180 / 233
34-2
しおりを挟む
「ふーん…あ、優哉くんじゃなくて夕くんなのか」
「あー、そうです。リーダーに勝手に付けられたんですけどね」
バイオグラフィのページを見ながら、また写真と俺を見比べてる。我ながら、写真は随分と美人だなと思う。現実の俺は、足開いてどっかり座ってタバコふかしてビール呑んでるおっさんだけど。
その現実の俺を見ても幻滅しねぇ宵闇は強いな。
「リーダーって?」
「あ、こいつです」
俺のすぐ上にレイアウトされてる宵闇を指し示す。ほんと、顔がまったくわかんねぇ写真だ。
「なかなか面白いねぇ。ああ、ここからYouTubeに飛べるのか」
トップページに、過去のMVやライブ映像へのリンクが貼ってあるのを、雪村さんは見つけた。
「俺が入る前のだから、ドラム上手いですよ」
俺は笑いながらそう言う。雪村さんは首を傾げる。俺が他人のドラムを褒めることはめったにないからな。
「そんなに?」
「はい、打ち込みですから。絶対ミスしませんからね」
「何だ、そういうことか」
雪村さんも笑う。
「どうせなら、今日の21時に俺が入って最初の曲のMVがフルで公開になるんで、そっち聴いて下さい」
「そりゃちょうどいい。聴かせてもらうよ」
「撮影が先週だったんですけど、あ、この写真も」
「スケジュールが随分タイトなんだな」
「そうなんですよ。俺、こういう活動初めてなんでわかんないですけど、普通なんですかね? そっからぶっ続けでリハと編集で、リーダー寝てないんですよ」
昔と言えど、表舞台に立つアーティストとしての活動経験がある雪村さんなら、わかるかな。ジャンルとか事務所とかでその辺はかなり差がありそうだけど。
「どうなんだろうね。今は何でもデジタルだから、昔に比べて編集作業は早いし、写真もそうだろうな。でも、リハーサルだけは時代関係ないからね。なかなか大変だなぁ」
「俺は編集とかの部分は関係ないからいいですけど、リーダーが無理してて」
どうしても気になっちまうんだよなぁ。昨日も今日もオフだけど打ち合わせだし。昨日は俺とだから、まだいいかもしれねぇけど。あんまり体調に気を遣うようにも見えねぇし。自炊する分、俺よりマシなのかな。でも、鍛えたりもしてねぇしな。
「まだ若いから無理もきくんだろうけど、30越えてくると辛くなる時があるかも知れないね」
「来年30ですよ、リーダー」
「そうか。でも、メンバーチェンジした大事な時期だから、リーダーも頑張っちゃうんだろうねぇ」
しかも、これから海外を視野に入れつつ、きちんとしたアルバムを作る為に闘わなきゃならない。俺は宵闇の影の協力者だけど、実際に表で闘うのはあいつだ。
入れ知恵するだけじゃなくて、もっと何か助けてやれねぇかな。
そんなことをちょっと考えて、俺は黙り込む。
あいつがしんどい時にしんどい顔出来んのは俺の前だけだし、何かしてやれるのも俺だけだからさ。
「あー、そうです。リーダーに勝手に付けられたんですけどね」
バイオグラフィのページを見ながら、また写真と俺を見比べてる。我ながら、写真は随分と美人だなと思う。現実の俺は、足開いてどっかり座ってタバコふかしてビール呑んでるおっさんだけど。
その現実の俺を見ても幻滅しねぇ宵闇は強いな。
「リーダーって?」
「あ、こいつです」
俺のすぐ上にレイアウトされてる宵闇を指し示す。ほんと、顔がまったくわかんねぇ写真だ。
「なかなか面白いねぇ。ああ、ここからYouTubeに飛べるのか」
トップページに、過去のMVやライブ映像へのリンクが貼ってあるのを、雪村さんは見つけた。
「俺が入る前のだから、ドラム上手いですよ」
俺は笑いながらそう言う。雪村さんは首を傾げる。俺が他人のドラムを褒めることはめったにないからな。
「そんなに?」
「はい、打ち込みですから。絶対ミスしませんからね」
「何だ、そういうことか」
雪村さんも笑う。
「どうせなら、今日の21時に俺が入って最初の曲のMVがフルで公開になるんで、そっち聴いて下さい」
「そりゃちょうどいい。聴かせてもらうよ」
「撮影が先週だったんですけど、あ、この写真も」
「スケジュールが随分タイトなんだな」
「そうなんですよ。俺、こういう活動初めてなんでわかんないですけど、普通なんですかね? そっからぶっ続けでリハと編集で、リーダー寝てないんですよ」
昔と言えど、表舞台に立つアーティストとしての活動経験がある雪村さんなら、わかるかな。ジャンルとか事務所とかでその辺はかなり差がありそうだけど。
「どうなんだろうね。今は何でもデジタルだから、昔に比べて編集作業は早いし、写真もそうだろうな。でも、リハーサルだけは時代関係ないからね。なかなか大変だなぁ」
「俺は編集とかの部分は関係ないからいいですけど、リーダーが無理してて」
どうしても気になっちまうんだよなぁ。昨日も今日もオフだけど打ち合わせだし。昨日は俺とだから、まだいいかもしれねぇけど。あんまり体調に気を遣うようにも見えねぇし。自炊する分、俺よりマシなのかな。でも、鍛えたりもしてねぇしな。
「まだ若いから無理もきくんだろうけど、30越えてくると辛くなる時があるかも知れないね」
「来年30ですよ、リーダー」
「そうか。でも、メンバーチェンジした大事な時期だから、リーダーも頑張っちゃうんだろうねぇ」
しかも、これから海外を視野に入れつつ、きちんとしたアルバムを作る為に闘わなきゃならない。俺は宵闇の影の協力者だけど、実際に表で闘うのはあいつだ。
入れ知恵するだけじゃなくて、もっと何か助けてやれねぇかな。
そんなことをちょっと考えて、俺は黙り込む。
あいつがしんどい時にしんどい顔出来んのは俺の前だけだし、何かしてやれるのも俺だけだからさ。
0
あなたにおすすめの小説
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
恋人はメリーゴーランド少年だった~永遠の誓い編
夏目奈緖
BL
「恋人はメリーゴーランド少年だった」続編です。溺愛ドS社長×高校生。恋人同士になった二人の同棲物語。束縛と独占欲。。夏樹と黒崎は恋人同士。夏樹は友人からストーカー行為を受け、車へ押し込まれようとした際に怪我を負った。夏樹のことを守れずに悔やんだ黒崎は、二度と傷つけさせないと決心し、夏樹と同棲を始める。その結果、束縛と独占欲を向けるようになった。黒崎家という古い体質の家に生まれ、愛情を感じずに育った黒崎。結びつきの強い家庭環境で育った夏樹。お互いの価値観のすれ違いを経験し、お互いのトラウマを解消するストーリー。
薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される
あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた……
けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。
目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。
「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」
茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。
執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。
一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。
「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」
正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。
平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。
最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。
距離感ゼロ〜副社長と私の恋の攻防戦〜
葉月 まい
恋愛
「どうするつもりだ?」
そう言ってグッと肩を抱いてくる
「人肌が心地良くてよく眠れた」
いやいや、私は抱き枕ですか!?
近い、とにかく近いんですって!
グイグイ迫ってくる副社長と
仕事一筋の秘書の
恋の攻防戦、スタート!
✼••┈•• ♡ 登場人物 ♡••┈••✼
里見 芹奈(27歳) …神蔵不動産 社長秘書
神蔵 翔(32歳) …神蔵不動産 副社長
社長秘書の芹奈は、パーティーで社長をかばい
ドレスにワインをかけられる。
それに気づいた副社長の翔は
芹奈の肩を抱き寄せてホテルの部屋へ。
海外から帰国したばかりの翔は
何をするにもとにかく近い!
仕事一筋の芹奈は
そんな翔に戸惑うばかりで……
悪徳公主と冷徹皇帝陛下の後宮薬膳茶
菱沼あゆ
キャラ文芸
冷徹非道と噂の皇帝陛下のもとに、これまた悪しき評判しかない異国の王女、琳玲がやってきた。
琳玲は皇后の位は与えられたが、離宮に閉じ込められる。
それぞれの思惑がある離宮の女官や侍女たちは、怪しい薬草で皇帝陛下たちを翻弄する琳玲を観察――。
悪徳公主と冷徹皇帝陛下と女官たちの日々は今日も騒がしい。
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞であやかし賞を頂きました。皆様のおかげです、本当にありがとうございます!【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる