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第二章 冒険者ギルド
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「ゼィゼィ……バ、バーランダー……だ、大丈夫か……?」
やっと到着したバーランダーズの残りのメンバーたち。走ってきただけで大汗をかく姿はとても冒険者には思えない。
「お、お前たち……はっ、バーランダーじゃない! 僕のことは『リーダー』と呼べと言っただろ!」
「バ……リーダー、大丈夫ですか? え? あのモンスターは?」
部下の男はバーランダーの後方に吹き飛ばされ、ピクピクとしている3頭の紫ライオンに気づいた。
「リーダー……すげぇ! さっそく3体もモンスターを狩るなんて痺れます!」
「リーダーすごいっす! 憧れます!」
すっかりモンスターはバーランダーが倒したものと勘違いし、パーティーのリーダーに尊敬の眼差しを向ける2人の部下。
「う……あ、あれは……」
気まずそうにうつむくバーランダー。
「……いやぁ、助かったぜ」
「……え?」
突然のアルカンタラの言葉に驚くバーランダー。
「お前が助けてくれなかったら、やばかったかもしれないなぁ。なあミルリーフ?」
ミルリーフにチラリと視線をやる。
「……ん、そ、そうね……ありがとう、バーランダー君」
アルカンタラの嘘に乗るミルリーフ。
「そんな……いや……」
小さく頭を振るバーランダーだったが、やがてアルカンタラに小さくお辞儀をした。
「……ふふふ、お、お前たち! バーランダーズの初勝利だ!」
「リーダー! 一生ついていきます!」
「リーダーなら暗黒水晶も一撃っすわ!」
すっかりバーランダーに夢中の2人の部下だった。
「……ふふ、そ、それではお2人とも、気をつけて旅を続けて下さい……ね」
「お、おう……」
そう言い、部下の視線に入らないところで今度は深々とお辞儀をし、少し恥ずかしそうに走り去っていくバーランダーだった。
「……あいつらを見てると、世の中は本当は平和なんじゃないかと思えてくるぜ……」
アルカンタラは苦笑いをしてバーランダーを見送った。
「……ま、まあ変な男だけど嫌なヤツじゃないわよね……」
「そ、そうだな……悲しいほどに弱いだけだな……」
「それにしてもアンタがあんな嘘つくなんてビックリしたわよ」
部下の前ということで、自分の手柄をバーランダーに譲ったアルカンタラの行動にミルリーフは驚いていた。
「んー……まあ悪いやつじゃなさそうだしな……ああいう連中も世界を平和にするためには必要なんだろう」
「ふーん、案外いいところあるじゃない!」
ミルリーフはアルカンタラの頭をワシャワシャとなでる。
「や、やめろよ!」
恥ずかしそうに手を振り払う。
「それにしてもバーランダー君もさっきボアモルチで冒険者ギルドの登録をしたって言ってたわ。私たち以外にもいたのね。
モンスターが出現してから冒険者が増えたって言うけど本当みたいね」
「乱世みたいだからな。暗黒水晶を壊して一旗上げたいって奴らも多いんだろう」
「そうみたいね。ライバルも多そうだわ」
「……あんな奴らライバルにならねぇよ」
アルカンタラはバーランダーを思い出し、ボソリとつぶやく。
「あ、ボアモルチが見えてきたわ」
2人は長い荒野を抜け、冒険者ギルド都市ボアモルチに到着した。
やっと到着したバーランダーズの残りのメンバーたち。走ってきただけで大汗をかく姿はとても冒険者には思えない。
「お、お前たち……はっ、バーランダーじゃない! 僕のことは『リーダー』と呼べと言っただろ!」
「バ……リーダー、大丈夫ですか? え? あのモンスターは?」
部下の男はバーランダーの後方に吹き飛ばされ、ピクピクとしている3頭の紫ライオンに気づいた。
「リーダー……すげぇ! さっそく3体もモンスターを狩るなんて痺れます!」
「リーダーすごいっす! 憧れます!」
すっかりモンスターはバーランダーが倒したものと勘違いし、パーティーのリーダーに尊敬の眼差しを向ける2人の部下。
「う……あ、あれは……」
気まずそうにうつむくバーランダー。
「……いやぁ、助かったぜ」
「……え?」
突然のアルカンタラの言葉に驚くバーランダー。
「お前が助けてくれなかったら、やばかったかもしれないなぁ。なあミルリーフ?」
ミルリーフにチラリと視線をやる。
「……ん、そ、そうね……ありがとう、バーランダー君」
アルカンタラの嘘に乗るミルリーフ。
「そんな……いや……」
小さく頭を振るバーランダーだったが、やがてアルカンタラに小さくお辞儀をした。
「……ふふふ、お、お前たち! バーランダーズの初勝利だ!」
「リーダー! 一生ついていきます!」
「リーダーなら暗黒水晶も一撃っすわ!」
すっかりバーランダーに夢中の2人の部下だった。
「……ふふ、そ、それではお2人とも、気をつけて旅を続けて下さい……ね」
「お、おう……」
そう言い、部下の視線に入らないところで今度は深々とお辞儀をし、少し恥ずかしそうに走り去っていくバーランダーだった。
「……あいつらを見てると、世の中は本当は平和なんじゃないかと思えてくるぜ……」
アルカンタラは苦笑いをしてバーランダーを見送った。
「……ま、まあ変な男だけど嫌なヤツじゃないわよね……」
「そ、そうだな……悲しいほどに弱いだけだな……」
「それにしてもアンタがあんな嘘つくなんてビックリしたわよ」
部下の前ということで、自分の手柄をバーランダーに譲ったアルカンタラの行動にミルリーフは驚いていた。
「んー……まあ悪いやつじゃなさそうだしな……ああいう連中も世界を平和にするためには必要なんだろう」
「ふーん、案外いいところあるじゃない!」
ミルリーフはアルカンタラの頭をワシャワシャとなでる。
「や、やめろよ!」
恥ずかしそうに手を振り払う。
「それにしてもバーランダー君もさっきボアモルチで冒険者ギルドの登録をしたって言ってたわ。私たち以外にもいたのね。
モンスターが出現してから冒険者が増えたって言うけど本当みたいね」
「乱世みたいだからな。暗黒水晶を壊して一旗上げたいって奴らも多いんだろう」
「そうみたいね。ライバルも多そうだわ」
「……あんな奴らライバルにならねぇよ」
アルカンタラはバーランダーを思い出し、ボソリとつぶやく。
「あ、ボアモルチが見えてきたわ」
2人は長い荒野を抜け、冒険者ギルド都市ボアモルチに到着した。
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