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恋無不動(こいなしふどう)
勘兵衛に近づく人たち。
しおりを挟む勘兵衛御津の甲遠山寅之助季合通称勘兵衛が山の斜面をかけ降りていた。
勘兵衛の身長の十倍はありそうな木々の間を器用にすり抜けていた。
(どうして人がそんなに険しい谷を駆け下りることができるのだい?)
(ヘヘヘ。そこです)
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