俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流

文字の大きさ
21 / 50

第21話 新たな仲間との出会い

しおりを挟む
 ***


 クロエと、ギルドハウスの掃除をあらかた終えた時、俺はとんでもない事実に気づいてしまった。
 それは、しばらくこいつとこのギルドハウスで生活しなければならないということだ。

「……やばい、何も考えずに掃除してたけど、俺たち同じ家で暮らすってことじゃないか!」
「今更? 何となくわかってたんじゃないの? リッくん、ずっと気づいてなかったんだ。バカじゃん」
「うるさい。ちょっと焦っただけだ」

 俺としたことが迂闊だった。今までは男所帯のパーティーにいたり、一人暮らしをしていたり、貴族の豪邸に居候していたりしたので、女の子と一緒に暮らすということに馴染みがなかったのだ。

 ちなみにクロエも……むしろクロエの方が男と暮らすことを気にしているらしく、またしても顔を赤く染めている。

「ま、まあ、私だって女の子だし?  そういうのはちゃんと言って欲しかったかな?」
「あー悪い、お前のこと女として見てないからつい……」
「ひどっ! 普通そういうこと言わないでしょ! 傷ついた! これだからデリカシーのない童貞は……」
「どどど、童貞ちゃうわ!」

 変なところからカウンターを食らってしまった俺は、思わずテンパってしまう。確かに今のは言いすぎた。いくら本当のことでも女性に対して言っちゃいけないことくらいわかるだろ、俺よ。
 いや、待てよ。クロエは確か処──これ以上考えるのはよしておこう。なんか怖い。

 まあ幸い別々の部屋は確保できたし、とりあえずは大丈夫だろう。──向こうがなにかしてこなければ。


 そんなこんなで時間は過ぎていった。俺たちは夕食を終えてリビングでのんびりと過ごしていた。すると突然、玄関の扉が大きな音を立てて開かれた。

 ──バタンッ


「あの……ギルド『月の雫』はここですか?」
「は、はい、うちですけど」

 そこに立っていたのは一人の少女。歳は俺と同じくらいだろうか。短めの銀髪に碧眼、魔法使いのローブを身に纏っていることから、おそらく職業は魔導師だろう。
 そして驚くべきはその美少女っぷりである。透き通るような肌、綺麗な瞳に長いまつ毛、小さな鼻と口、華奢な身体。おまけに大きな胸までついている。正直めちゃくちゃタイプだが、それ故に逆に怪しくもある。

「私、『月下の集い』に所属してた黒魔導士のノエル・リベリーです。『月下の集い』が解散されてしまったので『月の雫』に参加させていただこうと思って……」
「お、おお、なるほど! 是非是非、歓迎しますよ!」

 月下の集いが解散になったから、後継ギルドであるここにやってきたってわけか。こんな美少女が参加してくれるならもちろん大歓迎だ。
 だが、クロエは複雑な表情をしている。彼女と自分の胸を見比べて、若干落ち込んでいるようだが、どうやら彼女が巨乳なのが気に食わないらしい。

「えっと……その……」
「?」
「あなた……可愛いね」
「へ?」

 クロエは彼女の容姿をベタ褒めし始めた。さすがに唐突すぎるぞ。

「そ、そうですか? ……あまり言われ慣れていなくて」
「うん、すごい可愛くてビックリした。あとおっぱい大きい」
「ちょっ!」

 クロエのやついきなりセクハラしてるんですけど!? これは後で叱っておかねば……。
 俺がそんなことを考えていると、クロエはさらに続けた。

「控えめに言って死んで欲しいと思ってる」
「えっ!?」
「おいこら、せっかく『月の雫』に入ってくれるって子になんてこと言ってんだクロエ!」

 俺は咄嵯にクロエを止める。
 初対面の人に対して死ねはさすがにダメだろ。この子どんだけドM体質でも引くと思う。

「リッくんは黙ってて。これは女の戦いなんだから!」
「どんな戦いだよ!」

 しかし、クロエは聞く耳を持たない。クロエはさらに彼女に近づくとジト目で睨みつける。クロエは身長が低く童顔なこともあってか、睨まれても怖さが微塵も感じられない。
 一方彼女は怯えているようで、涙目になっている。

「わ、私は何か悪いことをしてしまったのでしょうか……?」
「ああごめんね? ただ私があなたのことを一方的に嫌いなだけだから」
「ひっ!」
「だからなんでそうやって人のトラウマを刺激するようなことを言うんだよ!」

 俺はもう耐えられなくなって、ついにクロエを無理やり引き剥がして引き離した。いくらなんでも嫌われすぎだと思う。

「クロエ……この子が入ってくれれば魔法使い枠が確保できる。だから仲良くしろ」
「うう……わかったよぉ……」
「大丈夫、そのうちこの子とは仲良くなれると俺は信じてるよ」

 俺は泣きじゃくる彼女を抱きしめながら優しく語りかける。この子のことはまだよく知らないけれど、同じパーティーになった以上、きっとクロエともわかり合えるはずだ。
 根拠はないけど。
 それからクロエは彼女に謝罪した。クロエなりに反省しているみたいだし、ノエルも許してくれるだろう。


「そういえば、ノエルさんはどうして『月下の集い』に入ったんです?」
「私、黒魔導師なので体質的に光属性の魔法は受け付けないんです。──だから、聖フランシス教団の回復術師に回復魔法をかけられると逆に状態異常になってしまうんですよ……」
「な、なるほど……」

 そうだったのか……知らなかった。というか闇魔法の素質を持っている人にとって、光属性の人は天敵みたいなものなのか。それはそれで大変そうだなあ。

「最近のパーティーはどこも回復術師が回復を担っているので、その回復を受けられない私を雇ってくれるところはどこもなくて……」
「あー、だからウチに来たわけですね」
「はい。……あの、迷惑だったらすぐ出ていきますので!」

 ノエルはぺこりと頭を下げる。俺は慌ててそれを制止した。せっかく来てくれたんだしそんなにすぐに追い返すのは気が引けるし、なにより美少女なんだから追い出す理由がない。そうだよなクロエ?

「じーっ……」

 クロエのやつなんか見てやがる。まるで俺を品定めするような目だ。そんな目をされてもお前の思い通りにはならないからな。

「いえいえ、迷惑だなんてとんでもない! これからよろしくお願いしますね。ノエルさん」
「は、はいっ! よろしくおねがいしますっ!」

 俺が挨拶をすると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。クロエはガックリと肩を落としたが、仕方のないことだ。だって俺たちにはノエルが必要なんだ。それは間違いない。

「それじゃあ、ノエルの加入を祝して……」


 ──バタンッ

「ギルド『月の雫』はここで間違いないです?」
 
 おやおや、また参加希望者かな?まあ、とりあえず話を聞こうじゃないか。
 俺たちは再び玄関に向かう。そこには金髪の爽やか風のイケメンがたっていた。

「ギルド『月の雫』に加入させて下さい。僕は『月下の集い』で薬草師をしておりました。アルフォンス・ランバートといいます」
「……」
「おーい、リッくん? どったの?」

 いや、だってな……。

「イケメンは死ね!」

 俺は心の底から思ったことを叫んだ。そしてその瞬間、彼は少し傷ついた表情を浮かべたのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

追放された貴族は《再構築》の力で世界を直す

自ら
ファンタジー
神童と呼ばれた貴族の少年は、成人の儀で“ゴミギフト”を授かり、家から追放された。 しかしその力《再構築(リコンストラクト)》こそ、滅びかけた世界を直す唯一の鍵だった。 荒れ果てた大地で、彼は仲間と共に「壊れたもの」を直し、新たな街を築いていく──。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

処理中です...