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第一章:未来が見える未来さん
第一話:変人かもしれない未来さん
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人間が抱くイメージの九割は第一印象だと言われている。しかし、第一印象のみでその人がどんな人物なのかを九割も知ることは不可能だ。おそらく、一割も知ることはできないだろう。だが、人間は第一印象のみでその人物の人となりを測り、カーストを決定づける。それが人間という生き物なのだ。仕方がないとしか言いようがない。
さて、以上のことから高校生活の全ては入学式後の自己紹介で決まると言っても過言ではないということがわかるだろう。
だから……今回の自己紹介は失敗できない!
「次、御鏡過去くん」
俺が自己紹介の成功を決意するために思考をまとめていると、教卓のある方向から甘ったるい女性の声が聞こえてきた。
教卓の方にチラと目をやると、先ほど俺たちのクラスの担任だと自己紹介をしていた青夏透明先生が僕を見つめていた。
軽いウェーブがかかった小栗色の髪と整った顔立ちが特徴的な若い女性で、男子生徒からの人気が高そうな美人だ。
「自己紹介をお願いしますね」
そんな青夏先生から自己紹介をするよう促され、俺は心を弾ませながら立ち上がった。
「御鏡過去です!名前は変わっているとよく言われますが、人間としては普通です。一年間よろしくお願いします!」
俺が自己紹介を終えて席に座ると、隣の席のから手が伸びてきて、ポンポンと肩を叩かれた。
隣の席の方へ目をやると、頬杖をつきながら美少女が微笑んでいた。
「君、私の名前と似ているね。それと普通の人は人間なんて言わないんじゃないかな?」
「ははは……」
「まあ、君が普通じゃないのは知っていたけどね」
そう言って彼女は立ち上がった。
まだ青夏先生からの指示がないのにも関わらずだ。
「次……あ、鏡さんお願いします」
ちょうど指示を出そうとしていたところだったのか、先生は立ちあがった少女の行動を咎めることなく、自己紹介をするように促した。
「鏡未来です。私はあなたたちの未来が見えます。おそらくあなたたちは明日殺されるだろう」
そう言い放った鏡さんは、スッと席に座った。
何事もなかったように無表情で、だ。
あー、これ高校デビュー失敗したな。それともあれか、ウケ狙いに行ってスベッたのか。
隣の席に目をやると、鏡さんは肩まで伸ばした髪をポニーテールに束ねているところだった。鏡さんが頭を動かすたびに艶のある銀髪が左右に揺れ、僕の視線を惹きつける。
ちょっと可愛いかも?
クラス全員が自己紹介を終えると、青夏先生から連絡事項を聞き、今日のところは解散となった。
俺がカバンからスマホを取り出し、クラスメイトと連絡先を交換しに行こうとしていると、隣の席から声を掛けられた。
「やあ、過去くん。まずは私と連絡先を交換しないかい?」
「鏡さんは可愛いけど、残念美人に興味はないからね。遠慮しておくよ」
「そうなのかい?私は君にぞっこんラブなのに……非常に残念だ」
「テンション高いですね」
「ガソリンも最近高くなったみたいだね。ハイオクだか廃屋だか知らないが」
「俺ホラーダメなんで」
「君は女児向けアニメが好きなのかい?」
「どっちかって言うと青夏先生の方が好きかな?」
俺たちがしばらく会話を続けていると、クラスメイトは全員そそくさと机の中を片付け、教室から出て行ってしまった。
「最初から変人認定か……関わらない方がいいって!? 鏡さんのせいだからね!」
「二人きりだね、てれてれ」
「ファック……しょん」
「特徴的なくしゃみだね」
俺は軽く喧嘩を売ってみたが、鏡さんはそれを軽く受け流した。
「まあ、クラスメイトに変人と同列認定はされたけど、鏡未来という人間がどういう性格なのか少しはわかったからいいや」
「私も君のことを少しは知れたかな? 波長が合いそうだ。名前が似ているからかもしれないね」
「じゃあ、友達として連絡先を交換する?」
「そうだね」
俺はスマホのスリープモードを解除し、鏡さんと連絡先を交換した。
「これからよろしくね! 今からどこか行く?」
「よろしく。ガソリンスタンドとかはどうだろう?」
「いや、最近値上がりしたのは本も同じだ。いや、値上がりしたかは知らんけど」
「本屋に行きたいのかい」
「うん、どうかな?」
「ほーん、いいよ。……あ、今のは本とほーんをかけていてね」
「ほーん」
それからしばらく鏡さんと教室で会話を続けた。
そして、お互いが談話に満足したところで教室を出て本屋へと向かった。
さて、以上のことから高校生活の全ては入学式後の自己紹介で決まると言っても過言ではないということがわかるだろう。
だから……今回の自己紹介は失敗できない!
「次、御鏡過去くん」
俺が自己紹介の成功を決意するために思考をまとめていると、教卓のある方向から甘ったるい女性の声が聞こえてきた。
教卓の方にチラと目をやると、先ほど俺たちのクラスの担任だと自己紹介をしていた青夏透明先生が僕を見つめていた。
軽いウェーブがかかった小栗色の髪と整った顔立ちが特徴的な若い女性で、男子生徒からの人気が高そうな美人だ。
「自己紹介をお願いしますね」
そんな青夏先生から自己紹介をするよう促され、俺は心を弾ませながら立ち上がった。
「御鏡過去です!名前は変わっているとよく言われますが、人間としては普通です。一年間よろしくお願いします!」
俺が自己紹介を終えて席に座ると、隣の席のから手が伸びてきて、ポンポンと肩を叩かれた。
隣の席の方へ目をやると、頬杖をつきながら美少女が微笑んでいた。
「君、私の名前と似ているね。それと普通の人は人間なんて言わないんじゃないかな?」
「ははは……」
「まあ、君が普通じゃないのは知っていたけどね」
そう言って彼女は立ち上がった。
まだ青夏先生からの指示がないのにも関わらずだ。
「次……あ、鏡さんお願いします」
ちょうど指示を出そうとしていたところだったのか、先生は立ちあがった少女の行動を咎めることなく、自己紹介をするように促した。
「鏡未来です。私はあなたたちの未来が見えます。おそらくあなたたちは明日殺されるだろう」
そう言い放った鏡さんは、スッと席に座った。
何事もなかったように無表情で、だ。
あー、これ高校デビュー失敗したな。それともあれか、ウケ狙いに行ってスベッたのか。
隣の席に目をやると、鏡さんは肩まで伸ばした髪をポニーテールに束ねているところだった。鏡さんが頭を動かすたびに艶のある銀髪が左右に揺れ、僕の視線を惹きつける。
ちょっと可愛いかも?
クラス全員が自己紹介を終えると、青夏先生から連絡事項を聞き、今日のところは解散となった。
俺がカバンからスマホを取り出し、クラスメイトと連絡先を交換しに行こうとしていると、隣の席から声を掛けられた。
「やあ、過去くん。まずは私と連絡先を交換しないかい?」
「鏡さんは可愛いけど、残念美人に興味はないからね。遠慮しておくよ」
「そうなのかい?私は君にぞっこんラブなのに……非常に残念だ」
「テンション高いですね」
「ガソリンも最近高くなったみたいだね。ハイオクだか廃屋だか知らないが」
「俺ホラーダメなんで」
「君は女児向けアニメが好きなのかい?」
「どっちかって言うと青夏先生の方が好きかな?」
俺たちがしばらく会話を続けていると、クラスメイトは全員そそくさと机の中を片付け、教室から出て行ってしまった。
「最初から変人認定か……関わらない方がいいって!? 鏡さんのせいだからね!」
「二人きりだね、てれてれ」
「ファック……しょん」
「特徴的なくしゃみだね」
俺は軽く喧嘩を売ってみたが、鏡さんはそれを軽く受け流した。
「まあ、クラスメイトに変人と同列認定はされたけど、鏡未来という人間がどういう性格なのか少しはわかったからいいや」
「私も君のことを少しは知れたかな? 波長が合いそうだ。名前が似ているからかもしれないね」
「じゃあ、友達として連絡先を交換する?」
「そうだね」
俺はスマホのスリープモードを解除し、鏡さんと連絡先を交換した。
「これからよろしくね! 今からどこか行く?」
「よろしく。ガソリンスタンドとかはどうだろう?」
「いや、最近値上がりしたのは本も同じだ。いや、値上がりしたかは知らんけど」
「本屋に行きたいのかい」
「うん、どうかな?」
「ほーん、いいよ。……あ、今のは本とほーんをかけていてね」
「ほーん」
それからしばらく鏡さんと教室で会話を続けた。
そして、お互いが談話に満足したところで教室を出て本屋へと向かった。
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