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一通目
しおりを挟むこんにちは、名前も知らない優しい人。
あなたがこの手紙を読んでいる頃、きっと私はもうこの世にいないのでしょう。
それは仕方のないことなのです。
私があなたと出会う数ヶ月前には既に決まっていたことですから。
でもあなたは私に奇跡を与えてくれました。
知っているでしょうか?
あなたと出会った次の日が、実は私が宣告されていた余命の期限だったんです。
死ぬと悟っていた私はただ日々を静かに過ごすだけのまるで人形のような存在でした。
あの日は珍しく体調が良くて歩いていた私の足元に、あなたの絵が落ちてきました。
それを拾った私にあなたはお礼を言って、拾った絵を私にくれましたね。
どんな絵だったか覚えていますか?
広いグランドでサッカーを追いかけて走る学校の生徒たちの絵です。
生き生きとした躍動感と優しい色使いに、あなたが帰った後、泣いてしまいました。
ベッドの上で死へ向かう私にはない素晴らしさに、感動してしまったのです。
そうして、例えたった一日だけしか残っていなかったとしても、明日を精一杯生きようと思えたのです。
あの絵は私の世界を色鮮やかに変えてくれました。
病室に飾られた花の鮮やかさや、窓から見える夕焼けが夜へ移り変わる姿は私が気付かなかっただけで、本当は驚くほどに美しいものなのですね。
私が病室で絵を眺めていたら看護士さんが「素敵な絵ね」と褒めてくれましたよ。
思わず何度も頷いて、笑われてしまいました。
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