ブレイキングワールド

破壊

全壊学園

「起立！」


私立、全壊学園ぜんかいがくえん。

全校生徒1200名。

この学園には、ランキングがある。

ランキングはそれぞれが持つ能力スキルで決まる。

能力は様々であり、その人間の性格、努力、才能、人生などによって決まる。

俺はその中で1100位くらい。

下の下ってやつだ。


「礼！」

「おはようございます」


丁寧に揃えられた挨拶に、頭が散らかった校長が笑顔で応える。

校長、足長重文あしながしげふみ。


「はい、おはよう。私は校長の足長です。皆さんまずは、ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」


子供相手に使う言葉ではないだろう。

口をあけて呆けているものから、座り込んでいる生徒、化粧をし始めるギャルもいる。

誰も聞いていないそのスピーチは、乾いた体育館に広く響き渡っている。

俺が聞いているから誰もではないか。


「ご存知の通り、ここ全壊学園では入学時に生徒の皆様に能力スキルを無償で配布しております。本校は能力開発特区の先進であるため、他の学園にはない能力を皆さんは手に入れることができます」


能力が特別視されていた21世紀とは違う。

今は誰しも能力を持っている。

ただこの全壊学園が保有するのは国家のお墨付きのA級スキルばかり。

高い授業料と難易度の高い試験を通れば、人生イージーモードも夢ではない能力が手に入るってことだ。


「まずは本日身体計測をしますので、そこで皆様にあった能力を探していきましょう」