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グランドツリー
庭月野けい
しおりを挟む「ロン、12000」
庭月野けいは負けた。財布を覗くも風を通している。
「どーすんだよ、けい。続けるか?」
溜まりに溜まった負債は五万。これ以上続けた所で、勝てる見込みはなかった。ならばいっそ負け通すと庭月野けいは腹をくくっていたが、一大学生にしては重過ぎた。
「継続だ」
ボタンが押され、牌が流れ、移る。綺麗に整えられた黄金色の牌が、今の庭月野にはくすんで見えた。
「邪魔」
轟音とともに、卓が空へと舞う。水滴のように飛び散った牌は、3Fの高さから広場へと落ちていく。
4人プラス1人、見知らぬ男が脚を下ろす。
ようやく正気を取り戻した1人は、男の胸ぐらを掴んだ。
「おっさん、何すんだよ」
「通路の掃除をしたまでだよ。大丈夫、金は支払う」
「なに?」
札束を胸ポケットから取り出し、地面に投げつける。200枚はゆうに超える束。
「やば、これ貰っていいの?」
「好きにしろ」
「パチンコ行こうぜ。パチンコ。あと酒も」
庭月野をその場に残し、結託した三人は去っていく。男と庭月野は立ち尽くす。
「少年」
「は、はい」
「勝つ気がないなら、賭け事は辞めろ」
「はい」
「あと」
男はもう1束札束を胸ポケットから取り出した。
「こっちは本物だ」
庭月野の手にしっかりと握り込ませる。夏が近づく大学、庭月野は二百万円を手にした。
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