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第9話 【着火】マンは女騎士にさらわれる
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街道から離れて薬草採取を始めた。
こっちの方はあまり薬草が生えてないなあ。
森の近くまで動いていくと、だんだんと薬草が増える。
魔力が地表を動くラインが在るのか、地質の関係なのだろうか。
後ろを見ると、侯爵軍が止まって番兵と話し合っているな。
おっと、レイラさんが街門からやってきた。
迷宮都市で一番偉いのはギルドマスターのレイラさんなのか?
王領なのだから代官が派遣されているはずなのだが。
ガサガサと音がして、森の方から五騎の騎士が現れた。
なんだろう、アルモンド侯爵の手下か?
「ペネロペさま、こちらの杣道は外れですな」
「都市の裏に回る道は本当にあるのか?」
都市の周りの森を偵察に来たのか。
おっと、赤毛の女騎士と目があった。
「ああ、お前、マレンツだな」
そう言って女騎士は獰猛な笑顔を見せて馬に拍車を入れた。
え、なんだ、なんだ?
あっけにとられていると、女騎士は駆け抜けざまに私をすくい上げて脇に抱えた。
「ハ、ハカセーっ!!」
女騎士は私を抱えたまま草原を疾走した。
「は、離してくれっ!」
「黙れ」
ドスの利いた声でそう言って、女騎士は軍馬を疾走させ、侯爵軍の前まで走り抜けた。
レイラさんと番兵さんが目を丸くしている。
「父上、マレンツを捕らえました」
「おお、良くやったペネロペ。マレンツよ喜べ、我が領はお前を家令として雇ってやろう、光栄に思え」
「い、いや、普通に嫌ですが」
私の答えを聞いて、アルモンド侯爵とペネロペは、わっはっはと笑った。
「マレンツよ、お前はデズモンド伯爵家を廃嫡された、つまりただの平民だ。平民が侯爵家の命令を断るだと、笑わせるではないか」
「いまだに魔導伯爵家の令息気分が抜けて無いようだな。お前に断る自由は無い」
「む、無体な」
銀のグリフォン団がカンカンに怒って走って追って来た。
「うちの団員に何してくれてんだよっ!!」
「貴様っ!! 侯爵閣下に何と言う無礼な、子供と言えど只ではおかんぞっ!」
「うるせえっ!! 俺は迷宮都市の市民で、侯爵領の領民じゃねえっ!! 俺の仲間を帰せっ!!」
兵士の一人が剣を抜いた。
「やめなさい、迷宮都市の市民に手を出したら只では置きませんよ」
「坊主ども気持ちは解るがギルドマスターの邪魔だ、こっちにこい」
「おっちゃん、だけどようっ!!」
「ハカセがさらわれた~~」
「侯爵家は泥棒だ~~」
「ひどいわひどいわ、神様がお許しにならないわ~~」
なんだか酷い事になったな。
私は依然として女騎士の脇に抱えられたままで動けない。
【着火】を掛けても良いのだが、一発で人死にが出るので踏ん切りが付かない。
魔法を人に向けて撃った事も無いしなあ。
「このマレンツは娘の戦利品だ、我が家の要求とは別だ。こいつはありがたく頂いていく。農地改革や鍛冶の改革に役に立つであろう」
「マレンツ博士には冒険者カードを発行しています、侯爵閣下といえど強要はできません」
「ははは、レイラよ、貴族というのは武力だ、軍事力でごり押せれば王家も文句は言わせぬ。それが我が王国の鉄の法律だ」
レイラさんは侯爵を睨みつけた。
王国はいつから食うか食われるかの無法地帯になったのだろうね。
さて、女騎士の侯爵令嬢にぬいぐるみのように抱えられている訳にはいかない。
抜け出さなくてはっ。
うぞうぞ暴れるのだが、ペネロペの腕でがっちり固められて動けない。
なんという腕力なのか。
「聞けば、この草原で子供が熊の魔物に襲われたそうでは無いか、だから親切にも我が侯爵領から迷宮都市に軍を駐留させてやろう、と言っているのだ。なぜ解らないのか」
「その見返りに、迷宮都市の利益を半分せしめようというのはあまりに無法です。それから、マレンツさんを返してください」
「嫌ならば、こちらにも考えがある、それで良いのだな。あとマレンツは返さぬ」
アルモンド侯爵は片手を上げる。
兵が盾を前にして、槍を構えた。
「離してくれ~」
「だめだ」
くそー、どうして私がさらわれた、お姫様のようになっているのか。
【着火】で馬を焼いて脱出のチャンスを作るか。
しかし、馬が可哀想だしなあ。
【着火】の良くない所は馬鹿みたいな威力なので、牽制にはまったく使えない事だ。
かといって、小さい魔法では上手くいく手段が無いし、時間が掛かりすぎる。
アセット魔法の何かを覚えておくべきだったか。
バーンと街門が開いて中から真っ黒い何かが走り出して来た。
「マママ、マレンツ博士を返せ~~!!」
ウジェニーさんだった。
彼女は怒りの形相でこちらに走り寄ってくる。
いつものゆったりとした動きからは想像が付かないぐらいの速さだ。
その後ろから大剣を背負った偉丈夫が小走りでウジェニーさんを追ってくる。
「迷宮都市に喧嘩を売ろうって馬鹿はお前かーっ」
「何だと、侯爵閣下に何と言う口の利き方だっ、名を、名を名乗れっ!!」
偉丈夫は大剣を背中から抜いて、太い笑みを浮かべた。
惚れ惚れするような漢臭さだ。
「聞いて驚け、S級冒険者、ウゴリーノとは俺の事だっ!」
「げえっ、暴竜殺しのウゴリーノかあっ!!」
アルモンド侯爵が驚愕の声をあげ、ペネロペが胴震いを起こした。
「面白い、面白い、ウゴリーノか」
ペネロペは私を抱えたまま騎馬から飛び降り、そっと地面に下ろした。
「お前はここで待ってろ、私はウゴリーノを倒して領都にお前を連れて行く」
なんだ、この戦闘狂の侯爵令嬢は。
「侯爵家の鉄拳令嬢か、面白えっ!!」
「楽しもうぜえっ!! ウゴリーノ!!」
ペネロペは腰から長剣を抜き打ちでウゴリーノに斬りかかった。
どうしてこうなった。
こっちの方はあまり薬草が生えてないなあ。
森の近くまで動いていくと、だんだんと薬草が増える。
魔力が地表を動くラインが在るのか、地質の関係なのだろうか。
後ろを見ると、侯爵軍が止まって番兵と話し合っているな。
おっと、レイラさんが街門からやってきた。
迷宮都市で一番偉いのはギルドマスターのレイラさんなのか?
王領なのだから代官が派遣されているはずなのだが。
ガサガサと音がして、森の方から五騎の騎士が現れた。
なんだろう、アルモンド侯爵の手下か?
「ペネロペさま、こちらの杣道は外れですな」
「都市の裏に回る道は本当にあるのか?」
都市の周りの森を偵察に来たのか。
おっと、赤毛の女騎士と目があった。
「ああ、お前、マレンツだな」
そう言って女騎士は獰猛な笑顔を見せて馬に拍車を入れた。
え、なんだ、なんだ?
あっけにとられていると、女騎士は駆け抜けざまに私をすくい上げて脇に抱えた。
「ハ、ハカセーっ!!」
女騎士は私を抱えたまま草原を疾走した。
「は、離してくれっ!」
「黙れ」
ドスの利いた声でそう言って、女騎士は軍馬を疾走させ、侯爵軍の前まで走り抜けた。
レイラさんと番兵さんが目を丸くしている。
「父上、マレンツを捕らえました」
「おお、良くやったペネロペ。マレンツよ喜べ、我が領はお前を家令として雇ってやろう、光栄に思え」
「い、いや、普通に嫌ですが」
私の答えを聞いて、アルモンド侯爵とペネロペは、わっはっはと笑った。
「マレンツよ、お前はデズモンド伯爵家を廃嫡された、つまりただの平民だ。平民が侯爵家の命令を断るだと、笑わせるではないか」
「いまだに魔導伯爵家の令息気分が抜けて無いようだな。お前に断る自由は無い」
「む、無体な」
銀のグリフォン団がカンカンに怒って走って追って来た。
「うちの団員に何してくれてんだよっ!!」
「貴様っ!! 侯爵閣下に何と言う無礼な、子供と言えど只ではおかんぞっ!」
「うるせえっ!! 俺は迷宮都市の市民で、侯爵領の領民じゃねえっ!! 俺の仲間を帰せっ!!」
兵士の一人が剣を抜いた。
「やめなさい、迷宮都市の市民に手を出したら只では置きませんよ」
「坊主ども気持ちは解るがギルドマスターの邪魔だ、こっちにこい」
「おっちゃん、だけどようっ!!」
「ハカセがさらわれた~~」
「侯爵家は泥棒だ~~」
「ひどいわひどいわ、神様がお許しにならないわ~~」
なんだか酷い事になったな。
私は依然として女騎士の脇に抱えられたままで動けない。
【着火】を掛けても良いのだが、一発で人死にが出るので踏ん切りが付かない。
魔法を人に向けて撃った事も無いしなあ。
「このマレンツは娘の戦利品だ、我が家の要求とは別だ。こいつはありがたく頂いていく。農地改革や鍛冶の改革に役に立つであろう」
「マレンツ博士には冒険者カードを発行しています、侯爵閣下といえど強要はできません」
「ははは、レイラよ、貴族というのは武力だ、軍事力でごり押せれば王家も文句は言わせぬ。それが我が王国の鉄の法律だ」
レイラさんは侯爵を睨みつけた。
王国はいつから食うか食われるかの無法地帯になったのだろうね。
さて、女騎士の侯爵令嬢にぬいぐるみのように抱えられている訳にはいかない。
抜け出さなくてはっ。
うぞうぞ暴れるのだが、ペネロペの腕でがっちり固められて動けない。
なんという腕力なのか。
「聞けば、この草原で子供が熊の魔物に襲われたそうでは無いか、だから親切にも我が侯爵領から迷宮都市に軍を駐留させてやろう、と言っているのだ。なぜ解らないのか」
「その見返りに、迷宮都市の利益を半分せしめようというのはあまりに無法です。それから、マレンツさんを返してください」
「嫌ならば、こちらにも考えがある、それで良いのだな。あとマレンツは返さぬ」
アルモンド侯爵は片手を上げる。
兵が盾を前にして、槍を構えた。
「離してくれ~」
「だめだ」
くそー、どうして私がさらわれた、お姫様のようになっているのか。
【着火】で馬を焼いて脱出のチャンスを作るか。
しかし、馬が可哀想だしなあ。
【着火】の良くない所は馬鹿みたいな威力なので、牽制にはまったく使えない事だ。
かといって、小さい魔法では上手くいく手段が無いし、時間が掛かりすぎる。
アセット魔法の何かを覚えておくべきだったか。
バーンと街門が開いて中から真っ黒い何かが走り出して来た。
「マママ、マレンツ博士を返せ~~!!」
ウジェニーさんだった。
彼女は怒りの形相でこちらに走り寄ってくる。
いつものゆったりとした動きからは想像が付かないぐらいの速さだ。
その後ろから大剣を背負った偉丈夫が小走りでウジェニーさんを追ってくる。
「迷宮都市に喧嘩を売ろうって馬鹿はお前かーっ」
「何だと、侯爵閣下に何と言う口の利き方だっ、名を、名を名乗れっ!!」
偉丈夫は大剣を背中から抜いて、太い笑みを浮かべた。
惚れ惚れするような漢臭さだ。
「聞いて驚け、S級冒険者、ウゴリーノとは俺の事だっ!」
「げえっ、暴竜殺しのウゴリーノかあっ!!」
アルモンド侯爵が驚愕の声をあげ、ペネロペが胴震いを起こした。
「面白い、面白い、ウゴリーノか」
ペネロペは私を抱えたまま騎馬から飛び降り、そっと地面に下ろした。
「お前はここで待ってろ、私はウゴリーノを倒して領都にお前を連れて行く」
なんだ、この戦闘狂の侯爵令嬢は。
「侯爵家の鉄拳令嬢か、面白えっ!!」
「楽しもうぜえっ!! ウゴリーノ!!」
ペネロペは腰から長剣を抜き打ちでウゴリーノに斬りかかった。
どうしてこうなった。
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