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第二話 着火マンは迷宮都市に着く
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草原の向こうに迷宮都市が見えて来た。
おお、でっかいなあ。
ちょっとこんもりとした丘にびっしりと建物が折り重なるように建っていた。
大陸のちょうど真ん中、大草原のど真ん中に迷宮都市ゼラビスはある。
「へへ、兄ちゃん、あんたも迷宮都市に一旗あげに来た口かい?」
「そうだよ、迷宮都市でお金を稼いで研究費にするんだ」
「研究? 学者さんかえ、そりゃ偉いことだ」
ムキムキの戦士らしい男がそう言った。
この人も迷宮都市に流れて行く口らしい。
街道の脇の草原では子供達が居て何かを採っていた。
一丁前に短剣を吊っているから冒険者なのかな。
「何を採っているのだろう」
「ああ、あれは薬草摘みだ、ガキどもの良い小遣い稼ぎなんだ、俺も良くやった」
「へえ、あんたはゼラビス出身なんだ」
「ああ、儲け話を探して、あちこちの迷宮にいっちゃあ、戻ってくるな。やっぱ、ゼラビス大迷宮は良いんだよ」
「大きいものな」
「そうそう」
ゼラビス大迷宮は大陸一のダンジョンだ。
都市ができるほどの冒険者が集まり、それをサポートする人手が倍ほどもあつまり、街を動かし、生きて死んでいく。
迷宮から出る魔石資源、魔物由来の素材、宝箱に入っているアイテムなどが日夜売買されて大陸各地に輸出されていく。
ゼラビスが飲み込むのは食糧と人間たちだ。
後ろ暗い奴らや、訳ありの逃亡者、故郷に錦を飾りたい田舎者、そして私のような研究者、雑多な奴らがあの街の中でうごめいている。
馬車は迷宮都市の入り口広場に着いた。
デズモンド領から一週間、結構掛かったな。
馬車を乗り継ぎ乗り継ぎですっかりお尻が痛くなってしまった。
「そいじゃまたな、兄ちゃん」
「またお会いしましょう」
馬車で一緒だったムキムキ戦士さんと手を振って別れる。
私は税関事務所で入関審査だ。
「はい、身分証明書を拝見、おっと貴族さんですかい」
「いいや勘当されてね、ただの平民だよ」
私は大学職員の身分証明書を出した。
職員はぺたりとスタンプを裏面に押した。
「そりゃあお気の毒ですな、通行料は五百ロクスになります」
私は五百ロクス銀貨をトレイに乗せた。
「では、どうぞ、あなたに迷宮の財宝が訪れますように」
「ありがとう」
迷宮都市らしい歓迎のセリフを貰い私は都市に足を踏み出した。
うぉんとした雑踏の音に圧倒されてしまう。
街の中は人人人。
白い人、黒い人、獣人の子、トカゲ族の子。
魔族もいるし、ドワーフ、エルフ、ハーフリング、大陸中の雑多な民族が集まって無秩序に歩き回っていた。
すごいなあ、都会だなあ。
さて、早速冒険者ギルドに行って登録をしよう。
それで私も冒険者の仲間入りだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「マレンツさん、あなたの冒険者登録申請は却下されました」
「はあ? なんでですか?」
なんだか美人だが目が三白眼で圧の強い受付嬢に私の登録申し込みが却下されてしまった。
「もうしわけありません、魔法大学の元職員という事で身元の問題は無いのですが、攻撃魔法を一つも使えない方を冒険者にはできません」
「【着火】が使えますよ」
「【着火】は攻撃魔法ではありませんので。どうして初歩攻撃魔法であるファイヤーボールも使えないのでしょう?」
「面倒臭いのでアセット魔法を覚えたく無いんですよ」
「そんな方は依頼の最中で死んでしまいますので、申し訳ありませんがご登録はお受けできかねます」
そうか、困ったなあ。
「おい兄ちゃん、早くどけよ、こちとら待ってるんだぜ」
妙に甲高い声が聞こえて振り返ると、十歳ぐらいの子供たちのパーティが私の後ろにいた。
「こんな子供も冒険者登録できるのに?」
「子供だからってなめんなよっ! 俺たちは地元の冒険者パーティ銀のグリフォン団だっ」
「彼らはF級(仮)です」
「仮免許なのか」
「早くどけよう、薬草を売って、また採りに行くんだからっ」
「ああ、ごめんごめん」
私はカウンターから体をずらした。
子供達は伸び上がってカウンターに薬草をどさどさと置いた。
目付きの悪い受付嬢は薬草を確認して、銀貨を渡した。
「ありがとうっ、また行ってくんな」
「気を付けていってらっしゃい。あ、エリシアちゃん」
受付嬢は三角帽子の魔法使いっぽい子を呼んだ。
「なーに、レイナおねえちゃん」
この凄みのある受付嬢さんはレイナさんというのか。
「ファイヤーボールは撃てるようになったの?」
「まだー、たまに出るぐらいー」
「そう、ちょっとまってね」
そういうとレイナさんは、こちらを向いた。
「マレンツさんは魔法の博士号もってますよね、ファイヤーボールの発動のコーチとかはできませんか」
「ハカセ~、すごーいっ」
「出来なくは、無いかな」
「なんで自分は撃てないのにコーチができんだよっ」
リーダーっぽい男子のちびっ子が私の足をゲシゲシと蹴ってきた。
「撃てないけど、発動の仕組みとかは研究して詳しいからね」
「ハカセ~~、お願いしたいな~」
「やめとけってエリシア、こいつはうさんくさいぞ、詐欺師の匂いがプンプンするっ」
「ひどいなあ、君の名は」
「俺の名はフロル! 将来の大剣士にして銀のグリフォン団のリーダーだ!」
「そうか、よろしくねフロル。私はマレンツ、魔法研究者だよ」
「名前もハカセぽ~い、マレンツハカセ~」
銀のグリフォン団は、戦士のフロル、魔法使いのエリシア、僧侶のラトカ、盗賊のチョリソの四人組のようだ。
「エリシアさんの魔法のコーチをしてくれるならば、特例としてF級(仮)のカードをお出ししますよ」
「ちびっ子と一緒ですか」
「研究職の方の実力なんかそんな物ですよ」
「わかりました、それでお願いします。ちなみに迷宮はF級から入れますか?」
「入れません、D級からです」
なんだよ、結局駄目じゃないか。
まあでも、実際にアセット魔法を使っている現場が見れるのは解析の参考になるかもしれないな。
「なんだよ、エリシアに魔法を教えてくれんのか、じゃあ特別にハカセも銀のグリフォン団に仮入団させてやるよっ」
「ありがとう、嬉しいよフロル」
「わーい、ハカセが入団だ~」
「ハカセ!」
「ハカセ!」
こうして私は初めて冒険者となり、初パーティを組むことになった。
そして最初の冒険は草原での薬草取りのようだ。
おお、でっかいなあ。
ちょっとこんもりとした丘にびっしりと建物が折り重なるように建っていた。
大陸のちょうど真ん中、大草原のど真ん中に迷宮都市ゼラビスはある。
「へへ、兄ちゃん、あんたも迷宮都市に一旗あげに来た口かい?」
「そうだよ、迷宮都市でお金を稼いで研究費にするんだ」
「研究? 学者さんかえ、そりゃ偉いことだ」
ムキムキの戦士らしい男がそう言った。
この人も迷宮都市に流れて行く口らしい。
街道の脇の草原では子供達が居て何かを採っていた。
一丁前に短剣を吊っているから冒険者なのかな。
「何を採っているのだろう」
「ああ、あれは薬草摘みだ、ガキどもの良い小遣い稼ぎなんだ、俺も良くやった」
「へえ、あんたはゼラビス出身なんだ」
「ああ、儲け話を探して、あちこちの迷宮にいっちゃあ、戻ってくるな。やっぱ、ゼラビス大迷宮は良いんだよ」
「大きいものな」
「そうそう」
ゼラビス大迷宮は大陸一のダンジョンだ。
都市ができるほどの冒険者が集まり、それをサポートする人手が倍ほどもあつまり、街を動かし、生きて死んでいく。
迷宮から出る魔石資源、魔物由来の素材、宝箱に入っているアイテムなどが日夜売買されて大陸各地に輸出されていく。
ゼラビスが飲み込むのは食糧と人間たちだ。
後ろ暗い奴らや、訳ありの逃亡者、故郷に錦を飾りたい田舎者、そして私のような研究者、雑多な奴らがあの街の中でうごめいている。
馬車は迷宮都市の入り口広場に着いた。
デズモンド領から一週間、結構掛かったな。
馬車を乗り継ぎ乗り継ぎですっかりお尻が痛くなってしまった。
「そいじゃまたな、兄ちゃん」
「またお会いしましょう」
馬車で一緒だったムキムキ戦士さんと手を振って別れる。
私は税関事務所で入関審査だ。
「はい、身分証明書を拝見、おっと貴族さんですかい」
「いいや勘当されてね、ただの平民だよ」
私は大学職員の身分証明書を出した。
職員はぺたりとスタンプを裏面に押した。
「そりゃあお気の毒ですな、通行料は五百ロクスになります」
私は五百ロクス銀貨をトレイに乗せた。
「では、どうぞ、あなたに迷宮の財宝が訪れますように」
「ありがとう」
迷宮都市らしい歓迎のセリフを貰い私は都市に足を踏み出した。
うぉんとした雑踏の音に圧倒されてしまう。
街の中は人人人。
白い人、黒い人、獣人の子、トカゲ族の子。
魔族もいるし、ドワーフ、エルフ、ハーフリング、大陸中の雑多な民族が集まって無秩序に歩き回っていた。
すごいなあ、都会だなあ。
さて、早速冒険者ギルドに行って登録をしよう。
それで私も冒険者の仲間入りだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「マレンツさん、あなたの冒険者登録申請は却下されました」
「はあ? なんでですか?」
なんだか美人だが目が三白眼で圧の強い受付嬢に私の登録申し込みが却下されてしまった。
「もうしわけありません、魔法大学の元職員という事で身元の問題は無いのですが、攻撃魔法を一つも使えない方を冒険者にはできません」
「【着火】が使えますよ」
「【着火】は攻撃魔法ではありませんので。どうして初歩攻撃魔法であるファイヤーボールも使えないのでしょう?」
「面倒臭いのでアセット魔法を覚えたく無いんですよ」
「そんな方は依頼の最中で死んでしまいますので、申し訳ありませんがご登録はお受けできかねます」
そうか、困ったなあ。
「おい兄ちゃん、早くどけよ、こちとら待ってるんだぜ」
妙に甲高い声が聞こえて振り返ると、十歳ぐらいの子供たちのパーティが私の後ろにいた。
「こんな子供も冒険者登録できるのに?」
「子供だからってなめんなよっ! 俺たちは地元の冒険者パーティ銀のグリフォン団だっ」
「彼らはF級(仮)です」
「仮免許なのか」
「早くどけよう、薬草を売って、また採りに行くんだからっ」
「ああ、ごめんごめん」
私はカウンターから体をずらした。
子供達は伸び上がってカウンターに薬草をどさどさと置いた。
目付きの悪い受付嬢は薬草を確認して、銀貨を渡した。
「ありがとうっ、また行ってくんな」
「気を付けていってらっしゃい。あ、エリシアちゃん」
受付嬢は三角帽子の魔法使いっぽい子を呼んだ。
「なーに、レイナおねえちゃん」
この凄みのある受付嬢さんはレイナさんというのか。
「ファイヤーボールは撃てるようになったの?」
「まだー、たまに出るぐらいー」
「そう、ちょっとまってね」
そういうとレイナさんは、こちらを向いた。
「マレンツさんは魔法の博士号もってますよね、ファイヤーボールの発動のコーチとかはできませんか」
「ハカセ~、すごーいっ」
「出来なくは、無いかな」
「なんで自分は撃てないのにコーチができんだよっ」
リーダーっぽい男子のちびっ子が私の足をゲシゲシと蹴ってきた。
「撃てないけど、発動の仕組みとかは研究して詳しいからね」
「ハカセ~~、お願いしたいな~」
「やめとけってエリシア、こいつはうさんくさいぞ、詐欺師の匂いがプンプンするっ」
「ひどいなあ、君の名は」
「俺の名はフロル! 将来の大剣士にして銀のグリフォン団のリーダーだ!」
「そうか、よろしくねフロル。私はマレンツ、魔法研究者だよ」
「名前もハカセぽ~い、マレンツハカセ~」
銀のグリフォン団は、戦士のフロル、魔法使いのエリシア、僧侶のラトカ、盗賊のチョリソの四人組のようだ。
「エリシアさんの魔法のコーチをしてくれるならば、特例としてF級(仮)のカードをお出ししますよ」
「ちびっ子と一緒ですか」
「研究職の方の実力なんかそんな物ですよ」
「わかりました、それでお願いします。ちなみに迷宮はF級から入れますか?」
「入れません、D級からです」
なんだよ、結局駄目じゃないか。
まあでも、実際にアセット魔法を使っている現場が見れるのは解析の参考になるかもしれないな。
「なんだよ、エリシアに魔法を教えてくれんのか、じゃあ特別にハカセも銀のグリフォン団に仮入団させてやるよっ」
「ありがとう、嬉しいよフロル」
「わーい、ハカセが入団だ~」
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