キモオタ レベル0★世界最弱のオタク高校生の僕だけレベルアップ!美女に囲まれハーレム青春物語

さかいおさむ

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「まず自己紹介しますね。私は異世界から来た精霊のガイドと申します」

「ガイドちゃんか、良い名前だねぇ」
 小さいけど整った顔立ち、うん、可愛いな!

「木本君、ちょっと黙っててくれ」
 アスカさんは不機嫌だ。

 ダンジョンから出た僕ら。
 消えたダンジョンの跡地でガイドの話を聞く。

 サポートについてきてくれたアスカさん以外のギルドメンバーは、別の仕事のためすぐに帰っていった。トップ冒険者は忙しいのだろう。

「まず私がこの世界に来た理由ですが――」

「ちょっと待て」
 アスカさんがガイドの話を制する。

「木本君は一般人なんだ。君には聞かせられない話かもしれない。ちょっと外してくれるか?」

「えぇーー!? 僕がダンジョンをクリアしたからガイドに会えたんですよ?」
 ここまで残ったのだ、話を聞く権利は僕にもあるはずだ!

「まあそれは感謝しているが……」

「あ、この話はキモオタ君にも聞いてもらわないとダメですね。というかキモオタ君がメインの話かも……」
 ガイドから驚きの言葉が出る。

「僕がメイン……?」
 僕じゃないとダメ? どういうことだ?

「キモオタ君には、魔王を倒してもらわないといけないんです!」

「くぅ! これは僕も話を聞くしかありませんね!」
 夢のような話だ。冒険者に留まらず、いきなり勇者コースですか?
 でも僕はレベル0だぞ? 精霊と契約するためにレベル0の人間を探していたのは分かるが……


 ガイドは話をつづけた。

 ガイドの世界は数十年前に魔王に壊滅寸前まで破壊されてしまった。
 瀕死の精霊界は、なんとか魔王を撃退することに成功した。
 しかし、魔王はとどめを刺される前に人間界、つまり今の僕たちの世界に逃げてきたということだ。

 大ダメージを受けた魔王は、人間界で傷を癒すことにした。
 回復には大量の魔力が必要だった。しかし、人間界には魔力を持った生物はいない。

 そこで魔王は回復に必要な魔力を吸い取るために、ダンジョンを作り、魔力を持つモンスターを生み出した。
 その時に元々、地球に暮らす人間にも魔力が与えられたということだ。


「それがこの世界にダンジョンが現れた理由なのか……?
 世界中が知ったらどれだけ驚かれることか……」

 ダンジョンが出来上がった理由に驚くアスカさん。

「はい、そして魔王はこの数十年で大分体力を回復させたようです。
 回復して強力な魔力が戻った魔王の力を精霊界から感知できました。
 それで人間界に私が来たんです!」

 数か月前、ちょうどこの精霊のダンジョンが出来た頃か。

「魔王の力が完全に戻る前にとどめを刺すつもりです。
 魔王が完全復活すれば人間界はもちろん、私たちの精霊界も滅ぼされるでしょう……」
 ガイドは恐ろしいことを言う。

「そんなに強いのか魔王とやらは……」
 アスカさんが青ざめる。

「私はすぐに人間界に来たかったのですが、この世界では精霊は適応できずにすぐに消滅してしまうことが分かりました。
 そこで必要になってくるのがさっきの【契約】です!」

「なるほど……でもなんで僕じゃないとダメだったんだ?」

「はい。異世界の精霊とこの世界の人間では波長が合わないんです。全ての人間にレベルが与えられた事が原因のようで。
 もしかしたら魔王はこの世界に精霊が来るのを恐れて人間に魔力を与えたのかもしれません」

「なるほどな。それが私たち人間がいきなり魔力を得た理由なのか……」

 ガイドは話を続ける。

「いくら探しても、魔力を持たないレベル0の人間を見つけることができなかったので困っていました……そこでここにダンジョンを作ったんです。
 冒険者のレベルの10倍のボスを現れるようにすれば、いつかボスを倒すためにレベル0の人間が現れるのではないかと……そしてキモオタ君がこのダンジョンをクリアしてくれたんです」

 ガイドは僕を指さす。

「……それでレベル0の僕が……」

「はい! 思ったより早く見つけられてよかったです。このダンジョンは私たちが作った精霊のダンジョンなので魔王に見つかると大変なことになりますからね、すぐに消させてもらいましたよ」

「なるほど、それですぐにダンジョンを消したのか」

 一通り話を終えるガイド。

「しかし、木本君が魔王と戦うなんて無理だろ? 彼はレベル0で戦闘はとてもできないぞ?」
 アスカさんは心配そうに残酷なことを言う。

「……残念だけど、確かに僕じゃ戦えない。レベル0が精霊と契約するために必要だったというのは分かったけど、レベル0じゃその辺のモンスターだって戦えないよ……」

 ガイドが何か言いたそうに僕たちを見る。まん丸の瞳、可愛い顔だ……

「……あの、人間界のことを調べてて不思議に思ったんですけど……どうしてこの世界の人たちはレベルを上げないんですか?」

「え? レベルを上げる……?」

「はい。みなさん、全然レベルを上げないようで……」
 不思議そうにガイドが尋ねる。


「あのな、レベルアップなんて滅多に起きないんだよ。
 稀にレベルアップする冒険者はいるが、レベルアップに必要な条件は誰にも分からない。
 レベルはほぼ生まれつきみたいなモンなんだ」
 アスカさんは呆れたように答える。

「そうだよ、僕がどれだけレベルを上げたかったか!
 レベルが簡単に上げられるなら、僕がいつまでもレベル0なわけないだろ!」

「あー……なるほど。人間にはレベルアップの案内が見えないんですね……」

「レベルアップの案内……?」
 どういうことだ?

「そういうことなら大丈夫です! 私がキモオタ君のレベルアップの案内をしますから!」
 ガイドは自信満々に言う。

「そ、そんなことができるのか!?」

「はい! ガイドの案内ですね! どんどんレベルアップして魔王を倒しましょう!」
 僕は驚いていた。レベルを上げることができる? レベル0の僕でも!?

「おいチビスケ! 私もレベルアップできるのか!?」
 アスカさんは食い気味にガイドに質問する。

「残念でした。案内できるには契約した人間だけですね」
 ガイドはアスカさんに向け舌を出す。

「くっ! キサマ……なんだその態度はッ!」

「ひいぃぃい!」
 アスカさんは再びガイドを追いかけまわす。
 
 「僕が……レベルアップできる……?」
 あまりの衝撃さに呆然とする僕。
 
 父さん母さん、どうやら僕は勇者になります。
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