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「……ん? 生きてる……?」
僕は恐る恐る目を開く。
目の前には動きの止まったモンスターの拳。
ほどなくして、そのモンスターの拳は僕の目の前で砂のように崩れ落ちる。
「な、なにが起こったんだ……?」
ボスレベルのモンスターを真っ二つ。これは……
「おい……」
聞き覚えのある声。間違いない……!
「ア……アスカさん……?」
2つに割れたモンスターの向こうには、剣を持った怒りの形相のアスカさん。
振り下ろす拳を超える高速で、モンスターを真っ二つに斬ったのだ。
「木本君、1つ質問したいのだが……ボスに手を出すなと言ったのは忘れたのか?」
静かなトーンでの声はいつもの怒鳴り声より恐怖を感じた。
「うぅ……」
「あと……開校記念日は嘘だな?」
「……」
質問が2つありますよ。と言えず、僕はやはり死を覚悟した。
「木本君には教育が必要だな……」
アスカさんは拳を握りしめる。
◇
ダンジョンを脱出する僕ら。
「何はともあれ無事でよかった」
アスカさんはそう言うが……
「ぶ、無事!?」
「なんだ?」
アスカさんは僕を睨みつける。
「い、いえ……無事です……はい、ありがとうございました……」
ボコボコにされ、腫れあがった顔面の僕は答える。
なぜボコボコなのかは言うまでもないだろう……
「まったく、ダンジョンのボスを怒らせるなんて、何考えてるんだ?」
呆れるアスカさん。
「ちょっと覗くだけのつもりだったんですけどね……」
「精霊も何をやってるんだ! お前にも責任はあるぞ!」
「す、すみません……」
流石のガイドも今回はおとなしい。
「でもアスカさん! 僕とうとうレベル1になりましたよ!」
僕は誇らしげにアスカさんに報告する。
「お! 本当か!」
アスカさんにも笑みがこぼれる。
「はい! スライム10体、ゴブリンを5体。いやぁ、厳しい戦いでしたよ!」
武勇伝を語る僕をアスカさんは冷たい瞳で見る。
「スライムにゴブリン……私が物心つく頃には倒していたモンスターだな……」
「……」
僕はそれ以上何も言えなかった……
◇
僕はダンジョンでのことをアスカさんに話した。
「なるほど……モンスターを倒す順番がレベルアップのカギだったのか……
普通の冒険者がガムシャラにモンスターを倒しても、レベルアップはまず無理だな」
残念そうなアスカさん。
「そのようですね……」
「まったく、木本君が羨ましいよ。私にもレベルアップの条件を教えてくれる精霊が来てくれないものかな」
「でも精霊と契約できるのはレベル0の人間だけですからね……」
「そうだったな。つくづく木本君は運がよかったな!」
「はい……ドンドンレベルを上げます! 必ずネクロマンサーを倒してサクラちゃんを救いますから待っててください!」
「ふふ、頼むぞ。君だけが頼りだ」
「はい!」
アスカさんに頼られる。これ以上の喜びは無かった。
「そうだ。レベルアップのお祝いに新しい武器をプレゼントさせてくれ」
「え? でも……僕にはアスカさんがくれた剣がありますし」
思いがけにアスカさんからの提案に驚く。
「ん? そ、そうだが使い手の体にあった武器の方がいいからな」
「ということは……武器屋デートってことですね!」
「……まあそうなるのかな?」
不満げなアスカさん。
「嬉しいです! アスカさんが前に使っていた、この剣にも思い入れがあるんですけど……しかたないですね……」
「……」
この剣が実はアスカさんの前に使っていた剣ではなく、ただの安物の剣だとは僕は知ることはなかった。
僕は恐る恐る目を開く。
目の前には動きの止まったモンスターの拳。
ほどなくして、そのモンスターの拳は僕の目の前で砂のように崩れ落ちる。
「な、なにが起こったんだ……?」
ボスレベルのモンスターを真っ二つ。これは……
「おい……」
聞き覚えのある声。間違いない……!
「ア……アスカさん……?」
2つに割れたモンスターの向こうには、剣を持った怒りの形相のアスカさん。
振り下ろす拳を超える高速で、モンスターを真っ二つに斬ったのだ。
「木本君、1つ質問したいのだが……ボスに手を出すなと言ったのは忘れたのか?」
静かなトーンでの声はいつもの怒鳴り声より恐怖を感じた。
「うぅ……」
「あと……開校記念日は嘘だな?」
「……」
質問が2つありますよ。と言えず、僕はやはり死を覚悟した。
「木本君には教育が必要だな……」
アスカさんは拳を握りしめる。
◇
ダンジョンを脱出する僕ら。
「何はともあれ無事でよかった」
アスカさんはそう言うが……
「ぶ、無事!?」
「なんだ?」
アスカさんは僕を睨みつける。
「い、いえ……無事です……はい、ありがとうございました……」
ボコボコにされ、腫れあがった顔面の僕は答える。
なぜボコボコなのかは言うまでもないだろう……
「まったく、ダンジョンのボスを怒らせるなんて、何考えてるんだ?」
呆れるアスカさん。
「ちょっと覗くだけのつもりだったんですけどね……」
「精霊も何をやってるんだ! お前にも責任はあるぞ!」
「す、すみません……」
流石のガイドも今回はおとなしい。
「でもアスカさん! 僕とうとうレベル1になりましたよ!」
僕は誇らしげにアスカさんに報告する。
「お! 本当か!」
アスカさんにも笑みがこぼれる。
「はい! スライム10体、ゴブリンを5体。いやぁ、厳しい戦いでしたよ!」
武勇伝を語る僕をアスカさんは冷たい瞳で見る。
「スライムにゴブリン……私が物心つく頃には倒していたモンスターだな……」
「……」
僕はそれ以上何も言えなかった……
◇
僕はダンジョンでのことをアスカさんに話した。
「なるほど……モンスターを倒す順番がレベルアップのカギだったのか……
普通の冒険者がガムシャラにモンスターを倒しても、レベルアップはまず無理だな」
残念そうなアスカさん。
「そのようですね……」
「まったく、木本君が羨ましいよ。私にもレベルアップの条件を教えてくれる精霊が来てくれないものかな」
「でも精霊と契約できるのはレベル0の人間だけですからね……」
「そうだったな。つくづく木本君は運がよかったな!」
「はい……ドンドンレベルを上げます! 必ずネクロマンサーを倒してサクラちゃんを救いますから待っててください!」
「ふふ、頼むぞ。君だけが頼りだ」
「はい!」
アスカさんに頼られる。これ以上の喜びは無かった。
「そうだ。レベルアップのお祝いに新しい武器をプレゼントさせてくれ」
「え? でも……僕にはアスカさんがくれた剣がありますし」
思いがけにアスカさんからの提案に驚く。
「ん? そ、そうだが使い手の体にあった武器の方がいいからな」
「ということは……武器屋デートってことですね!」
「……まあそうなるのかな?」
不満げなアスカさん。
「嬉しいです! アスカさんが前に使っていた、この剣にも思い入れがあるんですけど……しかたないですね……」
「……」
この剣が実はアスカさんの前に使っていた剣ではなく、ただの安物の剣だとは僕は知ることはなかった。
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