Candy.

マルチーズしょちょう

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疑心暗鬼

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深い水の中。

陽の光も月明かりも届かない深い水の中。

光がない事で見えない漆黒の様な暗さではなく、言葉で表すならば心の闇の様な暗い深い水の中。

そんな所に漂っている様な気持ちにふと置かれる事がある。

どうやら自分は疑い深い性格の様で、この本田という男性が言っている事が本当かどうか。

もちろん、記憶が曖昧な状況で疑心暗鬼になるのも当然だと思うが、彼が言っている事や今に至るストーリーは辻褄(つじつま)が合っていると思うし。

そんな事を考えていると窓際にある携帯電話が鳴った。

呼び出し画面を見てみると[日賀 善斗]の文字が。日賀、家族?だろうか。

本田が携帯電話を手に取り
「日賀善斗はお前のお兄さんだよ、何回も着信あったみたいだけれど俺は連絡先知らないし、解錠は本人しか出来ないから。ほら!」

携帯電話を手に取り思い出した。
この携帯の解錠には本人の声紋、自分の声が必要で、確かに意識の無かった自分では電話に出る事も出来なかった訳だ。

「もしもし」

「、、、、、。」

「もしもし、聞こえてますか?」

「武志か?お前大丈夫か?」

大丈夫、、、かと言えば大丈夫ではないと思うけれど
今は電話の相手から情報が欲しいとふと思い、話を合わせてみる事にした。

「大丈夫だよ、少し記憶が混乱しているけれど体調は問題ない、と思う。」

「、、、そうか。知人からお前の事聞いてずっと連絡していたけれど、海外から
だと手に入る情報が少なくて。ともかく声が聞けて良かった。」

どうやら海外にいるらしい。

本田「少し電話代わってもらっていいか?」

俺は携帯電話を本田に手渡した。

電話口では本田の口上が始まった。
不謹慎だが、今の現状を説明するには何とも便利だと思ってしまった。
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