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第1章 選ばれなかった令嬢
第3話
辺境へ向かうことが決まり、急ピッチで荷造りが始まった。
突然のことに間に合うか不安だったが、無事すべての荷造りを終わらせることができた。
「いよいよ明日、私は辺境に向かうの」
自室の窓から夜空を見上げ、レティシアは口を開く。
「あなたと過ごせた時間、すごく楽しかったわ」
振り返ると、例の侍女がいる。彼女は浮かない表情でレティシアを見ている。
レティシアも不安でいっぱいなように、彼女も心配なのだろう。
「あなたの――クララのおかげで、この家での思い出がいやなものばかりにならなくてよかった」
しみじみとつぶやく。
「本当に感謝してもしきれないわ。どうか、あなたも幸せに」
「……はい」
嫁ぐ際、通常なら二名ほどの侍女を連れていくものだ。
しかし、レティシアは侍女を連れていくつもりがなかった。
「お嬢さまは、不安ではないのですか?」
「不安に決まっているわ」
今まで自分の不安など口に出したことがなかった。でも、クララになら不思議と素直に話すことができる。
「けどね、これ以上ここにいるよりはいいと思うの。ここに居続けたら、お父さまやお母さま……ナルシスの邪魔になってしまうもの」
いずれ家を継ぐナルシスは、義姉のレティシアがこの家に居続けることをよしとしないだろう。
今でさえ嫌われているのだ。これ以上嫌われ、憎まれるのは避けたい。
「邪魔になるくらいなら、潔く嫁ぐわ。クララのおかげで、決意が固まったもの」
「私のおかげ、ですか?」
「えぇ。あなたが私の弱音を受けとめてくれたから、新しい土地で頑張ろうって思えたの」
王太子妃に選ばれなくても、厄介払いとばかりに嫁がされても。死んだわけではないのだから、大丈夫。
「気持ちの整理はまだ完全にはできていないけど、夫となる方と少しでもいい関係を築けるようにがんばるわ」
相手の情報は最低限しか知らない。そして、辺境の地についても王都で流れている噂程度のことしか知らない。
「お嬢さま」
「応援して、くれる?」
クララの瞳を見つめると、彼女は力強くうなずいた。それから、何度も何度もうなずき続ける。
首が取れてしまいそうで、つい笑ってしまった。
「ありがとう。じゃあ、私は寝るわ。……おやすみなさい」
「はい、おやすみなさいませ」
明かりを消したクララを見送り、レティシアは寝台に横たわる。
(こんな日でも、眠気はやってくるものなのね)
大きなあくびをして、レティシアはあっという間に夢の世界へと入っていった。
夜も深まったころ。
物音が聞こえた気がして、レティシアは目を開けた。
まだはっきりしない視界の中、目を凝らす。すると、だれかが部屋にいることに気づいた。
侵入者もレティシアが起きたことに気づいたのか、露骨に舌打ちをして近づいてくる。
「だ――」
声をあげる前に、手で口をふさがれた。
必死にもがいたが、相手の力のほうが強くて抵抗は意味をなさない。
(だれが、どうやって――!)
ここは侯爵邸だ。一体、だれがどうやって侵入したのだろう。
レティシアの疑問は、いとも簡単に解決した。
カーテンの隙間から差し込んだ月明かりが、侵入者の顔を照らす。よく知った人物に、レティシアは目を見開く。
(どうしてここに――ナルシスが!)
レティシアを押さえつけているのは、ほかでもない義弟のナルシスだった。
相手がナルシスならば、どうやって屋敷に入ったのかという疑問は疑問にさえならない。
彼はこの家の住民なのだから。
「ちょっとは大人しくしてよ。声をあげられると困るんだ」
自身を見下ろすナルシスの目に強い恐怖を覚えた。
身体の力が抜けたレティシアを見て、ナルシスは満足そうに笑う。その後、レティシアの口から手を離した。
肩を揺らして呼吸をする。必死に呼吸を整えていると、ナルシスは意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「どうして、ここにいるの……!」
胸の前で手を握り、問いかける。
「私は明日嫁ぐの。だからもう、あなたの邪魔になることはないわ」
もし、レティシアが邪魔だから殺しに来たのなら、その必要はないと訴える。
どうせ明日には屋敷から消える人間を殺しても、自分の手が汚れるだけだ――と。
「そうだね。義姉さんは明日、辺境へと向かうんだ」
「だったら――!」
「僕にとっては、それが困るんだよ」
ナルシスの目を見ると、ぞっとした。背筋に冷たいものが走る。
「どうして……? あなたは私のことが嫌いで邪魔なのでしょう? だったら、いなくなることは喜ばしいはずよ」
身体を縮める。ナルシスから離れるように、じりじりと下がっていく。
「確かに僕は義姉さんのことが嫌いだし、邪魔だとは思っているよ。……ただ、いなくなるのは困るんだ」
「――は?」
彼の言っていることが理解できない。眉間にしわを寄せたレティシアを見るナルシスは、心底楽しそうだった。
「だって、義姉さんは僕のものだからね。勝手に僕から離れることは許されない」
本当に彼は一体なにを言っているのだろう。
あれだけ邪険にし、嫌いだと態度に出していたのはナルシスのほうだ。
なのに、勝手に離れることは許さないだなんて。
「せっかくうまくいきそうだったのに。義父さんも余計なことをしてくれたものだ」
「……あなたは、なにが目的なの?」
震える声で問う。
彼の言動はちぐはぐで、どれが本心なのか見当もつかない。
毛布を手繰り寄せて、抱きしめる。目の前の男が怖かった。
「目的、か。そうだな。僕は義姉さんを側においておきたいんだ」
「ふざけないで……!」
「ふざけてなんていないさ。僕は義姉さんを側において、飼い殺しにしたいだけだ」
突然のことに間に合うか不安だったが、無事すべての荷造りを終わらせることができた。
「いよいよ明日、私は辺境に向かうの」
自室の窓から夜空を見上げ、レティシアは口を開く。
「あなたと過ごせた時間、すごく楽しかったわ」
振り返ると、例の侍女がいる。彼女は浮かない表情でレティシアを見ている。
レティシアも不安でいっぱいなように、彼女も心配なのだろう。
「あなたの――クララのおかげで、この家での思い出がいやなものばかりにならなくてよかった」
しみじみとつぶやく。
「本当に感謝してもしきれないわ。どうか、あなたも幸せに」
「……はい」
嫁ぐ際、通常なら二名ほどの侍女を連れていくものだ。
しかし、レティシアは侍女を連れていくつもりがなかった。
「お嬢さまは、不安ではないのですか?」
「不安に決まっているわ」
今まで自分の不安など口に出したことがなかった。でも、クララになら不思議と素直に話すことができる。
「けどね、これ以上ここにいるよりはいいと思うの。ここに居続けたら、お父さまやお母さま……ナルシスの邪魔になってしまうもの」
いずれ家を継ぐナルシスは、義姉のレティシアがこの家に居続けることをよしとしないだろう。
今でさえ嫌われているのだ。これ以上嫌われ、憎まれるのは避けたい。
「邪魔になるくらいなら、潔く嫁ぐわ。クララのおかげで、決意が固まったもの」
「私のおかげ、ですか?」
「えぇ。あなたが私の弱音を受けとめてくれたから、新しい土地で頑張ろうって思えたの」
王太子妃に選ばれなくても、厄介払いとばかりに嫁がされても。死んだわけではないのだから、大丈夫。
「気持ちの整理はまだ完全にはできていないけど、夫となる方と少しでもいい関係を築けるようにがんばるわ」
相手の情報は最低限しか知らない。そして、辺境の地についても王都で流れている噂程度のことしか知らない。
「お嬢さま」
「応援して、くれる?」
クララの瞳を見つめると、彼女は力強くうなずいた。それから、何度も何度もうなずき続ける。
首が取れてしまいそうで、つい笑ってしまった。
「ありがとう。じゃあ、私は寝るわ。……おやすみなさい」
「はい、おやすみなさいませ」
明かりを消したクララを見送り、レティシアは寝台に横たわる。
(こんな日でも、眠気はやってくるものなのね)
大きなあくびをして、レティシアはあっという間に夢の世界へと入っていった。
夜も深まったころ。
物音が聞こえた気がして、レティシアは目を開けた。
まだはっきりしない視界の中、目を凝らす。すると、だれかが部屋にいることに気づいた。
侵入者もレティシアが起きたことに気づいたのか、露骨に舌打ちをして近づいてくる。
「だ――」
声をあげる前に、手で口をふさがれた。
必死にもがいたが、相手の力のほうが強くて抵抗は意味をなさない。
(だれが、どうやって――!)
ここは侯爵邸だ。一体、だれがどうやって侵入したのだろう。
レティシアの疑問は、いとも簡単に解決した。
カーテンの隙間から差し込んだ月明かりが、侵入者の顔を照らす。よく知った人物に、レティシアは目を見開く。
(どうしてここに――ナルシスが!)
レティシアを押さえつけているのは、ほかでもない義弟のナルシスだった。
相手がナルシスならば、どうやって屋敷に入ったのかという疑問は疑問にさえならない。
彼はこの家の住民なのだから。
「ちょっとは大人しくしてよ。声をあげられると困るんだ」
自身を見下ろすナルシスの目に強い恐怖を覚えた。
身体の力が抜けたレティシアを見て、ナルシスは満足そうに笑う。その後、レティシアの口から手を離した。
肩を揺らして呼吸をする。必死に呼吸を整えていると、ナルシスは意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「どうして、ここにいるの……!」
胸の前で手を握り、問いかける。
「私は明日嫁ぐの。だからもう、あなたの邪魔になることはないわ」
もし、レティシアが邪魔だから殺しに来たのなら、その必要はないと訴える。
どうせ明日には屋敷から消える人間を殺しても、自分の手が汚れるだけだ――と。
「そうだね。義姉さんは明日、辺境へと向かうんだ」
「だったら――!」
「僕にとっては、それが困るんだよ」
ナルシスの目を見ると、ぞっとした。背筋に冷たいものが走る。
「どうして……? あなたは私のことが嫌いで邪魔なのでしょう? だったら、いなくなることは喜ばしいはずよ」
身体を縮める。ナルシスから離れるように、じりじりと下がっていく。
「確かに僕は義姉さんのことが嫌いだし、邪魔だとは思っているよ。……ただ、いなくなるのは困るんだ」
「――は?」
彼の言っていることが理解できない。眉間にしわを寄せたレティシアを見るナルシスは、心底楽しそうだった。
「だって、義姉さんは僕のものだからね。勝手に僕から離れることは許されない」
本当に彼は一体なにを言っているのだろう。
あれだけ邪険にし、嫌いだと態度に出していたのはナルシスのほうだ。
なのに、勝手に離れることは許さないだなんて。
「せっかくうまくいきそうだったのに。義父さんも余計なことをしてくれたものだ」
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震える声で問う。
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