『え？みんな弱すぎない？』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした！100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

第二章 冒険者ギルド

２３

「こ、来い……！」
　モンスターが近づくにつれ、バーランダーの背中が震えてくる。

「ね、ねぇ……バーランダー君、一応聞いておくけど……モンスターと戦った経験はあるのよね……？」
　不安そうにミルリーフが尋ねる。

「い、いえ……今回が初めてです……なんせついさっきボアモルチで冒険者ギルドの登録をしたばかりなもので……」
「えぇっ！？！？　嘘でしょう……」
　衝撃の事実に大声を上げるミルリーフ。

「で、でも大丈夫です！　ずっと冒険者に憧れていたんで……モンスターとの戦いのイメージトレーニングはバッチリです」
　バーランダーはあぶら汗をかいた顔で不安そうにニカっと微笑む。

「……コイツ、面白いな……現代人はみんなこんなに面白いのか？」
「……こんなを現代人でひとくくりにしないでちょうだい……」

　ガクガクと震えるルーキー冒険者バーランダーの後ろ姿を見て、これは用意しといたほうが良さそうだなと腰をあげるアルカンタラ。
　その時、バーランダーのリュックに入ってる水のボトルに気づいた。

「お！　おいスーパールーキー、水貰うぞ」
　ヒョイとボトルと取り、グビグビと飲むアルカンタラ。

　緊張のあまり、ボトルを取られたことなど気づてもいない様子のバーランダーは目の前のモンスターに剣を振り下ろす。
「う、うおおお……！」

　しかし、あまりに遅いバーランダーの剣はモンスターに届くこともなく、尖った爪がバーランダーの鎧に突き立てられる。
「うあああ！」
　紫ライオンを押し倒され、地面に転がったバーランダーは悲鳴を上げる。

「に、逃げてください！　コイツ……とんでもない強さのモンスターです！」
　モンスターの牙を必死に押さえつけるバーランダー。

「バーランダー君……私達のことより自分の心配したほうが……ア、アルカンタラ！　早く何とかしなさいよ！」
「ったく……こんな弱えぇくせに……メンタルだけは勇者並だな」

　アルカンタラはニヤッと笑いながら、そっと手のひらをモンスターに向ける。
　次の瞬間、バーランダーにのしかかる紫ライオンは衝撃波によって吹き飛ばされる。おまけに残りの2体の紫ライオンも吹き飛ばす。
　一瞬のうちにモンスターは3人から離れた地面で気絶していた。

「な、なに……！？」
　突然のことに訳がわからないバーランダー。
「ふん、水の礼だ」
　ぶっきらぼうにそう言い、残りの水を飲み干すアルカンタラ。