Hate or Fate?

たきかわ由里

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 メンバーはそれぞれ楽器を下ろし、俺は忘れずブーツに履き替え、前に並ぶ。
 すげぇじゃん。最初より声がずっと大きい。思い込みなんかじゃねぇ。明らかに違う。
 そりゃ、奇跡なんか起きねぇからさ、壁で腕組んでこっちを他人事みたいに眺めてる人もやっぱいる。100%は取り込めない。だから面白ぇんだよ。次はお前らも暴れさせてやる。
 フロントに並んで一度お辞儀をして、それぞれ手を振ったりピックを投げたりしながら上手の袖にはける。両手に持ってたスティックを投げ込むと、たくさんの手が伸びたのが見えた。嬉しいね。持って帰ってくれな。
 宵闇も軽く手を上げて、俺の前をすぅっと歩いて行く。
 にこにこしながら、手を振ったり、指差したりして袖に入ると、皆がハイタッチの構えで待ってた。ぱんぱん、と両掌を合わせて「おつかれ!」を交わす。宵闇も片手だけ出して応えてくれた。
 目を合わせて、にっと笑ってやると、微かに頷く。
 さあ、こうしてる間にもゲイズとの入れ替えが始まってる。俺らは空気を読んでさっさと楽屋に向かう。
「楽しかったー!」
 綺悧は両腕を上に伸ばしながら大きな声で言う。上機嫌だな。
「俺も俺も! すげーライブやってる! って感じした」
 朱雨も同感のようだ。今までだって、ライブやってねぇのは煌丞だけで、こいつらはちゃんとライブやってたんだけどな。その煌丞が俺に入れ替わるだけで、体感は全然変わるみたいだ。そうだろうな。何つっても、体に直接響く音が違うよ。
 それに、その頃とはこいつらの意識が完全に違うからな。何の土台もなく、注目集めて盛り上がりゃいい、ってとこから、土台にプレイがあってこそだってとこにしっかり目が向いて、そこに重きを置いてリハーサルをしてきたからこその充実感だ。
 礼華も嬉しそうに微笑んでる。
 この快感と充実感を味わったら、もうお前らも抜け出せないぜ。もっと上を目指したくなってるはずだよ。
「よーし、明日からのリハも頑張っちゃうかー!」
「おーう!」
 朱雨と綺悧が拳をかち合わせてる。すげぇ楽しそうじゃん。
「リハ頑張んのは当たりめぇだバーカ」
「へへっ」
 笑いながら言ってやると、綺悧が俺を振り返って舌を出す。
 楽屋に戻って、とっとと衣装を脱いでしっかりかいた汗を拭く。衣装は合皮だから、吸湿性も通気性もなくてクソ暑い。
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