15 / 36
第一章 魔術学校編
第15話 初めての授業
しおりを挟む
黒竜の騒動を終え、いきなり始まった先輩との対戦もお預けとなった。
無理もない。
学生達は怯え、自分の無力さを感じたばかりなのだ。
『我等はまだまだ弱い……研鑽して次こそは……!!』
そう語ったのは最初に話しかけてきたシルヴィ先輩だ。
彼女もまた、何も出来ずに伏しきっていた1人だ。
悔しいだろう。敵に対して何も出来なかった自分となにかすることの出来た後輩を目の前にしては。
そんこともありつつもその後の入学式自体はつつがなく終わることになった。
訓練場が使えなくなったので校庭にはなるが。
「さて、今日から授業だなぁ。楽しみだ」
レントはやっと学生らしくなってきたと、早朝に目が覚めてしまい今に至る。
入学式の後、自分のクラスの発表がありそこでクラスメイトと確認を行った。
クラスメイトにはアガーテ、ライゴウ、ケイスの見知った顔が見受けられ、孤立する心配は無さそうだ。
「今からワクワクするなぁ」
自分のクラスの扉の前にたどり着いたレントは扉を開け、元気よく挨拶をする。
「おはようご……ざいま……す?」
早すぎただろうか、とレントは時計を見ても始まるには丁度いい時間であることが確認できた。
「あら、もう来らしたのね」
そう言うのはアガーテだ。
というにも、アガーテしかいない。
「あれ?他の人は?」
「……まだですわ。なにをしているのかしら?」
レントは指定された自分の席につき、時間まで待つことにした。
──待つこと数分。
「待たせたな」
ライゴウである。
何も待っては無い。
「何も待ってはいませんわ。遅れないだけマシですわね」
口調がチクチクしている。
時間にルーズなのが気に入らない質なのだろう。
「いやはや、早朝の修行が思いのほか時間かかってな」
ライゴウはその腕を鈍らせないように毎朝訓練を行っている。
その事にはみんな分かっているので、アガーテもこれ以上言うことは無かった。
そんなこんなで時間が経つと、わらわらと人が増えてきた。
レントはケイスはまだかと辺りを見ていると、隣には既にケイスがいた。
「うお!?」
「…………?」
いきなり横に居ないで欲しい。
にしても、いつの間に来てたんだろう?
「……さっき」
「へ、へぇ。おはよう」
その返しかコクリと頷くと、教室の前にある黒板を凝視している。
続々と集まっている中、レントの隣にも人が座った。
「やぁ」
「……あぁ、うん」
いきなり知人に話しかけたかのように声をかけられたもので、少し吃ってしまった。
「……?元気ない?」
「いやいや、元気だよ。いや、流石に今で会ったばかりの人に友達かのように話しかけられてびっくりしたんだ」
「なんだぁ、そんなことか」
その人はホッとしていたようで、真面目に心配していたようだ。
「僕はレント、君は?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はミラレント・フォリア。ぜひミラと呼んでくれないか」
そう言ったミラは貴族のようで字名を持っていた。
アガーテといい貴族もそこそこいるようだ。
「あぁ、ミラね。わかった」
「うむ!」
どうやら満足したようで彼も黒板に目を移して担任を待った。
──待つこと10分。
時間になり、担任になる教師が入ってきた。
「さて、それでは始めよう」
そう言って教師は黒板に文字を書き始めた。
「私の名前はティルフィング、この前までこの星で星導者の補佐をしていた。あまり強力な魔法はあまり使えないが、それでもある程度のことは分かってるつもりだ。よろしく頼む」
(ティルフィング?)
レントはどこかで見覚えのある名前を耳にした。
(どこだったかな……)
レントがその事でいっぱいになり、それを思い出してる内にティルフィングの自己紹介が終わり生徒の自己紹介のなった。
(うーん、多分家にいる時……)
「私の名前はアガー……」
「あっ!?」
なんということか、アガーテの自己紹介中に立ち上がり叫んでしまった。
「レントくん?」
「あ……いえ、すみません」
「席に座ってください?」
レントは申し訳なさそうに椅子に座ると自己紹介の順番を待つことにした。
「全く……レントは……」
アガーテは自己紹介の途中に遮られてやれやれという顔をしていた。
(あちゃー、やってしまった。今は集中しよう)
各々自己紹介を進めていくと遂にレントの順番になった。
「僕はレント。影魔術が得意で使ってます。あと、後々バレるから言っときます」
レントは自らの『星痕』のことを伝えた。
「この『星痕』は皆の『星痕』とは訳が違うんだ。これ自体では何も出来ないんだ。だけど、人の力……他の人が宿す『星痕』の力を借りて使うことができるんだよ」
入学式のことを例にあげて、ほら、と示した。
「あの時僕は校長先生から力を借りてたんだ。だから黒竜とも戦えてたんだよ」
次第に興味が『星痕』の事へと移っていったようで、ケイスに関してはすごい熱い目でこちらを見ている。
「とまぁ、ある意味危険かもしれないけど仲良くしてくれたら嬉しいと思います」
それだけ言うと、レントは椅子に座り次を促した。
「君で最後ですよ、レントくん」
「あっ……」
そう、レントの席は1番後ろなのだ。
次なんてあるはずもない。
「先生のことやクラスメイトの事で質問はあると思いますが、今ここではしないので気になる事があればあとから本人に聞いてください」
はーい。とクラスメイトが答えていたが、ケイスだけがひたすらにレントを見つめ続けていた。
「さて、それでは早速授業に……とは流石に早すぎるでしょう。次の時間まで自由時間にします。そうですね、1時間程ありますので質問等はここでしておいて下さい」
「うおおおおおお!」
クラスメイトが大声で叫んでいて興奮していた。
「では、どうぞ」
どうぞ、と言われても……とレントが思っていると、
「……レント」
ケイスが声をかけてきた。
やはりというかなんというか、ここまで分かりやすいのもないだろう。
「僕の魔術使える?」
「あぁ、いや、魔術はダメなんだ」
「そう……」
それを聞いたケイスは悲しそうな雰囲気を出しつつ、その目を光らせた。
「この『星痕』……だけ?」
「う、うん。僕が借りれるのは『星痕』の力だけだよ。しかも、僕がそれを使ってるのを見ないとダメなんだ」
「そう……」
そう言って目を光らせるのを辞めると、気になっていたことが終わったようでそこからは無言で座り続けた。
「へぇ、その目にねぇ」
ミラが覗きこんでくる。
いくら男性とはいえ、それすら関係なく魅了できそうな美貌に少しドキッとくる。
「ねぇ、その力見せてみてよ」
「流石にこの場じゃ危ないんじゃ?」
「それなら……」
そう言いながらミラは『星痕』の力を使った。
『星痕解放・星月界』
いきなりの事でクラス中が驚き、ティルフィング先生──ティル先生は何が起きたと警戒をした。
「あぁ、ごめんごめん。ちょっとレントの力を見たくてね」
「先に言っておいてください。あなたのその力なら危害が及ぶこともないのでいいんですけど……」
「ごめんね!」
相手は先生だぞ……。とレントは思いつつもその力を眺める。
そして、それによって生まれたドーム状の光の壁まで歩いていきコンコンと小突いた。
「へぇ、結構硬そうだね」
「そりゃあそうさ! 僕の結界は父上の足元くらいの硬さはあるからね!」
足元には及んでるんだね。
その言葉を飲み込みつつ、人を守る手段の少ないレントは興味を持った。
「これは役立ちそうだ。ちょっと手を貸して」
「ん? いいけど、何するんだい?」
「いいからいいから」
そしてミラが手を伸ばすと、その手をレントは握ってすぐ話した。
「これでいいかな」
「……ん? なにかしたのかい?」
「うん。もう解除していいよ、というか試したいから消して欲しいんだけど」
ミラは分かったとその結界を解除した。
それから、レントは『星痕』の力を解放させた。
間違っても校長先生のものにならないように集中して選ぶ。
『星痕解放・天宙決界』
ミラの使ったものとは似て非なるもの。
彼の使った結界はただの壁のようなものだった。
ならレントがこれを借りて使った場合はどうなるのか、レント自身もこれには興味があった。
──コンコンッ
ティル先生が結界を内側から小突くと、先程のようにいい音が響いた。
それに続くようにミラも小突き、感心したようにフンフンと息を荒らげていた。
「僕と変わらないレベルの結界だよ! これは!」
「はい、内側から見ただけでは分からないですが強度は近いと思いますよ」
ミラとティル先生が2人して言って、クラスメイト皆がその結界を叩いたり殴ったりしていた。
(大丈夫かな、割れないかな)
そんな事もあってかみんな遠慮なく色んな人に聞いて聞かれて回っていた。
────1時間後
「さて、それではこれから授業に入りますよ」
皆が席に座り時間が経つと、いよいよ授業の時間だ。
レントが待ちに待っていたものである。
今までものを知ることは本が大半であった故に、人に教わることに目新しさを感じていた。
「とは言っても、あなた達はまだまだ入学したばかりの身。そんなに難しいことはしません」
そう言いながら黒板に今日の題目を書いていく。
《属性魔術について》
「いいですか、我々は『星痕』の他にそれに対応した属性魔術というものが使えることは知ってると思います。私で言うとこれですね」
そう言うと手のひらに光の球を作った。
「これは光球というもので、天魔術の使い手なら初歩中の初歩の魔術ですね」
その魔術を消して次へと進む。
「中にはアガーテさんのように属性魔術の代わりに継承魔術が使える者もいますが、ほとんどの人は次の6つに分類されます」
そう言って黒板にどんどん書き記していく。
火魔術
火と爆発を起こす魔術。火力はトップクラス。
水魔術
水を発生させたり操作したりする魔術。コントロール力に秀でている。
風魔術
風を操り空間を把握したりできる魔術。手数が多いのが特徴。
雷魔術
電撃を発生させることのできる魔術。範囲に優れている。
「基本はこの4属性となります。属性魔術の使える人のほとんどがこれらになり、それ以外の人が次の二つになります」
天魔術
光を扱い範囲や速度に特化した反面、火力に難あり。
その最高速度は音速すら凌駕する。
影魔術
闇を操り範囲と搦手に特化した魔術。速度に難があり、あらゆる魔術に速度で勝てない。
発動速度や展開速度はかなり遅いが効果自体は超強力。
「私やレントさんの扱うのがこれにあたります。希少性は高いですが、力も強く使う人はそれなりにいるので注意しましょう」
レントは本当に思う。
速度があまりにも遅くてあらゆる面で後手をとってしまうことを。
どんなに頑張ってもそこだけは勝てないのだ。
「そして、これは我々人族の魔術です。しかし、敵対している魔物独自の魔術も存在します」
それに続いて板書していく。
地魔術
地面や星に干渉する魔術。地に足をつけている人族にとっては天敵となる魔術。
その地を割り震わせたり、重力を操ることに長けている魔術。
毒魔術
搦手を得意とし、その力は影魔術を凌駕する。
範囲、強さはかなり強力な反面、耐性があると何も出来ない。
「これらが主に魔物が使う魔術ですね。これから魔物と戦う場面とあるでしょう。いや、あなた達は黒竜を見たんでしたね」
あの竜は地魔術を行使していた。
これからあの力と戦っていくことになると、生徒皆が固唾を飲み込んだ。
──キーンコーンカーンコーン
「おや、昼のチャイムがなりましたね。それでは続きは明日となります。今日は昼までですが、明日からは夕方まであるので気を引き締めましょう」
その声を最後に、クラスは1度解散した。
無理もない。
学生達は怯え、自分の無力さを感じたばかりなのだ。
『我等はまだまだ弱い……研鑽して次こそは……!!』
そう語ったのは最初に話しかけてきたシルヴィ先輩だ。
彼女もまた、何も出来ずに伏しきっていた1人だ。
悔しいだろう。敵に対して何も出来なかった自分となにかすることの出来た後輩を目の前にしては。
そんこともありつつもその後の入学式自体はつつがなく終わることになった。
訓練場が使えなくなったので校庭にはなるが。
「さて、今日から授業だなぁ。楽しみだ」
レントはやっと学生らしくなってきたと、早朝に目が覚めてしまい今に至る。
入学式の後、自分のクラスの発表がありそこでクラスメイトと確認を行った。
クラスメイトにはアガーテ、ライゴウ、ケイスの見知った顔が見受けられ、孤立する心配は無さそうだ。
「今からワクワクするなぁ」
自分のクラスの扉の前にたどり着いたレントは扉を開け、元気よく挨拶をする。
「おはようご……ざいま……す?」
早すぎただろうか、とレントは時計を見ても始まるには丁度いい時間であることが確認できた。
「あら、もう来らしたのね」
そう言うのはアガーテだ。
というにも、アガーテしかいない。
「あれ?他の人は?」
「……まだですわ。なにをしているのかしら?」
レントは指定された自分の席につき、時間まで待つことにした。
──待つこと数分。
「待たせたな」
ライゴウである。
何も待っては無い。
「何も待ってはいませんわ。遅れないだけマシですわね」
口調がチクチクしている。
時間にルーズなのが気に入らない質なのだろう。
「いやはや、早朝の修行が思いのほか時間かかってな」
ライゴウはその腕を鈍らせないように毎朝訓練を行っている。
その事にはみんな分かっているので、アガーテもこれ以上言うことは無かった。
そんなこんなで時間が経つと、わらわらと人が増えてきた。
レントはケイスはまだかと辺りを見ていると、隣には既にケイスがいた。
「うお!?」
「…………?」
いきなり横に居ないで欲しい。
にしても、いつの間に来てたんだろう?
「……さっき」
「へ、へぇ。おはよう」
その返しかコクリと頷くと、教室の前にある黒板を凝視している。
続々と集まっている中、レントの隣にも人が座った。
「やぁ」
「……あぁ、うん」
いきなり知人に話しかけたかのように声をかけられたもので、少し吃ってしまった。
「……?元気ない?」
「いやいや、元気だよ。いや、流石に今で会ったばかりの人に友達かのように話しかけられてびっくりしたんだ」
「なんだぁ、そんなことか」
その人はホッとしていたようで、真面目に心配していたようだ。
「僕はレント、君は?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はミラレント・フォリア。ぜひミラと呼んでくれないか」
そう言ったミラは貴族のようで字名を持っていた。
アガーテといい貴族もそこそこいるようだ。
「あぁ、ミラね。わかった」
「うむ!」
どうやら満足したようで彼も黒板に目を移して担任を待った。
──待つこと10分。
時間になり、担任になる教師が入ってきた。
「さて、それでは始めよう」
そう言って教師は黒板に文字を書き始めた。
「私の名前はティルフィング、この前までこの星で星導者の補佐をしていた。あまり強力な魔法はあまり使えないが、それでもある程度のことは分かってるつもりだ。よろしく頼む」
(ティルフィング?)
レントはどこかで見覚えのある名前を耳にした。
(どこだったかな……)
レントがその事でいっぱいになり、それを思い出してる内にティルフィングの自己紹介が終わり生徒の自己紹介のなった。
(うーん、多分家にいる時……)
「私の名前はアガー……」
「あっ!?」
なんということか、アガーテの自己紹介中に立ち上がり叫んでしまった。
「レントくん?」
「あ……いえ、すみません」
「席に座ってください?」
レントは申し訳なさそうに椅子に座ると自己紹介の順番を待つことにした。
「全く……レントは……」
アガーテは自己紹介の途中に遮られてやれやれという顔をしていた。
(あちゃー、やってしまった。今は集中しよう)
各々自己紹介を進めていくと遂にレントの順番になった。
「僕はレント。影魔術が得意で使ってます。あと、後々バレるから言っときます」
レントは自らの『星痕』のことを伝えた。
「この『星痕』は皆の『星痕』とは訳が違うんだ。これ自体では何も出来ないんだ。だけど、人の力……他の人が宿す『星痕』の力を借りて使うことができるんだよ」
入学式のことを例にあげて、ほら、と示した。
「あの時僕は校長先生から力を借りてたんだ。だから黒竜とも戦えてたんだよ」
次第に興味が『星痕』の事へと移っていったようで、ケイスに関してはすごい熱い目でこちらを見ている。
「とまぁ、ある意味危険かもしれないけど仲良くしてくれたら嬉しいと思います」
それだけ言うと、レントは椅子に座り次を促した。
「君で最後ですよ、レントくん」
「あっ……」
そう、レントの席は1番後ろなのだ。
次なんてあるはずもない。
「先生のことやクラスメイトの事で質問はあると思いますが、今ここではしないので気になる事があればあとから本人に聞いてください」
はーい。とクラスメイトが答えていたが、ケイスだけがひたすらにレントを見つめ続けていた。
「さて、それでは早速授業に……とは流石に早すぎるでしょう。次の時間まで自由時間にします。そうですね、1時間程ありますので質問等はここでしておいて下さい」
「うおおおおおお!」
クラスメイトが大声で叫んでいて興奮していた。
「では、どうぞ」
どうぞ、と言われても……とレントが思っていると、
「……レント」
ケイスが声をかけてきた。
やはりというかなんというか、ここまで分かりやすいのもないだろう。
「僕の魔術使える?」
「あぁ、いや、魔術はダメなんだ」
「そう……」
それを聞いたケイスは悲しそうな雰囲気を出しつつ、その目を光らせた。
「この『星痕』……だけ?」
「う、うん。僕が借りれるのは『星痕』の力だけだよ。しかも、僕がそれを使ってるのを見ないとダメなんだ」
「そう……」
そう言って目を光らせるのを辞めると、気になっていたことが終わったようでそこからは無言で座り続けた。
「へぇ、その目にねぇ」
ミラが覗きこんでくる。
いくら男性とはいえ、それすら関係なく魅了できそうな美貌に少しドキッとくる。
「ねぇ、その力見せてみてよ」
「流石にこの場じゃ危ないんじゃ?」
「それなら……」
そう言いながらミラは『星痕』の力を使った。
『星痕解放・星月界』
いきなりの事でクラス中が驚き、ティルフィング先生──ティル先生は何が起きたと警戒をした。
「あぁ、ごめんごめん。ちょっとレントの力を見たくてね」
「先に言っておいてください。あなたのその力なら危害が及ぶこともないのでいいんですけど……」
「ごめんね!」
相手は先生だぞ……。とレントは思いつつもその力を眺める。
そして、それによって生まれたドーム状の光の壁まで歩いていきコンコンと小突いた。
「へぇ、結構硬そうだね」
「そりゃあそうさ! 僕の結界は父上の足元くらいの硬さはあるからね!」
足元には及んでるんだね。
その言葉を飲み込みつつ、人を守る手段の少ないレントは興味を持った。
「これは役立ちそうだ。ちょっと手を貸して」
「ん? いいけど、何するんだい?」
「いいからいいから」
そしてミラが手を伸ばすと、その手をレントは握ってすぐ話した。
「これでいいかな」
「……ん? なにかしたのかい?」
「うん。もう解除していいよ、というか試したいから消して欲しいんだけど」
ミラは分かったとその結界を解除した。
それから、レントは『星痕』の力を解放させた。
間違っても校長先生のものにならないように集中して選ぶ。
『星痕解放・天宙決界』
ミラの使ったものとは似て非なるもの。
彼の使った結界はただの壁のようなものだった。
ならレントがこれを借りて使った場合はどうなるのか、レント自身もこれには興味があった。
──コンコンッ
ティル先生が結界を内側から小突くと、先程のようにいい音が響いた。
それに続くようにミラも小突き、感心したようにフンフンと息を荒らげていた。
「僕と変わらないレベルの結界だよ! これは!」
「はい、内側から見ただけでは分からないですが強度は近いと思いますよ」
ミラとティル先生が2人して言って、クラスメイト皆がその結界を叩いたり殴ったりしていた。
(大丈夫かな、割れないかな)
そんな事もあってかみんな遠慮なく色んな人に聞いて聞かれて回っていた。
────1時間後
「さて、それではこれから授業に入りますよ」
皆が席に座り時間が経つと、いよいよ授業の時間だ。
レントが待ちに待っていたものである。
今までものを知ることは本が大半であった故に、人に教わることに目新しさを感じていた。
「とは言っても、あなた達はまだまだ入学したばかりの身。そんなに難しいことはしません」
そう言いながら黒板に今日の題目を書いていく。
《属性魔術について》
「いいですか、我々は『星痕』の他にそれに対応した属性魔術というものが使えることは知ってると思います。私で言うとこれですね」
そう言うと手のひらに光の球を作った。
「これは光球というもので、天魔術の使い手なら初歩中の初歩の魔術ですね」
その魔術を消して次へと進む。
「中にはアガーテさんのように属性魔術の代わりに継承魔術が使える者もいますが、ほとんどの人は次の6つに分類されます」
そう言って黒板にどんどん書き記していく。
火魔術
火と爆発を起こす魔術。火力はトップクラス。
水魔術
水を発生させたり操作したりする魔術。コントロール力に秀でている。
風魔術
風を操り空間を把握したりできる魔術。手数が多いのが特徴。
雷魔術
電撃を発生させることのできる魔術。範囲に優れている。
「基本はこの4属性となります。属性魔術の使える人のほとんどがこれらになり、それ以外の人が次の二つになります」
天魔術
光を扱い範囲や速度に特化した反面、火力に難あり。
その最高速度は音速すら凌駕する。
影魔術
闇を操り範囲と搦手に特化した魔術。速度に難があり、あらゆる魔術に速度で勝てない。
発動速度や展開速度はかなり遅いが効果自体は超強力。
「私やレントさんの扱うのがこれにあたります。希少性は高いですが、力も強く使う人はそれなりにいるので注意しましょう」
レントは本当に思う。
速度があまりにも遅くてあらゆる面で後手をとってしまうことを。
どんなに頑張ってもそこだけは勝てないのだ。
「そして、これは我々人族の魔術です。しかし、敵対している魔物独自の魔術も存在します」
それに続いて板書していく。
地魔術
地面や星に干渉する魔術。地に足をつけている人族にとっては天敵となる魔術。
その地を割り震わせたり、重力を操ることに長けている魔術。
毒魔術
搦手を得意とし、その力は影魔術を凌駕する。
範囲、強さはかなり強力な反面、耐性があると何も出来ない。
「これらが主に魔物が使う魔術ですね。これから魔物と戦う場面とあるでしょう。いや、あなた達は黒竜を見たんでしたね」
あの竜は地魔術を行使していた。
これからあの力と戦っていくことになると、生徒皆が固唾を飲み込んだ。
──キーンコーンカーンコーン
「おや、昼のチャイムがなりましたね。それでは続きは明日となります。今日は昼までですが、明日からは夕方まであるので気を引き締めましょう」
その声を最後に、クラスは1度解散した。
0
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる