かにニヤリと笑う。周りにスタッフがまだいるから、ちゃんと宵闇様のまんま話してくれんのな。
「予想以上の出来になったからな。これを、この後の撮影に反映させる」
「なーるほどな。じゃ、俺はこの調子でキチガイでいりゃいいのか」
各個人に割り振られた部屋と、演奏シーンでの印象を重ね合わせると、イメージにぴったりだ。演奏シーンは本人のイメージを増幅させて作った感じだから、当然といえば当然か。
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