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7、俺のコト、好き?
正社員はどうですか?
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長谷川に呼ばれて事務所へ行くと、そこには課長と、あまり見かけない女性がいた。
歳の頃は三〇代後半。化粧っけがなく、長い髪を後ろで結いあげている。今すぐ作業着を着て作業場へ入れそうないでたちだ。
「角倉くん、今日呼んだのはね、君に新しい仕事を引き受けてもらえないかと思ってね」
机の上で手を組んで、課長が瞬を見上げて言った。
「『新しい仕事』……ですか?」
盛りつけと仕込みのほかに、バイトにやらせる仕事はあるか? 弁当の受注オペレータなら、自分にできる気はしないが。
「ウチの売上がリピーターのみなさまに支えられてるのは、ご存じの通りです。だから、週に何度もウチのお弁当を食べていただいても、飽きられないよう、常に新メニューを開発・投入していく必要があります」
女性の方が口を開いた。
瞬はその通りだと思った。
瞬がうなずくと、課長が慌てた様子で後を継いだ。
「常務のおっしゃる通りだよ。新メニューが大切なんだ。そして、メニュー開発は、誰にでもできる仕事じゃあない。おいしいだけじゃダメで、ウチの設備で作れなくちゃならんし、原価率を適正な範囲に収めなくちゃならん」
瞬は課長に目を移した。何が言いたい?
次に瞬は長谷川を見た。長谷川なら、ほのめかしじゃなく、ハッキリ内容を伝えてくれる。
盛りつけ班チーフの長谷川は、背筋を伸ばしてこう言った。
「瞬ちゃん、あんたに、『新メニュー』開発の仕事はどうかって。これは大事な業務だから……分かるだろ?」
全然分からない。
瞬がきょとんとしているので、常務と呼ばれた女性が説明した。
「角倉さん、あなたに、ウチの企画開発部のメンバーに加わっていただきたいの。もちろんメンバーは正社員待遇よ。『情報漏洩しません』って書類にサインしていただかなきゃいけないし」
そう言って常務はふっと笑った。ジョークだったようだ。
「和食の調理をずっとやってきた角倉さんなら、いろんな料理を知ってるだろうし、業務として作る感覚も、原価計算も分かってる」
あっけに取られてものも言えずにいる瞬に、常務は一歩近づいた。
「お願いします。我が社の本格的な一員になってくださいませんか」
よろしくお願いいたしますと、常務は瞬に頭を下げた。
歳の頃は三〇代後半。化粧っけがなく、長い髪を後ろで結いあげている。今すぐ作業着を着て作業場へ入れそうないでたちだ。
「角倉くん、今日呼んだのはね、君に新しい仕事を引き受けてもらえないかと思ってね」
机の上で手を組んで、課長が瞬を見上げて言った。
「『新しい仕事』……ですか?」
盛りつけと仕込みのほかに、バイトにやらせる仕事はあるか? 弁当の受注オペレータなら、自分にできる気はしないが。
「ウチの売上がリピーターのみなさまに支えられてるのは、ご存じの通りです。だから、週に何度もウチのお弁当を食べていただいても、飽きられないよう、常に新メニューを開発・投入していく必要があります」
女性の方が口を開いた。
瞬はその通りだと思った。
瞬がうなずくと、課長が慌てた様子で後を継いだ。
「常務のおっしゃる通りだよ。新メニューが大切なんだ。そして、メニュー開発は、誰にでもできる仕事じゃあない。おいしいだけじゃダメで、ウチの設備で作れなくちゃならんし、原価率を適正な範囲に収めなくちゃならん」
瞬は課長に目を移した。何が言いたい?
次に瞬は長谷川を見た。長谷川なら、ほのめかしじゃなく、ハッキリ内容を伝えてくれる。
盛りつけ班チーフの長谷川は、背筋を伸ばしてこう言った。
「瞬ちゃん、あんたに、『新メニュー』開発の仕事はどうかって。これは大事な業務だから……分かるだろ?」
全然分からない。
瞬がきょとんとしているので、常務と呼ばれた女性が説明した。
「角倉さん、あなたに、ウチの企画開発部のメンバーに加わっていただきたいの。もちろんメンバーは正社員待遇よ。『情報漏洩しません』って書類にサインしていただかなきゃいけないし」
そう言って常務はふっと笑った。ジョークだったようだ。
「和食の調理をずっとやってきた角倉さんなら、いろんな料理を知ってるだろうし、業務として作る感覚も、原価計算も分かってる」
あっけに取られてものも言えずにいる瞬に、常務は一歩近づいた。
「お願いします。我が社の本格的な一員になってくださいませんか」
よろしくお願いいたしますと、常務は瞬に頭を下げた。
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