73 / 77
第三章 エルフの森
73
しおりを挟む
谷底に降りると一段と霧は濃くなった。
「アルカンタラ! どこにいるの!?」
二人は必死にこのあたりに転げ落ちたはずのアルカンタラを探す。
霧が濃く、なかなか見つからない。
「こ、ここだ……」
声を頼りに探すと、崖を転がり落ちボロボロのアルカンタラが倒れていた。
「ご、ごめんね……急に地震がきてビックリしちゃって」気まずそうに頭をかくミルリーフ。
「テメェら……許さん……」
「しょうがないでしょ! すごい揺れだったんだから。大体なによ、あの落ち方、アンタの運動神経が悪すぎるのよ!」
「お、お前たち……ここはもう眠りの谷だぞ!? 緊張感を持て!」
女剣士は二人を𠮟りつける。
『ゴゴゴ……』
その時、再び地面が揺れた。
「また地震!?」
「いや……これは地震じゃない……!」
三人の前の地面がひび割れ、突然盛り上がる。
砂煙を巻き上げながら巨大な緑色の物体が姿を現した。
モンスターとなった紫牙草だ。
太い茎は大木の幹のような太さ、分厚い葉っぱに何より目立つのは花の中心にある紫色の牙だ。
「これが紫牙草ね……」ミルリーフはゴクリと唾を飲む。
「ああ、以前まではどこにでも咲いているただの草花だったんだがな……」
「よし。コイツの根っこがあればエルフ王の病気は治せるんだな?」
アルカンタラは起き上がり紫牙草を睨み付ける。
「ちょ、ちょっとアルカンタラ! あまり近づいたら。コイツの花粉は――」
ミルリーフの言葉も聞かず、アルカンタラはモンスターに駆け寄る。
「ふっ、デケェ葉っぱだな! くらいやが――――」
モンスターに手をかざし、今にも古代魔法を放とうとしていたアルカンタラは突然足元がふらつき出し、その場に倒れ込んだ。
「だ、大丈夫!?」
ミルリーフが駆け寄ると、アルカンタラはグーグーといびきをかき、幸せそうな表情で眠っていた。
「もう! なんでコイツはこんなに馬鹿なの!? 近づいたら花粉で寝るって言ったじゃないの」
頭をかかえるミルリーフ。
「……本当にコイツは勇者パーティーだったのか!? おいミルリーフ、今はこいつを連れて一旦逃げよう」
二人は眠りこけているアルカンタラを抱き起こそうと近づく。もちろん、アルカンタラと違い花粉を吸い込まないように布で口元を覆い隠す。
「ほら、アルカンタラ! 起きなさい」
ミルリーフはアルカンタラのほっぺたをバシバシと叩く。
「ムニャムニャ……」
しかし、アルカンタラは一向に目を覚ます気配がない。
その時、モンスターの長いツルが二人を襲う。
植物のツルといっても紫牙草はモンスターだ。ツルの太さは人間の腕ほどある。
ミルリーフと女剣士は迫り来るツルを剣で切り落とすも、次から次へと襲いかかる攻撃に後退する。
「く、キリがないわね……」
二人は眠り続けるアルカンタラから引き離された。
モンスターはこの隙に花から触手を出し、その触手でアルカンタラを包み込んだ。
「アルカンタラ! どこにいるの!?」
二人は必死にこのあたりに転げ落ちたはずのアルカンタラを探す。
霧が濃く、なかなか見つからない。
「こ、ここだ……」
声を頼りに探すと、崖を転がり落ちボロボロのアルカンタラが倒れていた。
「ご、ごめんね……急に地震がきてビックリしちゃって」気まずそうに頭をかくミルリーフ。
「テメェら……許さん……」
「しょうがないでしょ! すごい揺れだったんだから。大体なによ、あの落ち方、アンタの運動神経が悪すぎるのよ!」
「お、お前たち……ここはもう眠りの谷だぞ!? 緊張感を持て!」
女剣士は二人を𠮟りつける。
『ゴゴゴ……』
その時、再び地面が揺れた。
「また地震!?」
「いや……これは地震じゃない……!」
三人の前の地面がひび割れ、突然盛り上がる。
砂煙を巻き上げながら巨大な緑色の物体が姿を現した。
モンスターとなった紫牙草だ。
太い茎は大木の幹のような太さ、分厚い葉っぱに何より目立つのは花の中心にある紫色の牙だ。
「これが紫牙草ね……」ミルリーフはゴクリと唾を飲む。
「ああ、以前まではどこにでも咲いているただの草花だったんだがな……」
「よし。コイツの根っこがあればエルフ王の病気は治せるんだな?」
アルカンタラは起き上がり紫牙草を睨み付ける。
「ちょ、ちょっとアルカンタラ! あまり近づいたら。コイツの花粉は――」
ミルリーフの言葉も聞かず、アルカンタラはモンスターに駆け寄る。
「ふっ、デケェ葉っぱだな! くらいやが――――」
モンスターに手をかざし、今にも古代魔法を放とうとしていたアルカンタラは突然足元がふらつき出し、その場に倒れ込んだ。
「だ、大丈夫!?」
ミルリーフが駆け寄ると、アルカンタラはグーグーといびきをかき、幸せそうな表情で眠っていた。
「もう! なんでコイツはこんなに馬鹿なの!? 近づいたら花粉で寝るって言ったじゃないの」
頭をかかえるミルリーフ。
「……本当にコイツは勇者パーティーだったのか!? おいミルリーフ、今はこいつを連れて一旦逃げよう」
二人は眠りこけているアルカンタラを抱き起こそうと近づく。もちろん、アルカンタラと違い花粉を吸い込まないように布で口元を覆い隠す。
「ほら、アルカンタラ! 起きなさい」
ミルリーフはアルカンタラのほっぺたをバシバシと叩く。
「ムニャムニャ……」
しかし、アルカンタラは一向に目を覚ます気配がない。
その時、モンスターの長いツルが二人を襲う。
植物のツルといっても紫牙草はモンスターだ。ツルの太さは人間の腕ほどある。
ミルリーフと女剣士は迫り来るツルを剣で切り落とすも、次から次へと襲いかかる攻撃に後退する。
「く、キリがないわね……」
二人は眠り続けるアルカンタラから引き離された。
モンスターはこの隙に花から触手を出し、その触手でアルカンタラを包み込んだ。
10
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる