ナスビをミカンに突き刺した

munuoff

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はるみん

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はるみんは天使である。

憂鬱な職場を照らすエンジェル。

笑顔と光を届けてくれる。

アイドルよりも尊い。

恋人よりも近い。

はるみんは我々の希望だ。

仕事が出来なくてもいい。

彼女は笑うだけでよかった。

女も男も癒された。

はるみんは生きていた。

人生とは何かを教えてくれた。

暗い気持ちを明るく照らす。

はるみんが落ち込むのは良くない。

皆の士気が最低まで落ちる。

その日は世界の不幸日になる。

はるみんはすぐに持ち直す。

湧き出る元気と包容力。

彼女の笑顔は太陽である。

我々のはるみん。

世界のはるみん。

光の代名詞、はるみん。

そんなはるみんは、ビルから飛び降りて死んだ。


「どうして死んだの」「知らない」「ストレスとか?」「はるみんはストレスなんかないよ」「じゃあいじめ?」「いじめる理由が見当たらない」「はるみん...」「嘘だよ」「はるみんは死ぬわけない」「天使だもん」「そうだよ」「生きてる生きてる」「私も今日真っ赤なはるみん見たよ」「私も見た。新しいドレスかな」「可愛いよね」「やっぱりはるみん生きてたんだ」


ぐちゃぐちゃになった死体はいつまでも会社の入り口に放置された。

出勤すると皆、はるみんに挨拶をする。

退勤する時は「おつかれ、はるみん」と声をかける。

雨が降り、血が流された。

虫が舞い、肉が食べられた。

骨だけが残った。

骨は茹でて出汁をとり、はるみんラーメンが社員食堂に並んだ。

はるみんはいなくなった。

みんなの腹に収まった。

翌日、はるみんはいつものように出勤してきた。

職場に天使が帰ってきた。

はるみんは死なないのだ。

笑顔と光が世界に満ちる。


「おはよう、はるみん」

「久しぶり」

「いつもいい笑顔だね」

「今日も仕事のやる気が出るよ」

「愛してるはるみん」

「おかえりはるみん」


はるみんは笑った。

皆のために笑った。

はるみんの為に笑った。


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