『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第二章 冒険者ギルド

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「いやぁ、あの金髪許せませんねぇ。ワタクシの前で勇者ソーサー様の悪口を言うなんて。勇者ソーサー様が今の時代なら弱いですって!? なんて愚かなことを言うんでしょうあの金髪、いや、金髪豚野郎は! 勇者ソーサー様と言えば――――」
 アルカンタラとミルリーフの事など忘れているかのように、メガネの少女は独り言のようにペラペラと勇者ソーサーの偉業を語り続ける。

「……な、なんだこのガキは?」
「……さ、さぁ。悪い子じゃないんでしょうけど変わった子ね……おじい……ソーサーのファンかしら?」

「そして、その時ぃッ! ついに勇者ソーサー様はその聖剣でぇ――――」

『ペシッ!』
「痛ッ!」
 興奮し顔を真っ赤にしながら話し続ける少女をアルカンタラは引っ叩く。

「おいガキ、なんだお前は?」
「あわわわ……す、すみません。つい興奮してしまいまして……ギルドで騒ぎになっていてチラッと覗いたら、あの金髪豚野郎がソーサー様の悪口を言っていたのでつい熱くなってしまいました……」
 おかっぱの少女は恥ずかしそうに細い銀縁メガネをクイッと上げる。

「……お嬢ちゃんはソーサーオタクなの?」
 ミルリーフは奇妙なモノを見るような目でに尋ねる。

「は、はいぃ! ソーサー様はワタクシの憧れです!!」
 少女は自分の胸をバシッと叩く。
 筋金入りのソーサーオタクの少女はアルカンタラとミルリーフの服装をしげしげと眺める。

「むふふ……ワタクシが見るに……お二人もなかなかの『勇者パーティー』オタクのようですねぇ。勇者パーティーと同じアムハイナ王国の鎧をお召しになられてるようですし」
 少女はアムハイナ王国の紋章の入った鎧をつけた二人をジロリと見る。

「いや……私たちは勇者パーティーオタクじゃなくて、アムハイナ王国所属の魔法使いだから……」
「こ、こいつ……怖いな……目が普通じゃない……」
 魔王との戦いを経験したことのあるアルカンタラですら、目の前の少女のオタク特有の不気味さにおののいていた。

「特にお兄さんッ! その古いデザインのアムハイナ王国の鎧は復刻版ですか!? ワタクシほどの勇者オタクもそれはチェックしてませんでした……情けないです……」
 少女はアルカンタラの古びた鎧を羨ましいげな、そして悔しそうな表情で見つめる。

「ふ、復刻版って……」
 正真正銘の100年前のヴィンテージ品だよ、と心の中で思うアルカンタラだった。

「あぁ……我慢できない……ちょっとワタクシにも触らせてください!!」
 少女はよだれを垂らしながらアルカンタラの鎧に抱きつく。

「や、やめろぉお」
「うーん、この鎧、素晴らしい出来栄えですねぇ! 本当に当時の鎧のような今では使い勝手の悪い古い素材をあえて使うリアル志向! お兄さん、ただ者じゃありませんねぇ」
「……ミルリーフ……助けてくれ……」

 どんなモンスターにも怯えたことのなかったアルカンタラの涙目を見るのは初めてのミルリーフ。

「……よかったわね……モテモテじゃないの……」
 冷めた目でアルカンタラをにらむミルリーフだった。
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